新型コロナウイルスの流行で外出もままならず、気分も沈みがちな今年の春ですね。
それでも、自然はいつもと変わらず時を刻み、木々は芽吹き、昆虫たちも活動を活発化させています。そして、星たちもまた、変わらぬ輝きを見せてくれています。
たまには少しのんびりと、夜空を見上げてみませんか?
『星を見る』というと、満天の星を求めて少し遠くへでかけることをイメージするかもしれませんが、街中からでも明るい一等星は十分見えます。むしろ明るい星しか見えないので、ひとつひとつ星の名前を確認しながらみつけることができます。名前がわかると、これまで以上に星を身近に感じるかもしれません。
一等星は全天で21個ありますが、多摩六都科学館の辺りからだと一年間で見える一等星は頑張っても16個。今の時期は、そのうちのなんと10個を一度にみつけることができます。
星のさがし方は人それぞれで、多摩六都科学館のプラネタリウムでも解説員によりかなり変わります。ここでは今の季節の一等星のさがし方の例をご紹介します。
<さがし方>
※4月中旬から下旬、19:30から20:00くらいを想定
※図では一等星のみ表示
・日が沈んだ西の方に明るく見える星が金星です。まだ空が暗くならないうちから見えてきますので、まずは目印となる一番星としてさがしましょう。ただ、金星は惑星なので今回さがす10個の星には含めません。
・空が暗くなり、金星から右斜め上に視線を向けて明るい星をみつければ、ぎょしゃ座の「カペラ」です。あまり聞いたことがないかもしれませんが、明るくみつけやすい星です。
・金星からず~っと視線を上げれば、仲良くふたつ並んだふたご座の「ポルックス」と「カストル」が見えるはずです。ただしカストルの明るさは1.6等で、四捨五入して二等星に分類されます。見えたらぜひ2星の明るさを見比べてください。
・西の地平線が暗くなったら、金星から少し左方を眺めましょう。三ツ星と呼ばれる3つの星と、それを囲む4つの星で作る四角形で、冬を代表するオリオン座があります。このくらいの時刻なら、オリオン座の四角のうち一番高くに見えるのが「ベテルギウス」一番低いところで見えるのは「リゲル」です。もしこの四角の星を全部みつけることができればラッキー!あなたが見た日の空は条件がよく、一等星10個完全制覇が目指せそうです。
・オリオン座の三ツ星と金星の間に星が見つかれば、おうし座の「アルデバラン」。この時刻では位置が低めで、今回の10個の一等星の中ではみつけるのが一番難しいかもしれません。
・視線を金星の高さのまますーっと左側に移すと、ひときわ明るいおおいぬ座の「シリウス」。21個ある一等星の中で最も明るく、街中でアルデバランやオリオン座がわからなくても、これはみつけやすいと思います。
・シリウスとポルックスとの間にこいぬ座の「プロキオン」が見えれば、これで冬の一等星7つ(カペラ・ポルックス・ベテルギウス・リゲル・アルデバラン・シリウス・プロキオン)をみつけたことになります。
【南】
・この時刻で南の方角を眺めても、あまり星が見えないかもしれません。その中ではっきり見える星をみつければ、しし座の一等星「レグルス」でしょう。レグルスは21個ある一等星の中で最も暗い星で、これも少しみつけにくいかもしれません。南から東にかけては、しし座のような春の星座が見えます。
【東】
・ほぼ真東の方、金星と同じくらいの高さに見えるのがうしかい座の「アークトゥルス」(図のようにアルクトゥールスと呼ばれることもある)。今見ている一等星の中では、シリウスに次ぐ明るさの星なので、東の空の目印になります。
・アークトゥルスから視線を右側へ、少し低いところにはおとめ座の「スピカ」があります。これで春の一等星3つ(レグルス・アークトゥルス・スピカ)をみつけたことになります。
さぁ、カペラ・ポルックス・ベテルギウス・リゲル・アルデバラン・シリウス・プロキオン・レグルス・アークトゥルス・スピカ、これで今の時期見える10個の一等星制覇です!実際の空でみつけることはできるでしょうか?
星は時間とともに東から西へと動いていくように見えます。今回南から東の方角で紹介した春の星たちは夜が更けてからでも探せますし、夏になっても時間を選べば見ることもできます。まずは西の空で、そろそろ見納めになる冬の星たちと、明るい金星からみつけてくださいね。
※星をさがす時は、ご自宅など安全なところでお願いします。また、子どもの皆さんはお家の方と一緒に見るようにしましょう。