ロクトリポート

キトラ古墳天井壁画が天文遺産に認定されました!

2020年9月8日、公益社団法人日本天文学会が、奈良県高市郡明日香村 にあるキトラ古墳の天井壁画を日本天文遺産に認定したと発表しました。認定理由は以下の通りです。

キトラ古墳天井壁画は、古代における天文学の水準のみならずアジア大陸から日本への科学知識や文化の流入を知ることができるものであり、天文図は、科学的な分析に耐えうる本格的な星図として、天文学史上きわめて重要ということができる。
以上のことから、キトラ古墳天井壁画を 2019 年度の日本天文遺産に認定する。

(第2回)日本天文遺産 認定理由より抜粋

キトラ古墳石室の東西南北と天井の壁画は、令和元年七月二十三日、国宝に指定されています。

以前のロクトリポートでもご紹介した通り、多摩六都科学館はキトラ天文図研究会(文化庁・奈良文化財研究所・国立天文台)に参加し、その研究の一環としてキトラ古墳石室内部をプラネタリウムドームに映写するなど、貴重な考古学資料とプラネタリウムの機能を組み合わせた試みに取り組んできました。

現在、当館ではキトラ古墳石室天井の高精細写真を展示しています。

キトラ古墳の壁画は現在ではすべて取り外され、明日香村で期間限定・申込制で公開されていますが、展示中の写真は取り外す前に撮影された大変貴重な資料です。この展示は文化庁・奈良文化財研究所の多大なご協力を得て2016年の企画展で作成したもので、実物の壁画の質感に近い状態を表現できる「フレスコジクレー印刷」で出力しています。

また、前回の展示と同様に、天井に描かれた星・太陽の金箔や月の銀箔を再現した天文図【制作:井上直夫氏(元奈良文化財研究所)】も展示しています。


(画像は企画展展示をした時の様子)

こちらもフレスコジクレー印刷で出力した天文図で、朱線や星の痕跡などを手掛かりに金箔や銀箔を貼り、天文図の星・月・太陽を再現したものです。

両方とも非常に高精細な写真で壁画を再現した展示となりますので、ご来館の際にはぜひご覧ください。

本物の壁画をご覧になりたい方は、キトラ古墳のすぐ近くにあるキトラ古墳壁画体験館四神の館にて申込制で壁画見学が開催されています(2020年9月11日現在公開はありません)ので、HPをご確認ください。
また、同じく明日香村にある飛鳥資料館では、キトラ古墳に関する展示に加え、キトラ古墳造営当時の日本の様子を物語る資料が多数展示されています。機会があればぜひ明日香村でキトラ古墳の魅力に触れていただければ幸いです。

日本天文遺産とは】
日本における天文学(以下,暦学も含む)的な視点で歴史的意義のある史跡・事物を日本天文遺産として認定するものです。対象は3つのカテゴリーを含みます。 その1は史跡・建造物で,天文学上,重要であった地点や建築・構造物,観測施設など。その2は物品で、天文学上の重要な発見に関与する物品や天文学における歴史的意義が高い物品。観測機器や天文学研究に用いられた測定装置など。そしてその3は文献で,歴史的意義のある天文学関連の文書類などです。(日本天文学会HPより)