ロクトリポート

<Qua(クワ) Qua(クワ)ワークショップ> 自分を知るってどういうこと?2

<Qua(クワ) Qua(クワ)ワークショップ>2025 の2回目を、2025年10月5日に開催しました。この教室は全2回の連続教室です。

テーマは「自分を知るってどういうこと?」

講師はレッジョ教育を広める会@キオッチョラ@の皆さんです。
講師のおひとり、石井さんは4年間イタリアのレッジョ・エミリア市で幼児教育を学ばれていました。

レッジョ教育とはモンテッソーリ、シュタイナーと並ぶ世界5大幼児教育のひとつで、子どもの主体性を引き出す教育として、現在とても注目されています。

※過去に当館で行ったワークショップについて詳しくはこちら

トンネルの先は…

今回のサブテーマは、「いろんな自分になって遊ぼう」。子どもたちは「変身」を通じて、自分の内面と出会っていきます。子どもエリアには、変身を楽しめる素材がたくさん並べられました。カラフルな布やアイテムが自由に使えます。

変身のためのカラフルな布やアイテム

変身にあまり興味がない子のために、「自分の世界をつくる」スペースも用意。こちらは1回目にも並んでいた様々な素材がたくさん並べられました。

2回目で子どもたちも慣れているので、「なにがあるかな?」と、わくわくした顔でトンネルを抜けてきました。

最初のアプローチ

石井さん「今日は変身して遊ぼうと思うんだけど、“へんしん”ってどういうこと?」
子どもたち「かわるってこと!」「アンパンマンにへんしんしたことある!」などなど

いろいろなお面やコスチュームを着た人の写真を一緒にみていきます。
石井さん(写真1枚づつ見ながら)「この人はどんなかな?」
子どもたち「犬?」「火星人」「小人さんじゃない?」「へんなスカート!」「ロバ?」「かいぞく」「むかしの人」「角生えてる」「まほうつかい」「ペンギン」「お誕生日パーティーしてる」「ロボット?」「クワガタにも変身するロボットかも」「お花畑さん」「とりライオン!」などなど
石井さん「音楽好きな人なのかな?」
子どもたち「頭にピアノのってる!」「バイオリンの顔のひと!」

石井さん「何になりたい? 布をかぶったり、なりたいものに変身してみよう。変身じゃなくても、好きなものを集めて“自分の世界”を作ってもいいよ」

変身してみよう

「どんな色がいいかな~?」「この色かわいい」「この模様すき」子どもたちは、布を身体に巻いたり、小物を選んだりして、自分なりの「なりたい自分」をイメージしていきます。

「水色すきなの」「ふわふわしてるのがいい」「キラキラしているのがいい」「お姫様になりたい」「今日は魔女の日!」など、アイテムや布からなりたい自分に変身していきます。

置いてある素材で変身!

着替えたら、バッグなど小物も選んで、鏡で確認してからフォトスポットでパチリ。

素材を自由に組み合わせて、何回も着替えて、いろんな自分に変身する子もいました。
変身した子どもたちは、足りないアイテムや好きなものを自分でつくり始めました。葉っぱやお花をつけたり、耳をつけたり、杖やステッキ、剣など。

「魔法の帽子。紫は毒のパワー。黄色は電気のパワー。さわるとあぶないよ」「この杖、魔法が使えるよ。小さくしちゃおう」など、素材置き場から好きなものを自分で吟味して、つくっていました。

チューブトップのような服をつくったり、テープでネイルをしたり、時々鏡で確認しては「あっ!いいこと思いついた!」と、また作り足したりなど、どんどん遊びが発展していました。

みんなステキに変身しました。

影で生まれる物語

変身したら、少し暗くして影遊びができるコーナーをつくりました。自作帽子の葉がゆれるのを楽しんだり、ステッキの角度で見える影が変わる様子を実験したり、影や背景画像に合わせて自然と物語が生まれていました。
自分が動くと影が大きくなったり小さくなったりするのを楽しんでいたり、様々な発見をしていました。

左下:森の妖精

右上:影の戦いごっこ

左上:魔法をかける、右上:剣の影がかっこいい、左下:「月にお花が咲いたよ」

自分の世界をつくる

変身よりも、自分の世界をじっくり作る子もいます。普段の生活ではあまり目にすることがないパーツがたくさんあるので、素材に惹かれている子もいました。前回よりもじっくり、ひとつひとつのパーツを探究して、いろいろな向きで置いて試したり、はめてみたり、積み重ねてみたり、絶妙なバランスを探してみたりと探究していました。
前回の「顔づくり」が印象に残っていたようで、再び顔をつくる子もいました。

素材選び、素材の探究

左:素材選び、右上:曲面の上に積み重ねている(東京タワー)、右下:メガヘビが外で遊んでる。料理している、ヘビがたまごを狙ってる。

左上:左上にある冷蔵庫の中には氷とアイスが入ってる。左下のスイッチを押すと右上にあるロケットが飛ぶ。右下にいるチヨウが守ってる。右上:東京タワー、左下:左は怒ったおじさん、右は「じゃまするな~!」って言ってる、右下:艦隊と基地。大砲大好き

左上:顔。髪の毛が黄色い毛糸とピンクのビニールヒモをミックスしている。前回と口もほっぺも違う。右と左で違うところがポイント、右上:マイクラの外の世界、左下:マイクラの外の世界。工事。ポンプでお水を吸う。右下:宇宙船、バランスがとれていてかっこいい

何回崩れても直して、バランスをとってつくっている姿も見られました。ボンドなどはないので、パーツの配置を工夫して完成させる姿もありました。

大人のワーク

大人も「変身」がテーマ。紙袋を土台に、帽子や仮面など、自分を表すアイテムを制作しました。石井さんから「あなたが“変身”したいもの、“なりたい”ものってなんですか?」というメッセージがあり、迷いながらもみなさん、すぐに手を動かし始めていました。みなさんかなり夢中に取り組んでいました。

大人用の材料

みなさん、もくもくと作っていました。

大人の作品。多摩六都科学館をイメージした帽子をつくってくれた方もいました。

大人の作品。

右:「お母さんの帽子と交換したよ!」偶然にも親子ともお姫様がテーマでした。

シェアタイム

最後はシェアタイム。写真を見ながら、言葉で伝えあいます。変身している写真は少し恥ずかしがる子もいましたが、他の子が「人魚姫みたい」など、感想を教えてくれたりもしました。魔法のステッキを、プレゼンの指し棒として使う子も!道具も遊び方も、すべてが「表現」になっていました。

石井さんより「今回、子どもたちが構築した“自分の世界”は、箱庭的な表現でもありました。
心理学的に“シンボリック”な意味が込められていることもあるので、興味のある方は児童心理学なども調べてみてください。」

今回のテーマ「自分を知るってどういうこと?」は、講師の方々も「日本では挑戦的なテーマかも」と話していましたが、子どもたちはしっかりと“自分なりの表現”で応えてくれました。
「何になりたいのか」「どうありたいか」「どうなりたいのか」「変身する、おしゃれは何のためにするのか」子どもにとっても、大人にとっても「今、考えたい大切なテーマ」だと感じました。
ご参加頂いたみなさま、ありがとうございました!