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【時の記念日100周年企画】漏刻を作ろう!③(原理編)

漏刻を作って、実際に時を測ってみました。
ここからはなぜ漏刻で時間を知ることができるのか、その仕組みを考えてみましょう。

まだ漏刻を作っていない方はこちらから。
【時の記念日100周年企画】漏刻を作ろう!(工作編)

【漏刻のしくみ】

水は高さが高いところから低いところへ移動する(流れる)性質があります。
異なる高さにある水槽を水で満たされた細い管で繋ぐと、サイフォンの原理により水槽の水は管を通って低いところにある水槽へと移動していきます。

漏刻は水を一定のスピードで容器に入れて、溜まった水の水位から時刻を読み取る装置です。
※サイフォンの原理は高低差がある場所で、重力により生じるエネルギーなどの影響で、水などの液体が元の水位よりも高いところを通り、より低いところに流れていく現象です。

【なぜ複数個の水槽が必要なの?】

サイフォンの原理によると、水の流れる速さは管の形状や水位の差によって変わります。時刻を知るためには水が均等に増えていく、つまり流れが一定である必要があります。
水槽が2つの場合、水が移動するにつれ高い方の水槽の水位は低くなり、低い方の水槽の水位は高くなるので、水位の差が少なくなります。すると水の流れる速さも遅くなっていき、水面が同じ高さになると流れが止まります。

つまり2つの水槽で水の流れを止めることなく出来るだけ一定に保つには、高い方の水槽の水位が低くならないように、常に水を継ぎ足す必要があります。
これでは正確な時刻を知るために、ずっと監視しなくてはならないので現実的ではありません。

では水槽を3つに増やすとどうでしょうか?
水槽が2つの時と同様に水が移動することで、一番低い水槽の水位は高くなります。
真ん中の水槽からは低い水槽に水が移動するので水が減りますが、同時に高い水槽から真ん中の水槽に水が移動して来るので、水位はほぼ一定に保たれます。
水の補充も一番上の水槽が空にならないように定期的に補充すれば止まることはありません。
同様に水槽の数を4つ5つと増やすことで、一番高い水槽の水位が低下する影響も分散されて、より精度の高い時計が作れます。

1300年前の人々も、このしくみを理解して漏刻を製作したと考えられます。当時の技術が優れたものであるかがわかりますね。

【参考】関西大学文学部考古学研究室,2015.『水落遺跡と水時計 解説書』

【時の記念日100周年企画】漏刻関連記事
vol.0 日本の「時間」始まりの地『飛鳥』
vol.1 漏刻を作ろう!工作・準備編
vol.2 漏刻を作ろう!使い方編
vol.3 漏刻を作ろう!原理編
vol.4 漏刻を作ろう!実験編