<Qua(クワ) Qua(クワ)ワークショップ>2022 色とカタチであそぼうの2回目を、11月26日に開催しました。
テーマは「線とカタチ」。
講師はレッジョ教育を広める会@キオッチョラ@の皆さんです。
講師のおひとり、石井さんは4年間イタリアのレッジョ・エミリア市で幼児教育を学ばれていました。
レッジョ教育とはモンテッソーリ、シュタイナーと並ぶ世界5大幼児教育のひとつで、子どもの主体性を引き出す教育として、現在とても注目されています。
※過去に当館で行ったワークショップについて詳しくはこちら
テーマについて
2022年度は「色とカタチ」がテーマで、11月は「線とカタチ」さまざまなカタチを感じて自分だけの世界を表現します。
レッジョ教育では、環境を整えることで子どもは自分の中にある能力を出すことができる(表現することができる)と言われているので、環境づくりを大切にしています。
今回は「線とカタチ」に注目しやすいように、モノクロの世界で空間を演出しました。
部屋に入ると薄暗い世界。陰や光の中から線やカタチを探します。
自然と「自分で発見して興味が出たものを探求できる」環境づくりを目指しています。
また、前回のワークショップでみんなが描いた大きな絵も展示しました。
暗い中で作品を見るとまた違った印象になります。
子供たちも覚えていて「あっ!これ描いたよ!」と嬉しそうに自分の絵を探していました。
線やカタチを探してみよう
カタチについての問いかけから始まりました。
石井さん:「どんなカタチを知っているかな?」
子どもたち:「ハート!」「ダイヤ!」「さんかく!」「しかく!」「まる!」
など、たくさんあがりました。
石井さん:「今日は一緒にパウル・クレーさんという絵描きさんの絵を見てみましょう」
「太い線、細い線が見えますね。」「丸や三角が組み合わさってますね。何に見えるかな?」
「すみの濃いところ、薄いところ。白黒の世界でカタチをさがしてみましょう。」
「なんだか山の風景にも見えてきましたね。」など語りかけながら絵を一緒に観ていきます。
子どもたち:「カメがいるんじゃない?」「てんてんがたくさんある」「水色はうみだよ!」
「おさかなだ!」など、自由に発言しながら一緒に絵を観ました。
石井さん:「クレーさんは自然をじっくり観察していることが、線やカタチから分かりますね。」
カラダでカタチを表現!光や影からカタチを探してみよう!
線やカタチを絵から探した後は、自分のカラダでカタチを表現してみました。
まずは自分の影を探して・・・
もう一人の自分(自分の影)を見つけたら、いろいろなポーズをとってみました。
(左)「あなたの影はどこかな~?」
(右)「あっ!みつけた!」
(左上)「あっ!(自分の影が)いるいる!見つけた!」
(左下)「ジャンプ!ジャンプすると一緒に動くよ!」
(右) 「まる!ってやると、影もまるくなる!」
他にも「(ひかり)に近づくと大きくなる」「二重にみえる」「(ひかりに)近づきすぎると見えなくなっちゃう」などなどたくさんの発見がありました。
カラダで表現したあとは様々なモノが置かれたエリアへ。
みんなで影を観察します。
石井さん:「このカタチはなんのカタチかな?」「この恐竜はどこにいるのかな?」
子ども:「(恐竜フィギュアを指さして)ここだよ!これの影だよ!」「線がみえる~」「虹も見えた!」
などなど、たくさん発見をしていました。
石井さん:「この光はどこから来ているのかな?」と、壁にいろいろな反射している光を指さしました。
今回はプロジェクターや懐中電灯などの光源もいくつかあり、さらに銀紙や鏡、アクリル、ガラスなど様々な素材が置いてあったので、大人でも光の道筋を見つけるのが難しかったのですが、子どもたちは光と影を探求していました。
いろいろな線をかいてみよう!
