西東京市にある東京大学生態調和農学機構と、市民、多摩六都科学館の三者が実行委員会形式で企画している「農と食の体験塾」。6月25日(火)東大生態調和農学機構での実習が始まりました。曇天とはいえ朝から蒸し暑く、木陰での休憩をはさみながら協力して作業を行いました。以下、実行委員からのレポートです。
【学生宿舎】
1937年(昭和12年)に建築され、現在も大学の施設として大切に使われています。機構の敷地に残る文化財としても貴重な建物です。農と食の体験塾の実習時には、更衣室とトイレを使わせていただき、学生宿舎前が集合解散場所になります。
全員集合したところで、トイレの場所や熱中症対策の確認などをして、いよいよ大豆を育てる場所(圃場:ほじょう)へ移動。圃場では、機構の技術専門職員の方々からレクチャーを受けながら作業を進めていきます。
【連作障害】
同じ圃場で同じ作物を続けて栽培すると、土壌のバランスが崩れ生育障害が起きたり、センチュウなどによる被害が生じるため、昨年と場所を変えているとのお話がありました。昨年大豆を植えた場所を使って他の野菜を育てる輪作もできますが、今回は、昨年作付けした区画は使用せず、それより東側の休耕していた区画に種を播きました。
【区画割り】
南北に10mの長さで21本畝(うね)を立てます。畝の向きは、基本的に太陽の当たり方で決めるそうですが、傾斜地などでは水はけも考慮するとのこと、奥が深いです。
まずは、南側・北側にメジャーで計測しながら70cm間隔に支柱を21本ずつ立てます。次に支柱にヒモを結びつけ、南北にピンと張って線引きします。このとき、平らにならされた圃場をずかずかと踏み荒らさないように、皆さん二人一組になって工夫して作業されていました。
【21種類の大豆】
もう一つ大事な仕事は、畝に立てる木札に「播種の日付」と「品種」を書くことです。たくさんの種類を扱うので、間違わないように木札と種の入った封筒を蒔く順に並べていきます。
東京八重成・比丘尼・小笠原在来の3種は、東京在来の早生品種です。一足早く秋分の頃に収穫するので、端に蒔くことにしました。
その他、同じく「東京在来大豆」を4種(みすず・目黒・東京大豆・青梅在来)、「在来大豆」を9種(鞍掛大豆・錫杖豆・五葉茶豆・虎大豆・馬のかみしめ・日の丸大豆・丹波黒・くるみ豆・借金ナシ)、「育成大豆」を5種(エンレイ・タチナガハ・フクユタカ・すずろまん・里のほほえみ)なんと合計21種!
初回に作った「大豆図鑑」に載っていないものもあり、テンションが上がります。が、種まきの前に木陰で小休止。気温・湿度が高く、熱中症指数計とにらめっこしながらの畑作業です。
【種まき(播種)】
きれいに区割りした圃場に、いよいよ足を踏み入れます。一斉に作業を始めるので、ぶつからないようにヒモのどちら側に立つか決め、ここでも皆さん協力して作業しやすいようにサッと南北に分かれていました。
ヒモに沿ってまっすぐになるよう、1粒ずつ並べていきます。豆と豆の間隔は、握りこぶし1つ分。体を使って計るのはおもしろいですね。並べ終わったら、人差し指で豆をグッと土に押し込みます。深さは、人差し指の第一関節と第二関節の中間くらい。仕上げに、手のひらで土を軽く押さえます。
深すぎると発芽が遅れて腐ってしまったり、浅すぎると乾燥で発芽しなかったりすると聞いて、「自分の蒔いたところだけ発芽しなかったら困る」と、心配される塾生さんもいらっしゃいましたが、大豆のパワーを信じて次回の実習まで楽しみに待ちましょう。
【鳥対策】
発芽を楽しみにしているのは、人間だけではありません。栄養のある双葉は「鳥」が狙っています。ネットをかければ守れますが、全部にネットをかけるのは手間のかかる作業なうえ、大豆の苗がネットにぶつかり傷んでしまうこともあるとのこと。そこで、昨年も大活躍だった「鷹のカイト」に見張り役をお願いしました。
次回の実習は2週間後です、無事に発芽しますように!