ロクトリポート

館庭昆虫調査 ~第21回~

科学館の庭の雑木林リニューアルに伴い、2017年から雑木林再生エリアの昆虫調査を始めました。
草地の環境から林になっていく過程での昆虫の変化を季節ごとに調べていきます。

今回は通算21回目、春の昆虫調査を5月14日に行いました。
午前中まで前日から続く雨が強く降っていましたが、昼過ぎには青空も見え、雨上がりの少し蒸し暑い天気の中、たくさんの昆虫を見つけることができました。

この日、一番特徴的だったのがクロオオアリの羽アリです。
アリの巣の中では働きアリの他に次世代の女王アリになる幼虫とオスアリの幼虫が育てられていて、この2種類のアリは働きアリと違って羽を持った成虫になり、5~6月頃に婚姻飛行と言って巣から飛び立ち交尾をします。そのタイミングが雨上がりの晴れて蒸し暑い日の午後であることが多いのですが、今回の調査の時間にちょうどその条件がそろっていたようで、多くの羽アリを見ることができました。

オスの方がメスより頭が小さく細身です。メスは交尾のあと羽を落とし、新たな巣を作り始めます。

アリに限らず、多くの昆虫たちにとってこの時期は繁殖の季節で、相手を探したり幼虫のためのエサを集めたりと動きも活発です。小さな虫もじっくり見てみると、羽の色や形のバリエーションが多くて、身近なところに意外とたくさんの種類の生きものがいることがわかります。
お天気のいい日には、ぜひ昆虫探しをしてみてください。

※昆虫採集は調査の為に行っています。
一般の方による昆虫採集および通路外への立ち入りはご遠慮いただいております。ご了承ください。

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