髙柳雄一館長のコラム

今年の花見を振り返る

2017.04.21 15:32:55
テーマ:館長コラム 

 桜我が家の近くを流れる神田川沿いの道も、咲き誇っていた桜の木々が、たびたび風に吹かれて花びらを水面に落とし、すっかり葉桜を数える散歩道になりました。多くの皆さんも、最近では、花見に出かけた思い出を振り返ることが多くなったと思います。

 皆さんは、どんな花見をされましたか? 今年は、いち早く開花宣言が出されたにもかかわらず、仲間と花見に出かけようという日は、しばらくやってこなかった記憶が残っています。

 開花宣言後、確かにあちこちで桜の花と出会う機会も増えました。しかし、桜の木々が連なり、例年なら花見の舞台となっている場所も、早咲きの枝垂れ桜を挟んで多くの桜が咲き揃うまでになかなか至らず、今年の桜は一斉開花とは行かない不安まで感じたこともありました。

 花見の舞台の多くは一斉開花の桜を見に行くべき場所です。一斉開花がなかなか期待できない今年は、色々な咲き方をした桜を楽しめる場所を探して歩くことにしました。そこで、前回のコラムでも触れましたが、近年連れ立って花見に行く小学校時代の同級生と、まずは4月5日に上野公園に出かけました。

 上野公園と言うと、毎年、テレビのニュースなどで紹介されるように、花見の人々が集う沿道の桜並木が有名です。しかし、一斉開花の花見を避けた今年は、あえてそこには行かず、上野公園でも沿道の突き当たりにある東京国立博物館の庭園に出かけました。この庭園は東京国立博物館本館の丁度真裏に位置し、昔は寛永寺の内庭と言われている、中心に大きな池が占める周りの森林の間を巡る遊歩道で散策を楽しめる場所です。この散策の道筋に沿ってあちこちに桜の木が花を綻ばせているのが印象的でした。

 庭園散策中、多様な木々の緑が織りなす林間で、緑陰とも言える背景に包まれて咲き誇る桜の姿は、色が一段と映えて、背後に抜けた空に浮かぶ白い雲との対比も楽しむことが出来ました。この日は、その後、近くに寺が集う根津から千駄木に至る谷中の街歩きもしました。そこで発見したのは、墓地が連なる灰色世界の寺町にも、あちこちに目立つ枝垂れ桜の大木が、桜の季節を特徴づけていることでした。

 森林や寺院の中で眺めた今年の花見ですが、4月19日、今年の花見の締めくくりとして、高尾山の麓にある多摩森林科学園に出かけました。ここは広大なサクラの保存林があることで有名です。保存林には総数1400本の日本全国各地から集められたサクラが植えられていて、種類によって開花時が異なることでまだまだ咲き誇る桜の木々と出会う事ができました。

 ここでも、谷を挟んだ森林の中に咲く桜の花は、全体として山を包む多様な緑の世界の中に浮かぶ桜の花びらの連なりを見せていて、今年の花見で目論んだ、風景の中での桜の花見を楽しむことができました。

 日本人は昔から、春になると何時も、出会う桜の花を愛でてきました。おそらく生きている限り、日本では誰もが春の桜との出会いを楽しむのだと思います。出会う花も、それを見る人も、時の流れに従って変化を続けていることを考えると、どの花見も、花にとっても見る人にとっても生きている間に一度しかない出会いです。今年の花見も、人生の貴重なひと時の思い出になるかもしれません。皆さんの今年の花見は如何でしたか?



花見の季節を迎える

2017.03.23 10:43:05
テーマ:館長コラム 

花の便りが気になる季節になりました。「今年はお花見を何処で誰と一緒にしようか?」と計画を立て始めた方もいらっしゃるでしょうね。そんな時、最初に知りたいことは、見にゆく場所で「さくら」が咲き始めているのか、どの程度の咲き方なのかなど、新聞やラジオ・テレビの天気予報などでも知らされる「さくら」の開花状況です。
春の天気予報で伝えられる気象情報に「さくら」の開花日や満開日の予想が含まれることも、私たちが、日頃、木々の様子や花の移り変わりで季節の変化を意識していることを考えると、植物が気象状況に敏感に反応する存在であるだけに不自然ではありません。
気象庁のホームページには「生物季節観測の情報」という画面があり、そこでは全国の気象庁所属の官署で統一した基準により、「うめ」・「さくら」の開花した日、「かえで」・「いちょう」が紅(黄)葉した日などの植物季節観測や、「うぐいす」・「あぶらぜみ」の鳴き声を初めて聞いた日、「つばめ」・「ほたる」を初めて見た日などの動物季節観測を行っていることが示されています。これらの観測結果は、季節の遅れや、気候の違いなど総合的な気象状況の推移を把握するのに用いられるほか、新聞やテレビなどにより生活情報のひとつとして利用されていると説明されています。

季節の観測で取上げられている植物には、「さくら」以外に、「うめ」・「あじさい」・「いちょう」・「かえで」が紹介されています。そして、これらの植物の多くは、観察する対象の木(標本木)を定めて実施されると注記されています。「さくら」の標本木は、私たちの身近で一番よく眼にする「さくら」と言える「そめいよしの」と言う品種が使われていることは、ご存知の方も多いと思います。
「さくら」の開花日は「そめいよしの」で5~6輪以上の花が咲いた状態となった最初の日、満開日は「そめいよしの」で約80%のつぼみが開いた状態となった最初の日と定められています。これは勿論、場所ごとに異なるはずです。気象情報に使われる地域の開花情報は気象庁が定めた特定の場所の「そめいよしの」で判断しているのです。「さくら」の開花情報である地域を代表する場所として何処が選ばれているのか、そこは花見に多くの人が訪れる場所でもあるに違いありません。興味をお持ちの方は調べてみてください。
 春休みの季節を迎え、今年はどこの「さくら」を見に行こうかと考えながら、このコラムを書き始めました。その際、「さくら」の開花状況を知り、何時頃が良いかが判断できると、その次は、その期間中お天気が良い日はいつか、一緒に見に行く仲間が時間を取れるかなどと、花見を実行するには幾つも考えなければならない課題が出てきます。この中で私にとって最も重要な課題は花見をする場所の選定です。

 この数年、春が来ると小学校の同級生と場所を選んで花見を楽しむ機会を設けてきました。一昨年は板橋近くの石神井川の両側に続く桜道に沿って、王子駅の近くまで川の両岸に出現した桜の花のトンネルが続く道を歩きました。最終地点の王子駅付近には昔からの桜の名所である飛鳥山があります。年のせいもありますが、この時はおよそ半日のコースでした。小金井公園の近くから流れ始める石神井川が隅田川に至るまでに、こんなにいくつもの桜の名所を抱えていることに驚きを持ったことは忘れられません。
 昨年は、東中野の近くの神田川の両岸に咲く桜道を川に沿って辿る花見をしました。高田馬場近くを通って江戸川橋まで都心を流れる神田川の途中には、素晴らしい桜を眺めるスポットが幾つも連なっていました。昔から人々の生活と深く関わってきた有名な川沿いには、桜見物の名所が幾つもあることを改めて知らされました。

こんな体験を重ねて、今年は何処にするのか考え始めています。今年も川に沿った桜の名所にするのか、川ならどの川にするのか、川をやめて山にするのか、色々と考える楽しみも
この季節のもたらす人間への贈り物かもしれません。皆さんは今年、花見を何処で誰となさいますか?皆さんの今年の花見の思い出が素敵なものになることを願っています。

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