ロクトリポート

科学館の屋上の砂 ~飛来物の調査~

風の強い日に屋外で“目にゴミが入った”という経験は誰にでもあるのではないでしょうか?風の強い日にはさまざまな細かい粒が風で巻き上げられて飛んでいます。科学館の屋上にも風で運ばれてきたものが沢山落ちています。

屋上s HP

2015年1月から、そのような細かい粒(飛来物)を集めて、何が飛んできているのかを約1年間続けて調べることにしました。
その方法は単純です。屋上にバットを置いて、その中に入っているものが何かを調べるのです。年末に始めた調査では、砂粒だけ(植物片などは取り除く)を集めて、実体顕微鏡で観察しました。

今回は1月から4月までの4回分の観察結果を報告します。

1月

鉱物写真1月 HP

2014年12月2日~2015年1月5日(写真の横幅:6mm) ↑
ほとんどが屋上のコンクリートからはがれた砂粒のようです。その他には鉄錆がはがれたものと関東ローム層に含まれる鉱物(斜方輝石やチタン鉄鉱)が見えました。火山灰などに含まれる、高温型の石英の粒も見えます。どこから飛んできたのでしょう?

 

 2月

鉱物写真2月 HP

2015年1月5日~2月11日(写真の横幅:3mm) ↑
濃い緑色の単斜輝石が入っていますが、これは関東ローム層起源だと思います。
高温型の石英は、少しセメントがついているので、おそらくコンクリートからはがれたものでしょう。

3月

鉱物写真3月 HP

2015年2月11日~3月13日(写真の横幅:3mm) ↑
コンクリートからはがれた石英と関東ローム層のなかの鉱物の他に、まん丸な黒い球体が見えます。
この球体はどこから来たのでしょうか・・・。

4月

鉱物写真4月HP

2015年3月13日~4月2日(写真の横幅:6mm) ↑
コンクリートの細かい破片と、関東ローム層のなかの斜方輝石などの鉱物の他に鉄の切削屑のようなものが見えます。目に入ったら痛そうですね。

パッと粒を見ただけでは、それが人工の物なのか自然界の物なのか、またどこから飛んで来たのか、ということが分からないので、何回も調査を続けてその正体を考えていきます。

この調査は、鹿児島県の桜島が2014年12月に比較的大きな爆発的噴火を起こしたのをきっかけにはじめました。ここまで桜島の火山灰が飛んで来るかもしれないと思ったからです。信じられないかもしれませんが、過去に桜島周辺で噴火した火山の噴出物が東京まで飛んできています。科学館ではその時の火山灰を展示していますので是非見に来て下さい。

(次回の報告は2015年9月の予定です。お楽しみに)

自然チーム 地学担当