ロクトリポート

<Qua(クワ) Qua(クワ)ワークショップ> 色とカタチであそぼう

<Qua(クワ) Qua(クワ)ワークショップ>2022
色とカタチであそぼうの1回目を開催しました。
テーマは「色」。

講師はレッジョ教育を広める会@キオッチョラ@の皆さんです。
講師のおひとり、石井さんは4年間イタリアのレッジョ・エミリア市で幼児教育を学ばれていました。

レッジョ教育とはモンテッソーリ、シュタイナーと並ぶ世界5大幼児教育のひとつで、
子どもの主体性を引き出す教育として、現在とても注目されています。

※過去に当館で行ったワークショップについて詳しくはこちら

テーマについて

2022年度は「色とカタチ」がテーマで
9月は「色」さまざまな色彩を感じて、手と身体を使って表現します。

レッジョ教育では、環境を整えることで子どもは自分の中にある能力を
出すことができる(表現することができる)といわれているので、環境づくりを大切にしています。

今回は、入り口に「色」をテーマにした装飾展示をしました。

入場のときに「いろんな色があるね!見たことあるものはあるかな~?」と問いかけると
「ゴーヤだ!しってる!」「りんご」など、話しながらみている子もいました。

色ってなんだろう?自由に描くって?表現って?

色についての問いかけから始まりました。
石井さん:「色ってなんだろう?」

子どもたち:「むらさき!」「あか!」「ピンク!」「くろ!」「あお!」
など、たくさんあがりました。

つぎに
石井さん:「じゃぁ 赤 といえば?なにかある?」
子どもたち:「トマト」「リンゴ」「イチゴ」「コスモス」「リボン」「しょうぼうしゃ」などなど

石井さん:「じゃぁ次は 青 といえば?なにかある?」
子どもたち:「そら」「さかな」「うみ」などなど

石井さん:「色を混ぜたらどうなるかな?赤と黄色をまぜたら?」
子ども:「オレンジ!」

石井さん:「今日は3つの色、赤・青・黄色を使って色をつくってあそびましょう。」
色のイメージが頭に浮かんだところで、今度はみんなで一緒にミロの絵を、みんなで見ました。

2種類の自画像、歌う魚、うさぎ、サーカス、など自由な表現を一緒に楽しみました。

ブルーシリーズでは、みんなで音を考えました。
石井さん:「この赤い線はどんな音かな?」
子ども:「ボー―――」「ズコズコ」「ギギギ・・・」などなど
石井さん:「赤い線の隣にある黒丸はどう?手拍子で表せる?黒丸、よく見て。大きさはどう?」など、問いかけてから、みんなで一緒に手を叩いて絵を表現してみました。

石井さん:「じゃぁ今度は音を色に表現できるかな?」

今日やることは?

今回のワークは2つ。「壁のワーク」と「見立て遊びと絵具のワーク」を行いました。
最初にデモンストレーションから。

「壁のワーク」は、映像と音からイメージして表現します。
森の映像が映っているビニールクロスにキットパスで描きます。
耳をすませると森の様々な音も、聞こえてきます。

「森にはどんないきものがいるかな?」「空にはどんないきものがいるかな?」
など、問いかけながら、描きます。

「見立て遊びと絵具のワーク」は、入場する時に自分で選んだカタチを、まずはよく眺めます。
くるくる回したりしながら「何に見える?」と問いかけると
子ども:「ティラノサウルス!」「まわすとウサギになった!」「いやカニの手にも見える」などなど。
たしかに、言われるとそんな風に見えてきました。

カタチに注目したら、絵具で色を付けます。
ロウソクも準備しました。ロウソクで書いてから絵具を塗ると、絵具をはじいてロウソクで描いたところだけ白く残ります。

2つめの絵具のワークは大人もします。
「今日は絵具のワークは背中合わせでやりましょう!親は親、子は子でお互いの世界を尊重して描いてみましょう」

「壁のワーク」の様子

「森」と「海」のコーナーを用意しました。
流している映像は動画なので、なぞったり映像で見たものをそのまま描くというよりも、イメージを膨らませて自分の中に湧いてきたものを表現しているようでした。

ビニールクロスに描いたのでとてもすべりが良く書き心地が気持ちよかったようです。背伸びして大きく手を伸ばし、全身つかって大きく描いていたり、緻密に細かく描いていたり、時々離れて全体を眺めながら描いたり、様々な姿が見られました。