次は自分で線を描いてみます。
今回はモノクロの世界。墨汁を使います。
まずは道具の使い方を見てもらいます。
「今日はこんな筆を使います!」と扇形のふしぎな筆を見せると、「わぁ!カッパの手みたい~」とじっくり筆を観察。
筆にたっぷり墨汁をつけて線をかきます。だんだんかすれてくるとグレーになりました。
筆を回すと丸がかけました。筆でスタンプみたいに点々すると足跡に!?
墨汁がたっぷり付いている部分はキラキラしてみえます。そのキラキラ(墨汁)に綿棒を付けると綿棒がスタンプのようになって点々かけるようになりました。
いろいろな線やカタチのかき方を見た後は自分たちの番!
みんな夢中に線をかいていました。
墨汁を初めて使う子が多く、前回の絵具とは違って「するするかける」と書き心地を楽しんだり、かすれ線をかいてみたり、「(扇形の筆を横に使うと)細い線がかける!」と発見したり、「(綿棒で)てんてんたくさん!」と楽しんだり、それぞれ探求していました。
絵本にしてみよう!
今回書いていた紙は、よく見ると切れ目が入っていました。
折りたたむと本になります。1枚の大きな絵で見ていた絵が本になると、また違って見えてきます。
「右からでも、左からでも、縦で開いても、横で開いても、自由です。本をめっくってみて、いいな。と思う方を表紙にしてみましょう!本の方向が決まったら、キラキラの紙テープと黒のマジックを渡すので、かき足したりキラキラを貼って本を完成させましょう!」
「どっちから読める本にしようかな~?」みんな、自分の本をいろいろな方向からめくって考えました。本の方向が決まったら、本の仕上げです。
マジックで目や人間や模様、書ける子は文字を足していきます。
キラキラテープは手でちぎったり、ハサミで切ったり、長いままだったり。みんな納得した形にしてからのりで貼っていきました。
みんな熱中して取り組んでいました。
そして・・・・。
こちらが完成した絵本です!!
1枚の絵が本になり物語がうまれてきました。
シェアタイム
大きなスクリーンにうつしてみんなで絵本を見ました。
ストーリーやそれぞれの絵についてお話してもらいました。
子どもたちの言葉を少し紹介します。
「黒い中に人がいたり、紫をこわがる」
「トランプをする。リープ(小6)が友達の家に遊びに行きました。雨が降ってきました。川を渡って、家に着きました。」
「プレゼント。石です。普通の道路と高速道路です。(横から見ると高速道路が立体で浮いている。)輪っかは持つところです。」
「本のタイトルは『顔がいっぱい』です。飛び出すバネ。顔がいっぱい。笑っている顔。最後は十字架です。」
「雲から人が降りてきている。風と雲」
「ハチのペルルぺ!飛行機雲がある。ヘビが真っ黒い人が見てるからこわくなった。(真っ黒い人の目線を金色の紙テープで表現)お母さんヘビはハート。真っ黒い人は「ことる」って言ってる。「ことる」は「来ないで」っていう意味。漢字が苦手。飛行機雲をつくった飛行機。キラキラのおひめさまヘビがトンネルをくぐっている。」
「猫こども。バックを持っている子がお友達のおうちからかえる途中。猫にあった。猫をおうちにつれてかえる。バスに乗ってマンションのおうちに帰った。」
(左上)みんなにお話しをしている場面
(左下)みんなでお話を聞いているところ
(右) 前に出てきて、お話をしながらページをめくっているところ(スタッフに説明中)
最後に石井さんから。
「今日はちょっと時間が短かったので、ぜひおうちに帰ってお話の続きをお子さんたちに聞いてみてください。きっとお子さんのなかには物語がうまれていると思うので、ご家族でこの本を見ながらお話をしてみてください。ぜひ継続的におうちでも実践してみてください。」
とメッセージがありました。
今回は、保護者の方からも「モノクロの世界でこんなに豊かな表現が見られるんですね!」「いつもとは知らない子供の発想が見られました。」「本の形になるとストーリーが生まれてくるんですね。」など感想をいただきました。
個人的にも、力強い線やかすれ線など、線でも様々な表現が見られとても楽しかったです。
ご参加いただいたみなさま、キオッチョラのみなさま、ありがとうございました!