ロクトリポート

1/26(日)開催 「将来の宇宙開発を担うハイブリッドロケット」講演会の様子をお届け

今回の講演会は

「ロクトサイエンスレクチャー 宇宙の最新研究に触れよう」 第1弾!

多摩六都科学館では、公益財団法人 宇宙科学振興会が主催をする『宇宙科学奨励賞』を受賞された研究者をお招きして、毎年ご講演いただいています。

『宇宙科学奨励賞』とは、
宇宙科学分野で優れた研究を行っている若手研究者を顕彰する目的で、宇宙理学と宇宙工学の2つの分野から毎年1名ずつ選出されます。

なお、昨年までの「宇宙科学奨励賞受賞記念講演会」からタイトルと実施方式を大きく変え、参加者の皆さんに、講師の先生とより近い距離で積極的に参加してもらえるような講演会を目指しました。

講師は、昨年度に宇宙工学分野で受賞された、
東北大学 学際科学フロンティア研究所 助教 齋藤 勇士(さいとう ゆうじ)先生です。

▲齋藤勇士先生(左)、髙柳館長(右)

▲講演会の様子

講演タイトルは

「将来の宇宙開発を担うハイブリッドロケット」

皆さんは「ハイブリッドロケット」というものを聞いたことはあるでしょうか?
その正体は、実用化に向けて研究中の“新しい種類”のロケット。

そもそもロケットには、酸素が無い宇宙空間で燃料を燃やすために[燃料]と[酸化剤]が搭載されていて、それぞれの保管状態(固体か液体か)でロケットの種類分けがされます。現在の主流は両方固体の「固体ロケット(イプシロンなど)」と両方液体の「液体ロケット(H3など)」です。
「ハイブリッドロケット」はその名の通り「固体ロケット」と「液体ロケット」のハイブリッドで、[固体燃料]と[液体酸化剤]を搭載することにより固体・液体双方のメリットを併せ持ったロケットになっています。
注目はその「安全性」と「推進力を制御できるところ」なのだとか。

燃料の成型が難しく中々研究が進まなかった歴史がありますが、3Dプリンタという技術革新により一気に実用化を目指せる、そんなエンジンが出来つつあります。

まだまだ実用化に向けた課題はたくさんあるそうですが、株式会社ElevationSpaceとの共同研究によって、小型衛星へハイブリッドロケットを搭載して2026年には実証実験が行われる予定とのことで、将来ハイブリッドロケットが活躍する日が来るのが楽しみですね。

さて、講演の中では齋藤先生からいくつかクイズも出題されたので皆さんもチャレンジしてみてください。(答えはQ4の後にあります)

Q1 どこからが宇宙でしょうか?

①高度100km

②高度 339km

③高度 400km

Q2 ロケットに該当するものは?(複数回答可)

①SpaceX社のStarShip

②はやぶさ2

③ペットボトルロケット

④台車(宇宙服を着た宇宙飛行士がジャガイモを投げて動いている)

Q3 ろうそくの火は宇宙空間でどのような形になるでしょうか?(微小重力かつ空気はあるものとする)

①三角

②球状

③四角

Q4 “It’s not rocket science” はどういう意味でしょうか?

①ロケット科学ではない

②複雑ではない

③ロケット打ち上げに失敗

答え

Q1 ①100km

②は東北大学(仙台市)~多摩六都科学館の距離、③はISSが周回する高度
こうして見ると意外と宇宙って近いと思いませんか?

Q2 全部

ロケットの定義:推進剤(燃料と酸化剤、水etc)を搭載し、それを排出することで反力を利用して推力を発生させる装置

Q3 ②球状

先生が参加される小型衛星ミッションでは「微小重力空間での様々な実験」を行うそうです。身近な現象も「地上だからこそ」であり、微小重力では新しい発見がたくさんあるかもしれません。

Q4 ②複雑ではない

「ロケット科学(rocket science)はとても複雑で難しい」と一般に思われているから生まれたイディオム
→先生はこれを打破してロケットをタクシーくらい気軽なものにしたいとのこと

講演会の後半では、参加者からのスマートフォンを通じて集めた質問や口頭での質問にお答えいただきながら、髙柳館長とともにお話を深掘りしました。
大変多くの質問を寄せていただき、時間いっぱいまでご回答いただきました。

▲齋藤先生と髙柳館長の対談(質疑応答と深掘り)の様子

齋藤先生のご厚意で、講演中に回答しきれなかった質問にもご回答いただきましたので、当日お答えいただいた質問も含めてQ&Aを公開させていただきます。
また、当日の簡易版の資料もご用意いただきましたので、内容を振り返りたい方、気になった方はQ&Aと合わせてご覧ください。(閲覧期限5月31日)

※複製や他者への提供などは禁止とさせていただきます、ご了承ください。

1/26(日)開催 「将来の宇宙開発を担うハイブリッドロケット」Q&Aを大公開

講演会スライド資料pdf

改めまして、ご講演いただいた齋藤先生、共催としてご協力いただいております宇宙科学振興会の皆さまへ厚く御礼申し上げます。

ご参加いただいた皆さまもありがとうございました。是非またご参加ください。