ロクトリポート

カイコ はじめての飼育観察日記 ~27~

今回は天日干しをした繭を生糸(きいと)にしていくまでをレポートします。

製糸の準備

「座繰り(ざぐり)」という道具を知っていますか?
この道具は繭からとりだした糸を巻いていくのにとても便利です。
でも、多摩六都科学館は持っていないので、どうしようかな・・・。と悩んでいたのですが、
今回は特別に日野市郷土資料館にお借りすることができました!
ありがとうございました!

▼日野市郷土資料館。使い方も丁寧にレクチャーして頂きました。

繭から生糸(きいと)にする!

①煮る
繭はとてもかたいです。
カイコが出す糸はセリシンという物質でコーティングされていて、
このセリシンが糸同士を接着しているので繭は簡単にはほぐれません。

セリシンは水に溶けやすい性質なのでセリシンを煮ることで接着が緩み、
繭をほぐしやすくなります。

今回はまず水を繭を鍋に入れ沸騰させました。
その後、1分間煮てから同量の水を入れ、火を止めました。
水を一気にいれることで、繭の中に水が入り内側もほぐれやすくなるようです。

▼繭を煮て、水を足した状態

②歯ブラシでこすり糸をだす
煮た繭は歯ブラシでこするとすぐにほぐれます。
カイコは1本の糸だけで繭をつくっているので
ほぐれた部分を引っ張っていくと1本の糸だけになります。

1本だけであの繭をつくっているなんて本当に驚きです!!
繭をほぐしていくと本当に1本の糸だけになるので納得できました。

▼歯ブラシでこすったところ

▼繭から1本の糸を出しているところ

③糸を巻く
1本だととても細く切れやすいので、
繭を3~8個分をまとめて糸を巻いていくことにしました。
セリシンは乾燥するとまた効果がでてくるので、まとめた個数が多いほど1本が太く強い糸になります。

▼赤丸の部分にまとめた糸を通し巻いていきます。

▼座繰りを使っている様子

▼糸巻の様子の動画
上の写真で赤丸つけた部分がすごく大切な役割をしているので注目してください!
※鍋をかき混ぜているのは、繭を水流で回転させ、すこしでも糸に”より”がかかるようにするためです。

生糸ができました!

思っていた以上に繭から糸にするのはとても大変な作業でした。
巻いていてもすぐに切れてしまうし、繭から1本の糸を取り出すのもとても大変でした。
長く1本の糸をとるのは温度管理、手早さ、などなどたくさんのコツ(技術)が必要だと分かりました。
シルクの価格が高い意味を身をもって理解しました。

▼糸になりました!光沢がきれい。

次回はこの生糸を加工していこうと思います!

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