ロクトリポート

いちばん小さな星座は?

星座は全天で88ありますが、「いちばん大きな星座は?」でもご紹介したとおり、星座の大きさは大小さまざま。空全体でパズルのように組み合わさっています。

前回は、いちばん大きな星座をご紹介しました。

それでは、いちばん小さな星座は何でしょうか。

三択クイズにしましょう。

1.からす座

2.や座

3.みなみじゅうじ座

(3つとも正式に登録されている星座です。)

正解は・・・

3.みなみじゅうじ座

3つの星座の中では最も有名な星座かもしれません。

〝南十字星〟と呼ばれて南国で見られる憧れの星座、あるいは宮沢賢治の童話「銀河鉄道の夜」の終着駅「サウザンクロス」としても知られていますね。

オーストラリアやニュージーランドなど南半球の国々の国旗に描かれています。

その「みなみじゅうじ座」が全天で最も小さい星座なのです。

西東京市からは地平線の下に隠れて全く見えません。

しかし、実は日本国内でも南端付近まで行けば見ることができます。

それではプラネタリウムで旅をしてみましょう。

6月初旬(5月下旬でも)20時30分ごろ、北緯24度の石垣島で見る南の空です。どこにあるかわかりますか?

真南の水平線スレスレを探してください。

ギリギリ見える小さな十字架。これが「南十字星」です。

実際にはあまりにも低いため、天気や空の透明度の影響で、きれいに見える機会は少ないそうです。

みなみじゅうじ座は、もともとはケンタウルス座の一部でしたが、大航海時代の17世紀頃にヨーロッパで確立しました。天の南極には北極星のような目立つ星がないため、南半球で航海の道しるべとなったのが「南十字星」です。

©AMARU★

十字の長い方の(ガクルックスとアクルックスを結んだ)線を約4.5倍伸ばすと、天の南極の位置。正確な南の方角を知ることができます。

そして、北の空の北斗七星のように、天の南極を指し示しながら回転しています。

北の空の星の動き(1)北の大時計

北斗七星が「北の大時計」ならば、南十字星は「南の小時計」でしょうか。

ただし、となりによく似た「にせ十字」があるので気をつけてください。本物より先に昇ってくるので、よく間違えられることで有名です。(にせ十字はりゅうこつ座とほ座の一部で星座の名前ではありません。)

本物のすぐそばには、ケンタウルス座の1等星が2つ(リギル・ケンタウルスとハダル)並んでいるのが目印です。みなみじゅうじ座にも1等星が2つあり、天の川の真っ只中で明るい星がコンパクトに集まっていて美しく、見分けがつきます。

もう一つの見分け方は、東京からも見える春の星座・からす座からたどる方法です。いびつな台形のからす座から真っすぐ下(南)に、からす座にすっぽり収まる大きさの十字の星を探すと、それが「南十字星」です。

20200516-2100 – Spherical Image – RICOH THETA

小さい星座トップ3は、みなみじゅうじ座、こうま座、や座です。

こうま座は秋、や座は夏の星座の中にひっそりと輝いています。

ちなみに、からす座は19番目に小さい星座です。

地球は丸いため、南北の緯度の違いで見える星座の範囲は変わります。夜空を眺めて北斗七星が見えたら、南天に輝くいちばん小さな星座も地平線の向こうで回っていることを、思い出してください。

そして、いつか旅行に出かけられるようになり、南方へ行く機会があったら、実際の空で探してみてください。

※星をさがす時は、ご自宅など安全なところでお願いします。また、子どもの皆さんはお家の方と一緒に見るようにしましょう。