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からだラボ特別展示その2『ウイルス VS わたしたちのからだ』

2019年に発生した「新型コロナウイルス」の世界的な感染拡大。
ワクチンや特効薬がまだない新型のウイルスですが、感染する人としない人がいます。

また、感染者の中には、発症せずに治る人、発症しても軽症の人、重症化してしまう人がいます。そして、特効薬がない中でも、ほとんどの人は回復します。

いったい、なぜでしょうか?

それは、私たちのからだには「生体防御」というウイルスなどが体内に侵入する異物(ウイルスなどの病原体)を排除するしくみが備わっているからです。

ここでは、その生体防御のしくみについて「3重(3つ)の壁」に例えて解説します。

●第1の壁 皮膚や粘膜によって体内に入れない防御

私たちのからだは、皮膚または粘膜によって外部と接しています。皮膚の最も外側にある角質層は死んだ細胞であるため、ウイルスは侵入できません。口や鼻、気管支の粘膜は殺菌作用のある粘液で覆われ、気管支は繊毛の働きで異物を外に出します。まずは門前ブロック!というわけですが、万が一突破されて侵入されても、第2の壁がウイルスを排除するために出動します。

この段階でウイルスの侵入を防ぐには、手洗いやうがい、マスクの着用はとっても有効です!
でも、侵入を防ぐことができないこともあるかも…


●第2の壁 「自然免疫」によるウイルスの排除

病原体に共通する特徴を幅広く知っていて、体内に侵入した病原体に即座に働くしくみが「自然免疫」です。免疫で働く細胞が血液中にある白血球で、その白血球の種類である好中球や樹状細胞、マクロファージ、NK細胞(リンパ球)などが病原体を取り込んで消化したり(食作用)、攻撃を行うなどしてウイルスを排除します。自然免疫だけで排除できなかったウイルスに対しては、第3の壁が出動します。

免疫の特攻隊「自然免疫」が優勢!の場合は、何も症状が出ずにウイルスを排除することに成功します。
でも、ウイルス優勢!となってしまうと、「自然免疫」だけでは厳しい状況に…

●第3の壁 「適応免疫(獲得免疫)」によるウイルスの排除

自然免疫で排除できなかった病原体に対して次に働くのが「適応免疫(獲得免疫)」です。自然免疫から侵入者の情報を受け取ると、その情報をもとに敵を特定して攻撃します。ここで働くのは、T細胞(ヘルパーT細胞・キラーT細胞)やB細胞、NK細胞など、白血球の種類のリンパ球です。適応免疫では、抗体がつくられるとともに病原体など異物の情報を記憶し(免疫記憶)、自然免疫と連携して効率的にウイルスを排除します。わたしたちの体は、この適応免疫によって病気にかかりにくくなるのです。

私たちのからだは、ウイルスなどの病原体に対抗する術をしっかり持っているので、健康であれば恐れることはありません。とは言え、楽観視は要注意!からだの免疫機能には個人差があるだけでなく、栄養や睡眠などが不足していれば、免疫力が低下することもあります。これらの「生体防御」のしくみがうまく機能するように、自分でできる予防策をしっかり守り、バランスの良い食事、適度な運動、十分な睡眠といった健康的な生活を心がけましょう!

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