髙柳雄一館長のコラム

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開館20周年を迎えました

 皆さんも既にご存じのように、この3月、多摩六都科学館は開館20周年を迎えました。人間に例えると20歳の誕生日を迎えることになったのです。  20歳を迎えたと言えば、日本では成人として大人になったことを意味します。国民の祝日として日本では成人の日が制定されており、20歳になった人を集めた成人式が各地で行われています。1948年に祝日を定めた法律によると「おとなになったことを自覚し、みずから生きぬこうとする青年を祝いはげます」ことを目的とし、翌年から1月15日を成人の日として制定しています。

 現在では、成人の日は1月の第二月曜日に当てられ、今年は1月12日でした。これに関連して多摩六都科学館でも、1月25日(日)、開館20周年記念イベント「20歳のプラネタリウム」をサイエンスエッグで開催し、今年20歳を迎え成人になった方々に参加して頂き記念の催しを挙行しました。  このように全国各地で成人を記念する式典を実施する国は世界でもめずらしいとのことです。また、日本では二十歳を成人としますが、国際社会では20歳よりも18歳を成人と定めている国が圧倒的に多数を占めています。そんなことを考えると、多摩六都科学館が、一足先に、今年成人になった二十歳の方々を迎え、共に二十歳を過ぎた喜びを共有する記念の集いを実施できたのは日本だからこそ可能だったのかもしれません。

 人間には誕生日を初めとして七五三、入園式、卒園式、入学式、卒業式、成人式、・・・と生まれてから、年を経るに従って通過する人生を刻む儀式があります。まとめて通過儀礼と呼ばれていますが、通過儀礼は個人の人生の節目にある儀式ですが、それは個人だけのものではありません。いずれも家族や友人、同級生、同年齢などの複数の人々が関与して初めて成立しています。  個人にとって通過儀礼が持っている意味は、自覚や喜びなどを複数の人々と共有することで、さらなる人生の歩みで達成する目標などを確認し、それに向かうある種の覚悟を同じ儀式に参加した人々と共に意識する機会となっているように思います。私たちは、次のステップに向けて進むとき、目標を達成することが大変でも、仲間の存在を知ることで勇気づけられることがしばしばです。成人式もそんな集いの一つにあたるのでしょう。

 二十歳になった多摩六都科学館、開館20周年記念を実施できるようにまでに組織として成長してきました。構成五市をはじめ、この間に度々ご来館いただいた皆様からの温かいご支援があったおかげです。人間に例えるなら、大人となったことの自覚は、これから次のステップでさらなるご支援を頂ける、地域の人々と共有できる、そんな活動の場として成長できる施設としての自覚を持つべきだと感じています。  一足先に、1月25日(日)に成人した方々とサイエンスエッグで開館20周年記念イベント「二十歳のプラネタリウム」を今年成人した方々と楽しみながら、私もつぎなるステップへの思いを新たにしました。

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髙柳雄一館長高柳 雄一(たかやなぎ ゆういち)

1939 年4月富山県生まれ。1964年、東京大学理学部物理学科卒業。1966年、東京大学大学院理学系研究科修士課程修了後、日本放送協会(NHK)にて科学 系教育番組のディレクターを務める。1980年から2年間、英国放送協会(BBC)へ出向。その後、NHKスペシャル番組部チーフ・プロデューサーなどを 歴任し、1994年からNHK解説委員。
高エネルギー加速器研究機構教授(2001年~)、電気通信大学教授(2003年~)を経て、2004年4月、多摩六都科学館館長に就任。

2008年4月、平成20年度文部科学大臣表彰(科学技術賞理解増進部門)