ロクトリポート

東大生態調和農学機構公開セミナー「薪ストーブを生かそう」で頭と心と体を温めました

2016年1月23日(土)10時、雪予報の出た寒い朝でしたが、西東京市緑町にある通称「東大農場」に参加者が集まり「薪ストーブ」イベントが始まりました。雪は降らず、途中は日差しもでたストーブ日和となりました。

初めてのイベントですので、参加者もいったいなにをするんだろう? どんな話が聞けるのだろう? との思いを抱いての始まりです。 主催者である東大生態調和農学機構副機構長の二宮先生の挨拶、講師の東大田無演習林林長 安村先生の挨拶、ともに、小学生から大人まで、こんなに幅広い年代の方の集うセミナーは初めて、という言葉がでてきて、ますますワクワクします。

午前中は安村先生から「薪ストーブ」を中心にして、林業とのつながり、歴史や地域性について、クイズを交えながらのお話を聞きました。“間伐した木材を燃やす→暖をとる→灰は灰汁(アク)抜きや肥料に使う” 薪ストーブは木材を余すところなく使えます。さらに、薪割りのための運動量を測るとけっこうな量になり、体にもよい!

 暖炉だと排気にPM2.5など大気汚染物質が少し含まれてしまいますが、「ストーブ」にして、出てくる煙まで再び高温で燃やすしくみにすると、煙も煤(スス)もほとんど出なくなるとのこと。昔の「いろり」や「火鉢」と比べると温かい、煙や煤が出ず目や肺に負担がかからず健康的、といいところずくめだとわかりました。燃料としてたいへん有効な薪ですが、灯油ポリタンク1缶18ℓと同等の熱量を薪にすると30Kg必要ということで、体積も重さも多くなり、保管も運ぶのもたいへんという難点があり、日本中のおうちが薪ストーブを導入するには無理ということも納得。

薪ストーブの種類

午前中、一度外に出て木の高さと直径を測りました。木の高さや直径を測る便利な道具があることも発見。周囲を測ると即直径がわかるメジャーです。講義室に戻って燃料に換算しますと、高さ23m直径60㎝の木だとなんと普通家庭の普通のお風呂3年分をわかすことができます!びっくりです。

木の周囲を測定

お風呂どれだけわかせる?

お昼ご飯の後は、いよいよ薪ストーブを燃やす実習です。薪割りも頑張りました。

地震災害の時に、倒壊した家屋の瓦を組み上げ、柱や壁の板を燃やすと、たき火よりずっとあたたかい、上に鍋を置くと料理もできるというストーブになります。 子どもたちが率先して、組み上げました。「4つの角に柱のように積んで、空気の通り道を作るようにして、ふたをすればできる」と概略を聞いただけで、出来ました! 勢いよく燃えるストーブが。薪をくべる人、うちわであおぐ人、協同作業の楽しさも味わって、みんな夢中です。他にキャンドルストーブ(切り株の真ん中を筒状にくりぬいてそこを空気の通り道にするもの)が2基、時計ストーブが1基、スタッフ作成のロケットストーブ1基を燃やして楽しみました。

瓦を積む協同作業

もっと火を強くしてみよう

丸太の真ん中を円筒状にくりぬいたストーブ

薪割りをやめられなくなった人もいます。まずは、斧の持ち方、足の開き方、姿勢、しっかりと教えてもらってから実体験。最初はなかなかうまくいかないので、次々と割っていき、スパッと割れる時の気持ちのよさがやめられない原因です。アンケートには「予想以上に面白く、くせになりました」との感想もありました。 斧を使わずに割る、「薪割りグッズ」もあります。子どもたちは主にこちらを使いました。けっこう力は必要ですが、カンカンと何度も打ちつけているとスパッと割れます。割れにくいもの割れやすいもの、どの部分にくさび型の刃を当てると割れやすいかなどを考えながら頑張りました。東大演習林のストーブ用の1年分以上の薪ができたと思われます。

便利な薪割り道具

薪割り、面白すぎ!

そして力仕事のご褒美?もありました。なにしろ炎が出ていますから、マシュマロを焼いて、チョコレートをのせ、クラッカーに挟んで食べる。実は、炎に直接当てるのではなく、おき火になったところでじわっと焼くのがおいしいこともだんだんわかってきて、焼いてはトロリとなったところを食べ、また残りを焼いて…とマシュマロの焼き方まで会得した一日となりました。

キャンドルストーブで焼きマシュマロ

↑キャンドルストーブ

委員長製作のロケットストーブ   aIMG_5435

↑実行委員長作成のロケットストーブ         ↑時計ストーブ(上から見ると柱時計型)

このイベントは、公開セミナー実行委員会と東大生態調和農学機構・演習林、多摩六都科学館の3者が主催となり開催。 実行委員の一人の「ロケットストーブ」への強い思いが発端で実現しました。 ロケットストーブの名前のもとは、煙まで燃やすような高熱を作り出すしくみのストーブなので、燃やすと、ゴーゴーとロケットが発射するときのような音がするからつけられたそうです。

ロケットストーブのイメージ図←ロケットストーブの燃焼イメージ図