髙柳雄一館長のコラム

「くらしの中の20のしくみ展」の開催に寄せて

 宇宙の「しくみ」、地球の「しくみ」、生き物の「しくみ」、そして社会の「しくみ」・・、私たちが生活する身の回りの世界には、その背後に無数の「しくみ」が必ず潜んでいます。そんな「しくみ」を発見し利用することで、私たち人間は、現代の豊かで安全な安心できる生活を手に入れて来ました。

 春の企画展では、私たちが生活する身近な世界から、開館20周年記念にちなんで20の「しくみ」を具体的にとり上げました。私たちは日常生活で、「便利なもの」、「使いやすいもの」に出会うと、家族や知り合いに是非ともそれを伝えたいと思います。その際、「しくみ」をよく知っていることはとても役立つはずです。

 くらしの中では、いくつもの「しくみ」がまとまって、さらに大きな「しくみ」をなしています。それに気づくことも楽しいものです。春の企画展関連イベントでは、安心・安全な生活する建物の世界を支える「しくみ」を総合的に研究して、最先端の技術を開発している大林組技術研究所の施設見学会も企画しました。

 日頃は意識していない生活の中で、私たちが活用している「しくみ」を探り、皆さんとともに身近な科学の原理に触れて楽しみ、それを発見する喜びを体験することで、多くの皆さんが科学する心の目を養う機会にして頂ければ幸いです。

しくみ展(小)

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髙柳雄一館長

高柳 雄一(たかやなぎ ゆういち)

1939 年4月富山県生まれ。1964年、東京大学理学部物理学科卒業。1966年、東京大学大学院理学系研究科修士課程修了後、日本放送協会(NHK)にて科学 系教育番組のディレクターを務める。1980年から2年間、英国放送協会(BBC)へ出向。その後、NHKスペシャル番組部チーフ・プロデューサーなどを 歴任し、1994年からNHK解説委員。
高エネルギー加速器研究機構教授(2001年~)、電気通信大学教授(2003年~)を経て、2004年4月、多摩六都科学館館長に就任。

2008年4月、平成20年度文部科学大臣表彰(科学技術賞理解増進部門)