髙柳雄一館長のコラム

2017年03月23日一覧

花見の季節を迎える

花の便りが気になる季節になりました。「今年はお花見を何処で誰と一緒にしようか?」と計画を立て始めた方もいらっしゃるでしょうね。そんな時、最初に知りたいことは、見にゆく場所で「さくら」が咲き始めているのか、どの程度の咲き方なのかなど、新聞やラジオ・テレビの天気予報などでも知らされる「さくら」の開花状況です。
春の天気予報で伝えられる気象情報に「さくら」の開花日や満開日の予想が含まれることも、私たちが、日頃、木々の様子や花の移り変わりで季節の変化を意識していることを考えると、植物が気象状況に敏感に反応する存在であるだけに不自然ではありません。
気象庁のホームページには「生物季節観測の情報」という画面があり、そこでは全国の気象庁所属の官署で統一した基準により、「うめ」・「さくら」の開花した日、「かえで」・「いちょう」が紅(黄)葉した日などの植物季節観測や、「うぐいす」・「あぶらぜみ」の鳴き声を初めて聞いた日、「つばめ」・「ほたる」を初めて見た日などの動物季節観測を行っていることが示されています。これらの観測結果は、季節の遅れや、気候の違いなど総合的な気象状況の推移を把握するのに用いられるほか、新聞やテレビなどにより生活情報のひとつとして利用されていると説明されています。

季節の観測で取上げられている植物には、「さくら」以外に、「うめ」・「あじさい」・「いちょう」・「かえで」が紹介されています。そして、これらの植物の多くは、観察する対象の木(標本木)を定めて実施されると注記されています。「さくら」の標本木は、私たちの身近で一番よく眼にする「さくら」と言える「そめいよしの」と言う品種が使われていることは、ご存知の方も多いと思います。
「さくら」の開花日は「そめいよしの」で5~6輪以上の花が咲いた状態となった最初の日、満開日は「そめいよしの」で約80%のつぼみが開いた状態となった最初の日と定められています。これは勿論、場所ごとに異なるはずです。気象情報に使われる地域の開花情報は気象庁が定めた特定の場所の「そめいよしの」で判断しているのです。「さくら」の開花情報である地域を代表する場所として何処が選ばれているのか、そこは花見に多くの人が訪れる場所でもあるに違いありません。興味をお持ちの方は調べてみてください。
 春休みの季節を迎え、今年はどこの「さくら」を見に行こうかと考えながら、このコラムを書き始めました。その際、「さくら」の開花状況を知り、何時頃が良いかが判断できると、その次は、その期間中お天気が良い日はいつか、一緒に見に行く仲間が時間を取れるかなどと、花見を実行するには幾つも考えなければならない課題が出てきます。この中で私にとって最も重要な課題は花見をする場所の選定です。

 この数年、春が来ると小学校の同級生と場所を選んで花見を楽しむ機会を設けてきました。一昨年は板橋近くの石神井川の両側に続く桜道に沿って、王子駅の近くまで川の両岸に出現した桜の花のトンネルが続く道を歩きました。最終地点の王子駅付近には昔からの桜の名所である飛鳥山があります。年のせいもありますが、この時はおよそ半日のコースでした。小金井公園の近くから流れ始める石神井川が隅田川に至るまでに、こんなにいくつもの桜の名所を抱えていることに驚きを持ったことは忘れられません。
 昨年は、東中野の近くの神田川の両岸に咲く桜道を川に沿って辿る花見をしました。高田馬場近くを通って江戸川橋まで都心を流れる神田川の途中には、素晴らしい桜を眺めるスポットが幾つも連なっていました。昔から人々の生活と深く関わってきた有名な川沿いには、桜見物の名所が幾つもあることを改めて知らされました。

こんな体験を重ねて、今年は何処にするのか考え始めています。今年も川に沿った桜の名所にするのか、川ならどの川にするのか、川をやめて山にするのか、色々と考える楽しみも
この季節のもたらす人間への贈り物かもしれません。皆さんは今年、花見を何処で誰となさいますか?皆さんの今年の花見の思い出が素敵なものになることを願っています。

 OLYMPUS DIGITAL CAMERA