ロクトリポート

農と食の体験塾 大豆編 第4回レポート

2017.07.30 10:26:07

 旧東大農場において、生態調和農学や都市農業における栽培技術、市民が参加するまちづくりについて「農」を通じて、学び、体験するプログラム 「農と食の体験塾 大豆編」。
6月27日(火)に行った第4回は、畑作業はお休みして大豆についての講義を受けました。

講師は、東京大学生態調和農学機構国際フィールドフェノミクス研究拠点特任教授の二宮正士先生です。
「ダイズの話」というタイトルで、ダイズの起源から分類、品種、遺伝子組み換え、生産量から輸出入量と、ダイズにまつわるさまざまなお話をしていただきました。
二宮先生

以下、記録係の丸山さんによるレポートです。


<特別講義 ダイズの話 概要>

 今回は、塾生が大豆について関心を深め、また、いろいろうんちくも語れるようにとの配慮から植物育種学を専門とする二宮正士さんの登場となった。講義は学会レベルの専門的なことと身の回りのことが一体となっていてとても興味深く、奥の深い、考えさせられる内容でした。
 大豆は、牛や豚に比べると特段に環境にはやさしいうえ、タンパク質やアミノ酸が豊富で健康にもよい。しかし、いくつか欠点(稲や麦など他の穀物に比して単位面積当たりの収量が少ない=収入が少ない、昔の豆乳は匂いがあって不味かったなど気になる香成分がある=特定の香りを嫌う人や民族もある)もあるので、在来種の育成・研究を通して、いままで知られていない大豆の可能性を発見し、品種改良や新種開発に役立てたい・・・と、味噌や豆腐作りを楽しんでいる市民のプチ研究者意識をくすぐるところからスタート。

「ダイズの起源」「ダイズの特徴」「ダイズの利用」「ダイズの分類」「さまざまな品種の種子外観」「ダイズ49品種の形状」「ダイズの発育」「ダイズの不思議」「ダイズの育種」「遺伝子組み換えダイズ」「ダイズの栄養価」「完璧なアミノ酸バランス」「世界の生産量・消費量」2013年データによる「ダイズの生産量の変遷」「他の穀物との比較」「収量・輸入量・輸出量などの変遷」・・・にわたり質疑を含め90分に渡った。
 どれも興味深く農家から食品産業、食生活、廃棄物処理まで社会の在り方や暮らし方に関わる示唆に富む内容でした。
ダイズの特徴生産・消費量

 なかでも自分には「ダイズの起源」項目の、「ダイズは野生種のツルマメを原種として品種改良されたもの」、また「トウモロコシ、ジャガイモ、トマトなど多くのものが、もともとは南米を起源として世界に広まった。コロンブスが行くまでは南米にしか存在しなかった・・」という話。
ダイズの起源

 「ダイズの利用」項目の、「世界では油用が87%、飼料用が7%、食用が6%なのに対し日本では油用が80%、食用が20%と食用が高いのに自給率が7%と低い」という話。
 「ダイズの分類」項目の「播種・育成・収量の時期によってダイズには『早生』『中生』『晩生』の3種類があり、地域性とも関連している。北海道で育ちのいい品種を関東でやってもうまく育たない。ダイズは発芽してから2-3か月で花が咲き自家受粉する「温度感受性」と「日長感応性」機能を有している、という話。
 「ダイズの不思議」項目の、多くのマメ科植物は根瘤菌と共生(植物から光合成をもらって空気中のチッソを固定して提供する)しているという「根瘤菌」の話。
 「遺伝子組み換えダイズ」項目の「草採りを楽にしようと登場したモンサント製ラウンドアップ除草剤とその除草剤にも耐えて育つ遺伝子組み換えダイズによるセット販売」や、それでも除草剤と雑草はいたちごっこの関係、という話・・・などなど興味深かった。

また、質疑では以下のようなやり取りがあり盛り上がりました。

塾生A「子どもの頃生の豆を食べてはいけないとよくおじいちゃんに言われた」
講師「枝豆とかはいいが、大豆のタンパク質は熱変性してやわらかくしないと体によくない。米などと違って大豆をやわらかくするには時間がかかる。」

塾生B「他地域の品種を播いてもうまく育たないという話がありましたが、先月、東村山のJAへ行ったら早出(わせ)の“湯あがり娘”(枝豆)」が売られていたが、これはどういうことか」
講師・事務局“湯あがり娘”は、いまや東村山だけでなくこのあたりのあちこちで栽培されている。(2月~)3月に種を播いて、(4月~)5月には収穫されている」

塾生C「大豆特有の匂いのため昔の豆乳がくさかった、ということですが、それはなぜか」
講師「大豆に含まれる香りの酵素の働きによるもので、この酵素の働きを抑える技術が開発されたので匂いが抑えられている。おかげでこのにおいが苦手だったインドでも大豆が食べられるようになった」

塾生D「ミツカン酢の納豆商品にも、匂いを抑えて食べやすくした商品がある」  ・・・・などなど

 
<圃場 生育状況観察>

 講義終了後、味噌好き塾生による手前味噌8種類のふるまい、受講者に配ろうと手島指導員が朝方に収穫した「馬込半白きゅうり」や「高井戸半白きゅうり」、「雑司ヶ谷なす」や「寺島なす」の江戸東京野菜などを持ち帰り試食用として配られた。
味噌試食
-品種によってけっこう味に違いがありました-

 圃場では、講義で説明を受けた2週間後の生育状況を観察し、次回の防鳥ネット外しの注意点、カメムシ対策などについて説明を受けた。
圃場確認 ダイズ芽生え
-自分が種まきした畝にちゃんと芽が出ていてみんな一安心-
                                                   -以上-

二宮先生の講義は、第一回に続いて二回目でしたが、今回も数々の目からウロコのお話を伺えました。
次回は7月4日(火)、苗が順調に育っていれば、防鳥ネットを取り外す予定です。


パブリックリレーションズグループ H




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