ロクトリポート

農と食の体験塾 大豆編 第11回レポート

旧東大農場において、生態調和農学や都市農業における栽培技術、市民が参加するまちづくりについて「農」を通じて、学び、体験するプログラム 「農と食の体験塾 大豆編」。
2018年度の活動が始まりましたが、去年の様子を知っていただく意味も込めて昨年度の活動報告を続けます。

平成29年10月24日(木)の活動では、作業では、前半に晩生の大豆の収穫を行い、その後学生宿舎で「ポストハーベストのこと~おいしさを守る、収穫と食卓のあいだのはなし~」についての講義を受けました。

今回収穫したのは、目黒、青梅在来、錫杖豆、黒千石の4種。前回と同じく、根の土や葉を取り除いて、品種ごとに収穫袋入れて乾燥・保管のためハウスに運びました。

4実った大豆

  11収穫袋 黒千石

5月から大豆の生育を楽しみに行ってきた畑作業も、これで終わりです。
寂しいような、すがすがしいような風景でした。
13収穫後の畑  

作業の後は、学生宿舎で講義を受けました。
講師は農と食の体験塾の実行委員会メンバーでもある、東京大学大学院農学生命科学研究科准教授の安永円理子先生。「ポストハーベストのこと~おいしさを守る、収穫と食卓のあいだのはなし~」というタイトルでお話しいただきました。
 16ポストハーベスト講義2

ポストハーベストとは、ポスト=~の後 + ハーベスト=収穫、を組み合わせた言葉で、農作物を収穫してから後のできごとを指します。作物は収穫した時点で生き物としての活動がストップするわけではなく、まだ呼吸が続いているために水分の現象や味の変化が起こり、味が落ちていってしまうとのこと。そんな研究分野があること自体が大変興味深く、お話の内容もとても刺激を受けました。

以下、記録係の丸山さんのレポートです。

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雨で前週に予定していた作業を見送り、週末の台風到来もあって収穫前の大豆にダメージが心配されましたが、24日ようやく好天を迎え久し振り汗をかきながら収穫作業を行なった。この日、残っていたのは「目黒」「青梅在来」「錫杖豆」「黒千石」の4種類。「目黒」から「黒千石」に畝の順番に株を引き抜き、根についた土と枝の葉を取り除いて用意したブルーの籾殻袋に収納。3回目の収穫作業で手慣れてきたのか約30分の作業で8袋を収穫、乾燥施設に移動・保管した。

作業中、しぶといカメムシが食らいついていたり、株を抜いた根の土に蜘蛛を見つけたり、錫杖豆の独特の形状や黒千石の莢を剥いて豆の状態を確認したり、収穫できなかった昨年のリベンジ組みを含め、一同、最後の収穫作業を楽しんだ。このあと農村ならみんなで収穫祭を行うところだろうか。

<中略>

続いて、大豆塾実行委員でもある安永円理子さん(東京大学大学院農学生命科学研究科准教授)を講師に「ポストハーベストのこと~おいしさを守る、収穫と食卓のあいだのはなし~」を学んだ。自分には耳慣れない言葉の「ポストハーベスト」でしたが、ポスト(=~のあと)とハーベスト(=収穫)を組み合わせた「収穫のあと」を意味する言葉で収穫後の農産物の鮮度を落とさずに消費者へ届けるための技術全般のことを指している、ということで、「収穫後の生命維持のための呼吸」、「品質低下の要因」、「呼吸の小さいものほど貯蔵性が高い野菜の種類と呼吸量」・・・などの基礎知識から「コールドチェーン」、「包装の役割」、「機能性フィルム・機能性段ボール」、「洗浄・殺菌」、「エチレン作用阻害剤」・・・など具体的な品質維持の技術を紹介。“アスパラや春菊は呼吸作用で育った方向に伸びるので、冷蔵庫では横にせず、縦にして保管するように”、と野菜の常識についてもワンポイントアドバイスがあり勉強になりました。収穫してからの野菜の科学も奥が深い。

 19講義2

春から続いた大豆栽培も、畑での作業は今回で終わり。次は大豆の乾燥を待って、脱穀作業へと続きます。

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