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【時の記念日100周年企画】漏刻を作ろう!④(実験編)

ここまでご紹介してきた水時計のひとつである「漏刻」は、水の流れる速さは管の形状や水位の差によって変わります。では実際にどれくらい変わるのか実験してみましょう!

【実験① 水位の違いで考えよう】

水面の高低差が変わったときの、水の流れる速さを比べてみましょう。
条件としてコップは2つ使用して、水の量と管(ここではチューブを使っています)の長さは変えずに、コップの高さのみ5㎝ずつ変えて実験します。

水の移動にかかった時間
①ブロック1つ分の時(水面の高低差9.5) 228秒
②ブロック2つ分の時(水面の高低差14.5) 96秒
③ブロック3つ分の時(水面の高低差19.5) 69秒
④ブロック4つ分の時(水面の高低差24.5) 54秒(※発砲レンガを縦に並べています)
⑤ブロック5つ分の時(水面の高低差29.5) 43秒(※発砲レンガを縦に並べています)

高低差が9.5cmの時を除き、14.5cmから29.5cmまで変化させた時はほぼ均等に速くなっています。ちなみに9.5cmの時も120秒経った時点で、ほとんどの水は移動し終わっていました。この時点で計測を終えていれば、グラフの傾きはほぼ一定になっていたはずです。

それでは、なぜ228秒もかかったのでしょうか?
水が移動する様子を観察したところ、水面の高低差がほとんどなくなると、極端に水の流れる速さが遅くなったことがわかりました。
グラフからもわかる通り、水面の高低差が大きいほど水の流れが速くなり、移動にかかる時間が短くなるのです。

【実験② 長さの違いで考えよう】

次に管の長さが変わったときの、水の流れる速さを比べてみましょう。
条件としてコップは2つ使用して、水の量やコップ高さは変えません。管にストローを使いますが、同じストローを継ぎ足して長くしているので、長さ以外の太さなどは変わらないようにしています。

水の移動にかかった時間
長さ35㎝のストロー 66秒
長さ68㎝のストロー 97秒

管の長さが長くなると、水の移動にかかる時間が長くなっています。
水の量は同じなので、管の長さが長いほど水の流れる速さが遅くなっていることがわかります。

【実験③ 太さの違いで考えよう】

最後に管の太さが変わったときの、水の流れる速さを比べてみましょう。
条件としてコップは3つ使用して、水の量やコップの高さは変えません。管には同じ長さで太さの異なるストローとチューブを使います。

水の移動にかかった時間
直径4.5㎜のストロー   90秒
直径3.8㎜のストロー  150秒
直径1.5㎜のチューブ  2,790秒(46分30秒)

管の太さが細くなるほど、水の移動にかかる時間が長くなっています。
今回はストローとチューブを使用しましたが、素材の違いによって条件なども変わるので、すべて同じ素材で比較するとかかる時間が少し変わるかもしれません。

管の中を水が流れるときには、管と水の間に摩擦が生じます。
管の長さが長くなったり、管の太さが細くなることで水が受ける摩擦も増えるので、実験②③で水の流れる速さが遅くなった原因の1つに摩擦の影響と考えられます。

3つの実験から水の流れる速さは、
・水面の高低差が大きければ速く、小さければ遅く
・管の長さが短ければ速く、長ければ遅く
・管の太さが太ければ速く、細ければ遅く
なることが確かめられました。

皆さんも実験して現象を確かめて、1分計にするか1時間計にするか、好きな時間の長さを測れる漏刻にアレンジしてみましょう!

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vol.0 日本の「時間」始まりの地『飛鳥』
vol.1 漏刻を作ろう!工作・準備編
vol.2 漏刻を作ろう!使い方編
vol.3 漏刻を作ろう!原理編
vol.4 漏刻を作ろう!実験編