ロクトリポート

<Qua(クワ) Qua(クワ)ワークショップ> 自然と科学とデザイン2

<Qua(クワ) Qua(クワ)ワークショップ>2021
自然と科学とデザインの2回目を開催しました。
テーマは「線とデザイン」

講師はレッジョ教育を広める会@キオッチョラ@の皆さんです。
講師のおひとり、石井さんは4年間イタリアのレッジョ・エミリア市で幼児教育を学ばれていました。

レッジョ教育とはモンテッソーリ、シュタイナーと並ぶ世界5大幼児教育のひとつで、
子どもの主体性を引き出す教育として現在とても注目されています。

※過去に当館で行ったワークショップについて詳しくはこちら

テーマについて

2021年度は「自然と科学とデザイン」がテーマで
12月は「線とデザイン」:自然の中にある線を観察しデザイン表現します。

ワークを行う場の環境もとっても大事にしています。
今回は自然に興味をもってもらうために、自然物をたくさん装飾しました。

ワークする部屋へ入場する時に装飾をじっくりみてもらい、
自分が気に入った自然物の写真を選んで取ってもらいました。

よく見てなぞる!

石井さんのお話からワークスタートです。
「今日は自然のものをたくさんみて、線とカタチをさがしてみましょう!」

ふしぎなカタチのお花、角がかっこいいシカ、もふもふして目が真ん丸なガ、よく見ると決まりのあるひまわりのお花、などなど植物や動物の写真を一緒にみながら語りかけていきました。

たくさんの写真を見た後は、「線の見つけ方、線のなぞりかた」のデモンストレーションです。

葉っぱのカタチちょっと丸い感じもするね。葉っぱをよく見るとスジがある!スジは下の方は太いけど上の方は細いね。よく見ると虫食いかな?点々があるから描いてみよう。

ちょうちょのはねのカタチは、すーーっとまっすぐだけどギザギザしているところもあるね。模様もある!四角みたいなふしぎなカタチが並んでる。黒いところもある。

など、話しながらなぞっていきます。

線の見つけ方、なぞり方が分かったら、実際にやってみる時間です。

ワークはお互いに干渉しないように背中合わせで!
こどもは練習(コピー用紙に印刷したものを直接なぞる)と本番(カラー写真に透明シートを重ねたもの)を。大人は透明シートになぞりました。

みなさん、とても集中してもくもくと線を見つけていきました。線をなぞっていくとどんどん新しい線が見えてくるようでした。
木の枝をなぞる人、木と空の境界線をなぞる人、黒いところを塗りつぶしていく人、透明シートを写真から時々外して確認しながらなぞる人、ヒマワリのつぶつぶが多すぎて休み休みひたすらなぞる人、同じ写真を選んだ人でも全くちがう印象の作品に仕上がっていました。

拡大してみる!透かしてみる!

後半のワークはまずは観察です。
そのまま見るだけではなく、道具を使って観察しました。

1つは「拡大」
スマホにレンズを付けて大きくして見てみました。鳥や虫のはねを配り観察してもらいました。

つぶつぶが並んでみえる!(洋服みたら)1色と思っていたセーターもいろんな色が混ざってるんだ!(とりのはね見て)水玉と思ったら、一本ずつはシマシマ!
など、発見をしていました。

もう1つは「透かしてみる」
ライトテーブルに虫のはね、果物野菜を薄くスライスしたものをのせ、観察をしました。

(ゴーヤを見て)笑ってるみたい、(きゅうりと人参の輪切りを並べて)ミッキー、(リンゴの輪切りをみて)星がある!、(へちまをみて)あみあみキレイ!
重ねたり、色で分けたりと遊びながら並べ替えをしていました。
朝のフレッシュな野菜や果物がとても良い香りで嗅覚も刺激されていました。

デザインしよう!

