ロクトリポート

<Qua(クワ) Qua(クワ)ワークショップ>“わたし”と“わたしのまわり”~観察して色と素材で表現~ ①

2020年12月19日(土)に
<Qua(クワ) Qua(クワ)ワークショップ>
“わたし”と“わたしのまわり”~観察して色と素材で表現~
を開催しました。

講師はレッジョ教育を広める会@キオッチョラ@の皆さんです。
講師のおひとり、石井さんは4年間イタリアのレッジョ・エミリア市で幼児教育を学ばれていました。

レッジョ教育とはモンテッソーリ、シュタイナーと並ぶ世界5大幼児教育のひとつで、
子どもの主体性を引き出す教育として現在とても注目されています。

※過去に当館で行ったワークショップについて詳しくはこちら

テーマについて

2020年度は”わたし”と”わたしのまわり”をテーマにしていて、
12月は”わたし”、来月は”わたしのまわり”に注目して表現します。

”わたし”のカラダを探求していきます。
今回の空間装飾はカラダの中を意識しています。
レッジョ教育は「一人ひとりが生まれ持った能力を自由に表現できる美的な環境を準備し見守る。」ことを大事にしているので、<QuaQuaワークショップ>でも環境づくりをとても大事にしています。

最初のアプローチ

顔の絵を見ながら「これは何の絵かな?」と問いかけると、
「かお!」と声があがります。

次に「かおの中には何がある?」と問いかけると
「め」「はな」「くち」「おこった目」「のうみそ!」と答える子もいました。
返答に合わせながらそれぞれのパーツの写真を一緒にみていきます。

顔のパーツがだいたい出た後、「かお以外にはカラダには何があるかな?」と問いかけると
「て」「あし」「せなか」など出てきて、
また返答に合わせながらそれぞれのパーツの写真を一緒にみていきます。

次に、「カラダの中には何があるかな?」と問いかけます。
「ち」「がいこつ」「胃」「肺」などが出てきて、一緒に絵をみていきました。

「もっともっとカラダの中を見ていくとどんなものが見えてくるかな?」
と、話しながら、細胞の写真や絵を紹介しました。
さらに、DNAや染色体の絵も一緒に見ました。
「いろいろなカタチがあるね。」「キリンみたい!」「シュワシュワしてる」「くにゃくにゃみえる」など子ども達はさまざまに反応していました。

「細胞」というキーワードが出たところで、
壁に貼ってある「細胞」をイメージした大きな絵を一緒に見ました。

細胞をデザイン

壁に貼ってある大きな絵で講師2人がデモンストレーションをしました。
まずは、ペンで模様を描きましょう。そのあとクレヨンで色を付けましょう!

今回は、初めて『親子』での開催になりました。
前出の言葉と少し重なりますが、レッジョの教育者は「子どもは未来から来た一人の人間である」と考えていて、大人の価値観で子どもに教え込むのではなく一人ひとりが生まれ持った能力を自由に表現できる美的な環境を準備し見守ることを大事にしています。

親が子供の表現に過干渉になりすぎないように、最初のワークは背中合わせで描くことをお願いしました。

まずは背中合わせをして、ぬくもりや、ゆれたりしてお互いを背中から感じてもらいました。

親も子も自由に自分の細胞を描いてもらいました。

描けた人から壁の細胞の絵に貼っていきました。
実は、参加者のみなさんの細胞の紙には裏に番号が書いてあり、壁の細胞の絵と合う場所があります。

シェアタイム①

みんなが貼れたらシェアタイムです。

石井さんが参加者のみなさんに作品についてインタビューします。
「(子供の作品を見て)大人には描けないと思った。」「(5歳)紙が小さくて虹が全部は描けなかった。」
「(5歳)遠くから見るのと、近くから見るのとぜんぜんちがって見えた。」
「いつも家では小さい紙にしかおえかきしてなかったので、大きな紙いっぱいに描けていてびっくりした」

それらに対し、石井さんがコメントしながらやりとりをしていました。
「カタチがしっかり描かかれていますね。」「埋め尽くさない余白がすごくステキですね。」
「カラフルで色合いがとてもキレイ。徐々に色が増えていく過程がみえる」
「親子で通じる表現が見られますね。」などなど。

午後の回が終わり、全部の細胞が描かれた作品を見ると圧巻でした。
これは、次回のワークショップの時にも部屋に貼る予定です。

いつも<QuaQuaワークショップ>では「個人ワーク」と「グループワーク」をするようにしています。
これは、レッジョ教育の個人を尊重すること共同体を大事にする考えからです。
現在のコロナ禍では「グループワーク」をすることが難しい現状の為、
講師のみなさんは相当悩まれていましたが、個々の細胞をつなげて大きな作品になりとても良い経験になったのではと感じました。

顔をつくる

後半のワークはフェイスシールドにカッティングシートやひもで自由に顔を表現しました。

フェイスシールドを使った表現は大人にとっても初めての体験だったと思うのですが、みんな夢中につくっていました。

シェアタイム②

「ネコ」「今は外国旅行に行けないので外国の方をイメージしました。」「王子様」「ライオンキング」「ほっぺがかわいい顔」「口をインパクト出しました。」「しばった髪の毛」「みんなが笑顔になるような変顔」「人のよさそうな顔」「ねずこ」「かぶき」「おでこのしわとくまがある顔」「しかめっ面」「ヒゲをつくってからイメージが湧いてきて王様になった。」「虹を見て感動してピンクの涙を流した顔」「つくっている過程を福笑いのように楽しんでできた顔」などなど、いろいろなイメージやつくっていく過程についてシェアしてくださいました。

「一緒につくると親の真似をしたがり、似たような顔になってしまいました。」という方には
石井さんから「まずは模倣からはじまって、そのうち自分の表現が出てくると思うので、模倣も大事」とコメントがありました。

「絵を描いてる時より、シールやひもでの造形に集中している姿に驚きました」という方に
石井さんから「描くのが好きな時期、ものづくりを楽しむ時期、いろいろな時期があるのでそれに気づきやりたいことを引き出してあげる環境をつくれるとこどもの表現が広がっていくと思いますよ」とコメントがありました。

さいごに

今回は、コロナ禍でワークショップという事で、講師の方々はいかに安全に楽しんでもらえるかに苦労されていました。
また、幼児のワークショップをしても参加者が来ないかもしれない。という不安もありましたが、参加者のみなさんの創造力や表情を目の当たりにすると開催できて良かったと思いました。いろいろと制約はありますが、創造する場を設けていく事の重要性を改めて感じる回になりました。

最後になりますが、今回の前半の「細胞」のワークは
「細胞アーティスト Ouma(オーマ)」さんからイメージさせて頂きました。

Oumaさんは動物のお医者さんというルーツを持たれているアーティストで、世界中のいろいろな場所で作品制作をされています。
「SORA」という世界中の誰もが参加でき、永遠に成長し続ける参加型のアートワークもされています。ご興味がある方はぜひ動画もご覧ください。