森では、虫や爬虫類、キノコ、犬と散歩している女の子や、自分の中にいる生き物や妖精などにぎやかになりました。海には、他の子が描いた船の下に「ザブーーーン!ザブーーーン!」と言いながら波を描く子、サメやウツボがいて住んでいる岩陰を描く子、他の子が描いた魚にブクブクの泡を足している子、泳いでいる人などがいました。

「見立て遊びと絵具のワーク」の様子

まずは、いろいろなカタチの画用紙の中から、自分で選んだ紙をよく眺めます。
何にみえるかな~?などと話しながら、方向を決めたら絵具で色をつけていきます。
絵具は3色だけ。そのほかにはろうそくも置いてあります。
先にろうそくを塗っておくと、絵具をはじいて白く残ります。

こちらのワークは大人も一緒にしました。
なるべく背中合わせで、互いの世界を尊重して楽しみました。

▼(左)「うみのあお、タコのあか、さんごのきいろ!」と言いながら塗っていました。
(右)「グレーと茶色をつくりたい!!どうすればいいんだろう」と実験を繰り返していました。

シェアタイム①

キオッチョラのワークではシェアタイムもとても大事にしています。どんな表現をしたのか、みんなと言葉で分かち合います。
最初に壁のワークをみんなでシェアしました。部屋を明るくして、プロジェクターを消すと、みんなが描いたたくさんの表現が見えてきました。

▼「テントウムシ、猫、ライオン、ハチ、コアラとか森の仲間たち」

▼(左)「赤い雲からは赤いバナナやリンゴ、緑色の雲からは緑の葉っぱやメロンが降ってくるよ!」「タコをつかまえるおじさん。」「ハートちゃんが木になにかついてないかなー。って調べているよ。」(右)「サメ」「泡ぶくぶく」「クリオネ」

▲(左)「サメだよ~」
(真ん中)「おめめが出てきて、お母さんクジラになったよ。小さいのは赤ちゃんクジラ。海の中でたのしいおさかな。イルカもいるよ」
(右)「謎の生き物がお花をたべるよ。そしたら、お花が生き物をたべる。たべてたべられるを繰り返しておおきくなっていくよ。たべすぎると死んじゃったり、枯れちゃう。そしたらお花にタネがでてくる。タネが大事。リサイクルみたい。」

他の子が教えてくれるときに、みんな真剣に聞いているのも印象的でした。
自分で描いたものを上手く言葉にできない時は、別の子が「キリンにみえるよ~」とか「ようせいみたい!」など発言もあって、描いた子自身も言葉になって納得している様子が見られたり、他の子の表現が良い刺激になっていたようでした。

シェアタイム②

見立て遊びと絵具のワークは、上に吊るしたテグスに付けて飾りました。
描いた絵が吊られると上下ができ、床に置いてあった時とはまた違って見えてきます。

みんなが飾ることができたら、部屋を暗くして、懐中電灯で照らして眺めました。
また、違って見えます。

▲(左)「りゅう」「上に大きくなったりゅうの影も見えてるね~」
(右)「石川県! 紙を選ぶ時から石川県だと思ってえらんだ。ろうそくでかいたから「いしかわ」っていう文字もみえるよ」

他にも、
天使のはね、むらさき大好きだからむらさきにしたよ、とり、ニジイロの飛行機、きれいな色の犬、県の石にもっていく鉱物、サメ、クジラ、おばけみたい。レースカー、お月様が笑っているかびっくりしてる、ふね、ぼうし、髪の毛が長い女の子とヘビ、リボン、などなど……
たくさんの表現がありました。

さいごに

今回の開催は、子どもたちはもちろん、絵具は中学生ぶりです!という大人もいて、とても楽しんでいました。
シェアタイムでは、「みんなの前であんなにしっかり説明できるとは思わなかった」「子供の迷いのない表現する力に驚かされた」など、大人も子供も楽しんで過ごして頂いたようで良かったです。

石井さんから最後に「今日のお子さんの姿に驚かされたこともあったんではないでしょうか?環境を準備してアプローチすることで、子どもたちは自らの能力を引き出していけるのですね。」という言葉もあり、多くの保護者の方々もうなずいていました。

今回、ご参加いただいた方がありがとうございました!
今年度の第2回は、11月26日を予定しています。