多摩六都科学館(東京都西東京市、館長:髙柳雄一。以下、当館)では、12月5日の「世界土壌デー」にちなんで、土壌動物の観察教室を開催します。当館の庭から土壌動物を採集し、ミクロサイズの生き物たちを顕微鏡でじっくり観察します。講師は、2023年に長年謎だった光るトビムシの種名を特定した当館学芸員の大平敦子(おおひら あつこ)がつとめ、落ち葉の下に広がる土壌動物たちの生態から生物多様性についてまでを、観察を通して考えます。
[イベント概要]
名 称 「発光トビムシや土壌動物を探して観察してみよう!」
開催日 12月7日(土)
時 間 午後1時30分~3時
会 場 多摩六都科学館(2階 科学学習室)
対 象 小学3~6年生とその保護者
定 員 12組24人 ※未就学児の入室不可、2人まで同伴可
費 用 1組100円
申 込 11月25日(月)必着(抽選)
発光するトビムシとは
体長1~3㎜程度のトビムシのなかまは世界に9,000種、日本には400種ほどいるといわれ、当館の庭でも見られます。そのうちのイボトビムシは、約300年前の江戸時代に書かれた大和本草という書物に「蛍の如く光る」と記載があるものの、どの種を指すのかは長らく謎のままでした。イボトビムシの形態的特徴やDNA解析によって従来の分類を整理・研究した結果、2023年に大平らがその種名を特定しました。またイボトビムシが光る様子の動画撮影にも成功し、発光するトビムシの研究は世界的に注目を集めています。
300年の謎を突き止めた当館学芸員による教室
当館の学芸員・大平敦子は、科学館の観察教室や展示の企画・運営と並行し、大学院でイボトビムシの分類学的研究に取り組んできました。発光トビムシの種名を特定した論文の発表後も、科学館の庭から離島まで様々な場所の発光トビムシの調査を行っています。
その大平による企画が11月10日まで実施する「しぜんラボ:テーマ 土壌動物」と、12月に開催する本教室です。どちらも実際にイボトビムシの姿を見ることができます。
担当者よりひとこと
「現地で実物を見る」ことを大切にしています。私たちの身近な場所にも、生態系の一部が存在していることを伝えていきたいです。
(学芸員 大平敦子)
12月5日は世界土壌デー
12月5日は「世界土壌デー」です。2013年に国際連合食糧農業機関会議で採択され、国連総会にて承認されました。限りある土壌資源についての意識を高め、健康な土壌の持続可能性促進を目的としています。
「発光生物のはなし」
10月1日に刊行した「発光生物のはなし」には、共同で研究・発表した中森泰三教授(横浜国立大学)らとともに執筆したコラムが載っています。
(大場裕一 教授 編集/朝倉書店)