髙柳雄一館長のコラム

春の到来に思う

2018.02.04 11:32:38
テーマ:館長コラム 

 お正月の行事も含めて色々な出来事が集中した1月も終わりました。今年の1月は皆既月食の話題で、例年よりも印象的な幕を閉じた様に思えます。月の話題以外にも、色々な思い出が重なったこの季節は、それだけ意識された時間も多くなり、ゆっくりと時が流れて行った様にも感じます。そんな気持ちの中で2月を迎えました。そして、新しい月に入ると、すぐに立春を迎え、早速に春の話題を意識することになりました。

 子どもの頃から、“2月は逃げる、3月は去る”と、春はやって来ると駆け足で通り過ぎる季節だと言う思いを持ってきました。これまで過ごした年月の中で、1月のゆっくりした時の流れに対して、2月は月初めに立春を迎えると、もう3月末の花の季節まで、時は一気呵成に流れる様に感じてきたためかもしれません。

 このコラムを書きながら、こんなことを思い出すことになったのは、多摩六都科学館で企画している催しを紹介して、皆さんに配布している「ロクトニュース」春の最新号(※2月15日発行予定)に、館長の「ここに注目!」と言うコーナーがあり、そこでは、今年の春の特別企画展「たまろく水辺の案内所」に触れてみようと思ったからです。

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 「ロクトニュース」の表紙にある「ここに注目!」のコーナーは、ご覧頂くと分かりますが、文字の数で百十字ほど。読む人々には短くても印象に残る言葉で表現せざるを得ません。今回は世代を超えて、春の水辺を思い出すことを期待し、子どもの頃から私自身が親しんできた童謡「春の小川」の一節を利用して書いてみました。それを、ご覧になって皆さんがどう感じられるかは、ご自身で判断して下さい。ここでは何故、私が童謡「春の小川」を利用したのかについて書いてみましょう。

 童謡「春の小川」を私が知ったのはいつ頃だったのかは不明です。しかし、春、野外で水辺に接する機会があると自然に口ずさむ童謡の一つになっていますから、小学生低学年の時だったと思います。「春の小川は さらさら行くよ ・・」と言う歌い出しの歌詞と同時に独特のメロディも口をついて自然に出てきます。調べてみると、この童謡が文部省の唱歌として発表されたのは1912年です。それ以来、子どもたちにこの童謡が親しまれて来たとするともう百年以上も歌われてきたことが分かります。もっとも、この童謡が現代の子どもたちにどれだけ知られているのかはよく分かりません。周りの人にも尋ねてみましたが、メロディぐらいは知られているのではという意見もありました。何れにしても現在、大人になっている人にはよく知られた童謡だろうと思いました。今回はそれを仮定して使うことにしたのです。

 春の特別企画展「たまろく水辺の案内所」では、多摩六都科学館がある北多摩地域の特徴ある川を取り上げています。その歴史やそこに生息する生き物を紹介し、この地域が水と緑に恵まれた環境であることを知り、出かけてみたくなるように企画しました。こんなすばらしい環境が、身近にもあることは都市の中で生活する私たちが見失っている情報の一つです。

 童謡「春の小川」に歌われたと言われている小川は、現在、東京渋谷近くで地下を流れ、その地表には歌碑が残されています。百年前の「春の小川」は都市化の波に消え去っています。しかし、多摩六都科学館のある地域には豊かな水辺と緑の世界が、地域の人々の努力にも支えられて、今も存在しているのです。そんなメッセージも込めて私は童謡「春の小川」」を、「ここに注目!」で利用したのです。

 立春から花の季節まで、あっという間に通りすぎる春です。春が来たとき、春は一体どこから来るのか、そんな興味を意識して皆さんも春の到来をお楽しみください。



月にみる、時の移ろい

2018.01.01 09:30:30
テーマ:館長コラム 

 明けまして、おめでとうございます。

新しい年が始まり、新たな時間を与えられた様にも感じられ、新鮮な気分になった方もいらっしゃることでしょう。新年を迎える冬は時の移ろいを意識する季節かもしれません。

今年のお正月は、そんな時の移ろいを意識して楽しめる素敵な月になっています。それは満月が2回訪れるからです。1月2日と1月31日、晴れていれば満月が見えます。そして、おまけに、この2度目の満月には皆既月食が起こります。2018年1月31日の月は、「月見る月は、この月の月」とも言える素晴らしい月見の月になっているのです。

現在、私たちがカレンダーで使っている月と言う時間の長さも、歴史的には、月の満ち欠けの周期を基に人類が使い始めたことから生まれているのはご存知でしょう。地上から見る月の満ち欠けには約29日半の時間が掛かります。それが今年のカレンダーでは1月に全て含まれたのです。一月に満月が2回も見られるのはそのせいですが、一月の間に2回満月の日が含まることはそれほど頻繁には起こりません。その珍しさを示す意味で、現在ではこの2度目の満月をブルームーンと呼んでいます。

これは「つきのいろ」を意味してはいません。ブルームーンと名前が付けられた満月は、歴史的には春分・夏至・秋分・冬至と太陽の運行で区切られた春・夏・秋・冬の三ヶ月の季節に、満月が4回起こるとき、その3回目の満月のことでした。人類が季節毎の農業活動での時の移ろいを満月の名前に示していたことは、秋分に近い満月をハーベストムーンと呼んだりしていたことでも良く知られています。そんな時代、多くの季節には満月が三回しか起こらないのに季節に4回も満月が生ずるのは稀な満月と考えられ、本来なら三回目で季節を終える満月にブルームーンと名前を付けて、もう一回満月が見られることを印象付けたのかもしれません。ブルームーンと言う名前はある特別な満月を意味したのです。

現在、ブルームーンと言う言葉は、4回の満月を含む季節で3回目の満月を意味するときと、2回の満月を含む一月で2回目の満月を意味するときの両方に使われていることを覚えて頂ければと思います。最後に、これまでのお話では月の満ち欠けを満月から満月へと考えてきましたが、これは新月から新月へでも変わりません。そのことは、ここでお話した特別な満月をブルームーンと呼んだのに対応して、4回の新月を含む季節で3回目の新月と2回の新月を含む一月で2回目の新月に当たる特別な新月はブラックムーンと呼ばれていることもお伝えしておきます。ブラックムーンとは新月に相応しい名前ですね。

 多摩六都科学館のプラネタリウムでは現在、生解説番組で「つきのいろ」を取り上げています。そこでも、ブルームーンについても詳しい説明があるでしょう。興味をお持ちの方は是非御来館ください。現代では誰でもカレンダーや時計で、時の流れを簡単に知ることが出来ます。私たちには生活の中で月を眺めて時の移ろい確認する必要はありません。それでも月が話題になると眺めてみたくなります。晴れていれば、誰にでもすぐに夜空に見つけられる天体ですから、社会全体で体験できる宇宙の話題としては最適なのかもしれません。

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