ロクトリポート

農と食の体験塾 大豆編 第8回レポート

旧東大農場において、生態調和農学や都市農業における栽培技術、市民が参加するまちづくりについて「農」を通じて、学び、体験するプログラム 「農と食の体験塾 大豆編」。
8月22日(火)に行った第8回では、早生・中生・晩生それぞれの品種の生育状況およびカメムシ害の確認と、引き続き草むしり、また倒伏した大豆を起こして立て直す作業をしました。

ひとくちに害虫といっても、虫の種類によってその害の及ぼし方が違います。今回の大豆の畑で見られる虫の場合、マメコガネは葉をかじるという害ですが、ホソヘリカメムシは実った大豆の中身を吸ってしまうという害で、これは収穫に直接被害が及んできます。

11マメコガネマメコガネ

10カメムシ2
ホソヘリカメムシ

大豆は乾燥と吸湿を繰り返しながらふっくらした豆に育っていきますが、この過程でカメムシが水分を吸い取ってしまうとつぶれて変形した豆になってしまいます。(写真下がカメムシに吸われてしまった豆)
3豆の状態3

カメムシを人の手だけで駆除することは大変難しく、収穫量や収穫した豆の品質のことを考えると、適度な農薬(殺虫剤)の使用はいたしかたないことを実感しました。

花は晩生の錫杖豆の花が咲いていました。
6錫杖の花2

錫杖とは修験者が手にもつ杖のことで、背の高さほどある杖の先端の大きな輪に小さな輪がいくつか通された形をしています。これに似ているということで「錫杖豆」と名付けられた品種ですが、他の大豆と違い、茎が帯のように幅広く、その先端に花が密集してついています。
全体を見ると、株のてっぺんに花が集まっている様子がよくわかります。
8全草

そして根の方をみると、そこには小さな“こぶ”のようなものがたくさんついています。これが根粒です。
7根粒菌

大豆に限らずマメ科の植物に特徴的に見られるものですが、植物に寄生している根粒菌と呼ばれるバクテリアの一種が作ったこぶです。このバクテリアが空気中の窒素を植物が養分として使いやすい形に変えて供給してくれます。肥料工場が根についているようなものですから、寄生されていても大豆にとってはとてもありがたい存在です。

作業は、草むしりだけでなく、倒伏した(地面に倒れた)大豆のひき起こしもしました。
 13苗のひき起こし1

大豆の背が高くなってきて、株によっては風や雨で地面に倒れてしまうものがあるのですが、放っておくと豆にカビが生えやすくなるので、見つけたらその都度しっかり立てておく必要があります。

以下、記録係の丸山さんのレポートの抜粋です。
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温度や日照時間の関係から8月の長雨が大豆の生育にどんな影響を及ぼしているのか注目されましたが、事前に生育はほぼ順調という情報が寄せられ、みなさん久方振りに炎天下で汗かきました。
はじめに害虫被害の調査ということで、早生の「目黒」、「比丘尼」のさやを剥いて中の子実水分を調べたところ、乾燥と吸湿を繰り返してふっくらした子実もあれば、水分を吸い取られ黄色くひしゃげている子実も発見。周辺を観察すると顔が三角のホソヘリカメムシがたくさんおり、害虫被害が発生していると断定。このまま放置して被害が広がらないよう、改めてスミチオン乳剤の追加散布をすることに。早生・中生・晩生の大豆を一緒に播種し栽培している関係で農薬散布のタイミングは難しい、ということでした。

早生・中生の大豆はすでに開花が終わり、開花が始まった晩生の「錫杖大豆」を引き抜いてその特徴的な花、茎の様子を観察。根の根粒菌の様子を観察。大気中の窒素を窒素固定して大豆に供給する土壌微生物・根粒菌に一堂感激。
21作業完了2
作業後の畑。

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次はいよいよ枝豆の収穫!
9月20日(水)に行った収穫と賞味試験の様子をレポートします。

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