ロクトリポート

多摩六都科学館初の試み!「オンライン天体観望会」実施レポート

2021年11月14日日曜日の夕方、多摩六都科学館としては初めての試みである「オンライン天体観望会」を実施しました。

天文グループスタッフが毎日のように心配していたのは、当日の天気。

結果は・・・

無事に晴れてくれました!!まずは一安心!!!
プラネタリウムドーム「サイエンスエッグ」の上に写っているのは月です。風も弱く、観望会日和となりました。
この日の空には、月・木星・土星・金星など肉眼でも簡単に見つけることができる明るい天体が勢ぞろいしていました。

YouTubeのライブ配信は、当選された方のみに向けての限定公開でしたが、どんな様子だったのか気になる方のために、写真でイベントレポートをお届けします!

~準備編~

望遠鏡やカメラなどの撮影機材のほか、解説用のマイクや配信のためのパソコンなど、あらゆる機材を屋上にセッティングしました。

~いよいよ配信スタート~

スタッフの思い付きにより、急きょ採用されたペガロクのアップからのスタート。
・・・ややホラーな感じになっていたようです。
スタッフが気が付いたのは、終了してからでした。ビックリした方、ごめんなさい。

今回のオンライン観望会には、自宅から空を見て一緒に楽しんでいただきたいという想いがありましたので、望遠鏡や望遠カメラを用いた天体の映像をお楽しみいただく前に、「今日の目標」や、場所選びのポイントなどをじっくりとご紹介しました。

ご自宅から、スマートフォン片手に実際に空をごらんいただいた方もいらっしゃったようです。ありがとうございます!

まずは宵の明星、金星から観察スタートです。

~金星~

12月初旬に最大光度となり、マイナス4.7等まで明るくなる金星は、この日もマイナス4.5等級と大変明るく輝いていました。
金星にデジタルカメラを向けて、ひたすらズーム。カメラの揺れがおさまって、写りが安定してもまん丸い形には見えないことが分かります。金星は月のように満ち欠けをする天体なので、高い倍率で観察すると欠けた形を見ることができます。


この日の金星は、半月ほどの欠け具合でした。

~土星~

つづいては、望遠鏡の接眼レンズとスマートフォンを組み合わせて、土星の観察に挑戦です。
今回は、天体が視野の中央に入るように向きを調整する「導入(どうにゅう)」、ピント合わせなどの手順も見ていただきました。本来は接眼レンズをのぞきながら行う操作で、通常の観望会ではこれらの操作をすべて終えた状態で参加者の皆さんにご覧いただいているので、意外とめずらしい光景なんですよ。


【おまけ】テストの時には記録撮影もしました。環がはっきりと映りました!

~月~

望遠鏡で観察すると迫力満点の月。この日の月齢は9.2、半分よりも少し丸い形でした。
明るい部分では、表面の色のちがいが良く見えました。全体的に白っぽい月ですが、やや黒っぽいところは「海」と呼ばれます。暗い部分との境目付近ではデコボコとしたクレーターの様子を楽しむことができます。

月の地形には、様々な名前がついています。
当日観察していた月の様子に地名を当てはめてみると、このようになります。

本番中にも、リアルタイムで映っている月に地名を出せるように準備していましたが、時間とともに空を動いていく月のスピードが意外と速く、スタッフが必死になって対応していたという裏話も。

~木星~

つづいては、ふたたび望遠鏡+スマートフォンで木星の観察に挑戦です。

天体が明るく写るようにスマートフォンのカメラの設定を調整すると、ガリレオ衛星がよく見えます。
配信では、はっきりと見えた「ガニメデ」「イオ」「カリスト」の3つをご紹介しましたが、この日はガリレオ衛星がすべて見える日でした。右下に写っている「エウロパ」は、すぐそばの木星が明るい影響もあって、かなり暗く感じられますね。ガニメデの近くには、木星の衛星とは関係のない恒星が写っています。同じくらいの明るさですが、ガニメデは太陽に照らされて輝く星、恒星は自ら明るい光を放っている星です。光り方に大きな違いがあります。

その後、スマートフォンのカメラ設定を、全体的に暗く映るように調節すると・・・

縞模様の観察がしやすくなりました!
ちなみに、カメラではこのように観察したいものによって設定を変える必要がありますが、人間の目なら、衛星と縞を同時に観察することができます。すごいですね。
望遠鏡をのぞく機会がありましたら、ぜひ思い出してみて下さい。

【おまけ】
こちらもテストの時に撮影をしてみました。
いくつか縞模様が写っているのがお分かりいただけるでしょうか?

はじめてのオンライン観望会は、スタッフにとってはあっという間の一時間でした。
参加者のみなさまからも、たくさんの質問を頂きましたが、時間の都合上ほとんどお答えできませんでしたので、どこかの機会でお答えできればと考えています!

通常の多摩六都科学館の観望会にはご参加いただけない小学生未満のお子様や、外出に不安を感じる方にも、お家で空を楽しんでいただけるプログラムとして、今後も実施を検討しております。
またの機会がありましたら、ぜひご参加ください!

【天文グループ】