自由にミラー紙にデザインしました。
まずは虫の模様を自由にデザインした絵や、虫の色や模様を参考にしたドレスの写真を一緒に見て「デザイン」について考えます。
石井さんから「今日はたくさんの線を見つけましたね。次は自分で自由に線をかいてみましょう!どんなものを見たかな?面白かったものはある?」とお話があり、ミラー紙にダーマトとポスカを使って描いていきました。

まずはミラー紙に顔を写したり楽しんで、ポスカで描いていきます。大人も夢中に描いていました。

シェアタイム

最後はシェアタイムです。今回はみんなの作品を写真に撮り、スクリーンに大きく映して鑑賞しました。石井さんがひとりずつインタビューしていきます。

みんなの作品を紹介していきます。
右:トレースした元の写真(子供の感想や石井さんのコメント) / 左:ミラー紙にかいたもの(子供の感想や石井さんのコメント)
(ワークをした順にコメントしているので写真の並びと逆になっており、少し見づらくてすみません。)

①植物(たのしかった)/最近好きな数字をカラフルにデザイン
②ひまわり(たのしかった。 中心からフィボナッチの規則を丁寧にトレースできている)/はねとトマト(デザインされていますね。はねが繊細な線でかかれている)
③クジャクのはね(フリーハンドでとても細かくかけている)/ライトテーブルでみた野菜など (ライトテーブルがたのしかった。たくさん観察してますね。)
④ウニ(こまかかったけどたのしかった。 ウニがしっかり描かれている。)/王様とサンタとテントウムシ(ピカピカの紙、もう一枚やりたかった)

⑤紫キャベツ(すごく細かかったけど、たのしかった。)/ネギ、チョウチョ(白いのはライトテーブルで見たネギが鳥にみえたのをかいた。 赤いチョウをデザインしている。とてもカラフルで色々な線が見える)
⑥紫キャベツ/下に見えるオレンジのはほおずき、白でアウトラインを引き、赤で塗っている
⑦クジャクのはね/ライトテーブルでみたもの (リンゴの中に星をみつけたよ 太いのや細い線を使い分けていますね)
⑧木(木のりんかくをなぞっていた どこまでが1本の木なのかよく観察していた)/ライトテーブルの野菜(ゴーヤが顔にみえた ゴーヤから始まり、他の野菜のスライスの中にも顔をどんどん見つけられた)

⑨ウニ(ウニがオレンジだったからあとから塗り足していた フリーハンドでとてもきれいな丸を描いていた)/ウニ クリスマスツリー くり
⑩クジャクのはね(かんたんだった)/チョウチョ、クリスマスリース、黄色いのは雪の結晶(イメージがふくらんでデザインしていた)
⑪クジャクのはね/めいろ(クジャクのはねをよく見るとグルグル渦が見えてきて、そこからのイメージなのか迷路にいきついた表現のよう)
⑫ひまわり(ひまわりは黄色かった 黄色に塗りたくて再度プラ板にもどりカラフルにしていた)/ポスカがたのしかった 手にもたくさん描いてカラフルにした。手にかくのがすごくたのしかった

⑬木の実(むずかしかった)/ちょうちょ おはな (ちょうちょには触角があるよ チョウチョにはドットのデザインもされているとてもカラフルでまさに自然とデザインという印象)
⑭紫キャベツ(てきとうにかいた 本人は適当にと言っているがとても細かく線が描かれていて集中力を感じる)/ライトテーブルでみたリンゴ(真ん中の部分もしっかりとデザインされている)
⑮紫キャベツ(周りにたくさんの人も描かれている)/ライトテーブルがとても気に入った様子でライトテーブルで野菜をつかってキャンディやリボンなどたくさん表現遊びをしていた

⑯木の実(暗いところ明るいところの塗り分けをしていた。アウトラインをとってから塗りつぶすのではなく塗りながら白抜きをしてカタチをとらえていた 画家でもこういう手法を使う人もいる)/白いのと黒いのは雲 ウサギやハート(点々やいろいろな線を使っている)
⑰ウニ(ウニのマルをトレースして塗りつぶしていた しっかりと5個かかれている)/大好きな電車、赤いところは木(木は自分自身を表すともいうので自分の内面を表現しているかもしれない)

今回はみなさんの集中力に圧倒されたワークでした。
いろいろな線を見つけ出しどんどん描いている姿が印象的でした。
トレースは描いた人の視点(どこに着目しているのか)が分かるので見ていてとても楽しかったです。細部に注目する人、陰影に注目する人、アウトラインに注目する人、大人も子どももそれぞれが見えている世界は違うんだな。と、改めて気づかされました。

ご参加頂きありがとうございました!