12月3日(日)と12月9日(土)に
「表現遊びをしてみよう!~自然と科学とデザイン~」を開催しました。
講師はレッジョ教育を広める会@キオッチョラ@の皆さんです。
講師のおひとり、石井さんは4年間イタリアのレッジョ・エミリア市で幼児教育を学ばれていました。
レッジョ教育とはモンテッソーリ、シュタイナーと並ぶ世界5大幼児教育のひとつで、
子どもの主体性を引き出す教育として現在とても注目されています。
【3日(日)】
テーマは「かおりと色彩」 かおりを色で表現しました。
まずは「色紙芝居」です。
色だけを見て、そこからイメージを引き出します。
例えば、
「黄色」→バナナ、レモン、クレヨンの黄色などなど、子ども達からどんどんイメージが出てきます。
その後、出てきたイメージのかおりを思い浮かべます。
「どんなかおり?」と、たずねると
「あまい」「さわやか」「すっぱい」どんどん発言していました。
「かおりと色」を少し意識してから実際にかおりを嗅ぎました。
今回用意したかおりは8種類
「ひのき、ゆり、スイレン、フリージア、タイム、ローズマリー、レモンバーム、ベルガモットオレンジミント」
ペットボトルに入れて中身が見えないようにし、嗅覚だけに集中できるようにしました。
「どのかおりが好き?」「気になるかおりはある?」
「これはやさしいかおり」「これはさわやか」などと話しながら、かおりを1つ選びました。
選んだかおりを、こんどは画用紙の上に羊毛を並べて表現しました。
カラフルな羊毛を用意しましたが、欲しい色がないと羊毛を混ぜていました。
あまり馴染みのない羊毛で苦戦する子もいましたが
「ふわふわ~」「くるくるすると髪の毛みたい」「ひろげてみよう」など、
羊毛自体の触覚も楽しみながら、かおりのイメージを色にしていました。
出来上がった羊毛のかたちをもとに、今度はクレヨンでかおりのイメージを描きました。
みんなそれぞれ「かおり」を表現していました。
ちなみに左下の黒い縁取りがされている作品は「フリージア」のかおりを表現しています。
「マニキュアみたいなかんじがした」と話していました。
最後に透明のアクリルキューブにかおりのイメージの羊毛を詰めていきました。
このころにはみんな羊毛の扱いに慣れ上手にすごく楽しそうに詰めていました。
今回のプログラムは、大人と子どもが別れてワークをしました。
大人は前半は石井さんからの講座(レッジョ・エミリア市の歴史や文化から教育まで)があり、
後半は絵具を使って「かおり」から色を表現しました。
大人もちょっと難しそうでしたが楽しそうにワークをしていました。
大人と子どもの作品を並べて鑑賞しながらおしゃべりしていました。
「おかあさんのこの絵はどんなかおり?」
など、楽しそうにお互いにどんなかおりをどんな風に受け止めたのか話していました。
子どもたちが大人の作品に興味津々だったのが印象的でした。
最後は、今日つくった作品のシェアタイム!
石井さんが作品をみながら子供たちにインタビューしていきます。
「くさいにおいがした」「いいかおりがした」「おすしみたい」
などこの日、感じたかおりをそれぞれキューブに詰め込んでいました。
「おとうさんの絵はどんなかおりだと思う?」
ときいたところ、
「さわやかな感じ。」言っていて
おとうさんに正解をきいたら「ミント」でした。
石井先生が
「色彩ワークのメッセージとして香りから感じる色のイメージは一人ひとり違っていていい、
あるがままの自分を表現して、みんなで認め合うことを伝えるワークでもあります。」
と、おっしゃっていました。
ちなみに・・・・
うちのスタッフが試しにつくったキューブです。
なんのかおりを表現しているか分かりますか?
【9日(土)】
テーマは「自然とカタチ」
はじめに石井さんからのお話です。
「かたちって、どんなかたちがある?」
「まる!」「しかく!」「さんかく!」「ほしがた!」など答えがあがりました。
「そのカタチは自然の中のどんなものがある?」
自然にある、まる、さんかく、しかく、ほしがたなどの写真をみました。
その後、いろいろなカタチが入っているデザインされた模様を見ました。
次に高島さんから葉っぱのすじ、葉脈のお話しです。
葉っぱはカタチもいろいろありますが
すじも良く見るとまっすぐなものもあれば、枝分かれをしているものなど、
いろいろなタイプがあります。
自然の中のカタチを意識してから、
前半は4つのコーナーに分かれました。
●目(肉眼)と虫眼鏡で探求!
蓮の実、いろいろな葉っぱ、ほうずきなど好きなものを選んで、よく見てカタチを描きました。
ライトテーブルにのせると葉脈がキレイに見えました。
「この葉っぱのあみだくじ一生おわらないよ!」(葉脈が横に繋がっているので。)と話したり、
蓮の茎の断面が蓮根のように穴があいてる事を発見したり、いろいろなことに気付いていました。
●顕微鏡で探求!
プロジェクターに繋いだ顕微鏡で様々なものを拡大してみました。
それを見ながら、透明シートに細いペンで細かく描きました。
サメの歯に十字を見つけたり、
「孔雀の羽根ってこんなに細かいんだ!描くのがたいへん!」
など、肉眼では気づかなかったところまで見ることで、たくさんの発見をしていました。
●webカメラで探求!
机の上にセットしたカメラの前にいろいろなものを並べました。
その風景をプロジェクターで映し出すと目の前の物が違った世界に見えてきます。
その映し出された世界をカラーペンでなぞりました。
大きな紙なので、みんなで協力していました。
「そっちの緑誰か書いてー!」「恐竜の歯のギザギザだれかなぞって!」
など、かなり盛り上がっていました。
●影絵でカタチを探求!
OHPに葉っぱや羽根を乗せると大きな影絵になって壁に映し出されます。
はじめは並べることに夢中でしたが、自分が置いた物が映し出されてることに気づくと、
触って動かしたり、素材置き場から自分の好きなものを選んで持ってきて置いたり探求していました。
いろいろなカタチで楽しんだあとクレヨンで描きました。
中には自分で描いてからOHPにおんなじように並べてみている子もいました。
後半はみんなで葉っぱをフロッタージュ!
好きな葉っぱを選んで、紙の下に置いてから
紙をクレヨンでこすると葉っぱのすじが見えてきます。
みんなで大きな紙でのフロッタージュは大盛り上がりで、
全身を使って、クレヨンでこすっていました。
3メートルの紙もあっという間にほとんどの白いところがなくなっていました。
大人のワーク
前半はレッジョアプローチのDVD鑑賞。
後半はフロッタージュをしました。
大人は葉っぱの他に、多摩六都科学館オリジナルの化石のフロッタージュをしました。
大人も夢中にクレヨンで擦っていました。
「簡単に出来るので、おうちでもやってみたい。」という意見もありました。
とっても手軽にできるのでいろいろな葉っぱでお試し下さい!
最後にシェアタイム!
できあがった作品を言葉で説明してもらいました。
講師の石井先生が保護者の方との対話で
「日常の中でさまざまなことに興味を持ったり感じたりすること、
そこにちょっと気を配ると考える力や五感も磨かれていきます。
もし何かに気づいたら、言葉でも絵でも表現していただけたらいいと思います。」
と、語っていらして科学の芽にも通じるな。と思いました。
研究交流グループ ささき