ロクトリポート

2022年3月5日(土)に開催した「ロクトこども科学Zoom相談 魚・昆虫」の質問紹介!

2022年3月5日(土)に開催した「ロクトこども科学Zoom相談 魚・昆虫」に寄せられた質問とその答えをまとめました。参加してくれた人、興味のある人は読んでみてください。

【魚の質問】 回答者:大川先生
●一番大きい魚は、どのくらいの大きさですか。


「魚で一番大きなものはジンベイザメで、15~18mあります。日本の近くにもいて、私も2年くらい前に相模湾で見たことがあります。サメといってもプランクトンなど小さなものを食べる、怖くないサメです。」

●冬に氷が張った池で釣りをしたら、1匹も釣れませんでした。同じ冬に海で釣りをしたら、フグが釣れました。どうして池では釣れないのですか。

「魚は変温動物なので、水が冷たくなると体温が下がって活動しなくなります。種類によって違いはありますが、池にすむクチボソやコイ、フナといった魚は水温が4℃くらいになると動けなくなってしまいます。なので、氷が張った池ではエサがあっても反応しません。海の場合は、東京近辺では水が冷たくなっても10℃前後なので、冬でも釣れる魚がけっこういます。」

●魚をさばくのにハマっています。1番オススメのお魚料理を教えて下さい。

「お刺身ですね。お刺身をつくると、魚の骨の配列や内臓の位置がよくわかるのでおすすめです。魚の種類によって皮の質感や骨の構造が違うので、そのあたりも学べます。ちなみに初心者がさばきやすいのは、サバやアジです。」

●アユ釣りの友釣りのおとりは鮎じゃなくてもいいんですか?

「アユの友釣りは、アユが自分の縄張りに入ってきた他のアユを追い払う習性を利用した釣り方です。他の種類の魚が縄張りに入ってきても追い払う性質があるので、アユ以外の魚やルアーでも釣ることはできます。ただ、アユ同士の方がケンカしやすいので釣れやすいです。」

●魚は水の中にいるのに、どうやって物を見ているのですか?

「魚の目と人間の目の構造はほとんどいっしょです。大きな違いは、魚は人間のようにまぶたを持っていないので、目は開いたままでずっと見えています。また、目の位置が体の脇に少し飛び出してついているので、真後ろ以外の広い範囲を同時に見ることができます。」

●えら呼吸のしくみを教えてください

「人も魚も体に酸素をとりこんで生きています。人間は肺に空気を吸い込んでそこを通る細い血管に酸素を取り込みますが、魚は空気を吸い込むと体を浮かせることに大きく影響してしまうので、えらを通った水に溶けている酸素を直接血管に取り込んでいます。」

●海魚は川でも暮らせますか。
→「基本的には無理です。魚の血液とまわりの水の塩の濃度が違っていると、魚は生きられません。ただ、両方でくらせる特殊な体質を持った魚は、川と海を行き来できます。魚は淡水/汽水/海水域と、暮らす場所で分けられます。」

●どうして深海で魚はつぶれないのですか。
→「普通の魚と深海の魚の違いには、浮袋を持っていない、体内のゼリー状の成分が水分をたくさん含んで外の水圧と同化する、脂肪分をたくさん持っていて低い水温でも活動ができる、といったものがあります。体の組織や成分がうまい具合にバランスをとって、深海に適応できています。」


【昆虫の質問】 回答者:井上先生
●カブトムシの幼虫を育てているのですが、土替えの時にスコップで傷をつけてしまいそうになります。良い方法はありませんか。


「スコップは先がとがっているので、どこに潜っているかわからない幼虫を傷つける恐れがあります。土を替えるときは軍手や手袋をして、手で変えるといいです。」

●冬にも昆虫採集をしたいのですが、どんな虫が採れますか。

「冬に動き回っている昆虫はとても少ないです。ただ、フユシャクというガのように、冬にしか見られないものもいます。雑木林のような林に行くと、シジミチョウくらいの小さなガが飛んでいるのでわかります。多くの昆虫は冬越しのために動かずに過ごしているので、ぼろぼろになった朽ち木の中や、木の根元の落葉の裏などをよく調べると見つけることができます。冬は夏とは違った昆虫の採り方になります。」

●家でカブトムシやクワガタを育てています。9~10月に羽化したものがまだ土に潜ったままですが、まだ待っていても大丈夫ですか。

「野外でも秋に羽化して、春になるまで土や朽ち木の蛹室の中で過ごすものもいます。基本はそのまま待っていて大丈夫です。ただ、暖かい室内で飼っていると、春になるよりずっと早い時期に動き出してしまう場合があるので、涼しい場所に置いておいた方がいいでしょう。動き出してしまった場合は、傷つけないように取り出して、昆虫マットや土の中で休ませてやるといいです。ケースの中に昆虫ゼリーを入れておくと、好きなタイミングで動き出して食べ始めます。

●カマキリの卵が家の中でかえってしまいました。現在3齢でこのまま成虫まで育てますが、いつ外に出しても大丈夫ですか。

「野外でカマキリが卵からかえるのは4、5月くらいです。モンシロチョウが飛んでいるのをよく見かけるような時期になったら、外に出して大丈夫です。」

●カマキリの寿命はどのくらいですか。
→「普通のカマキリだと、4、5月くらいに卵からかえって、5~6か月かけて成虫になります。成虫になってから死ぬまでは1か月くらいのものが多いです。ただ、エサが十分にあって気温も暖かいと長生きする場合があります。野外でもたまに年を越して1月になっても生きているカマキリを見たこともありますが、だいたいは卵からかえって死ぬまでは半年くらいです。」

●昆虫に血は流れているんですか。
→「昆虫にも血はあります。ただ人間のように血管があってその中を流れているのではなく、血管のような管はなくて体中が血で満たされている状態です。そのため、大きなけがをするとその部分から体中の血が出てしまい、死んでしまうことが多いです。」

●テントウムシの捕食について質問です。幼虫の方が食欲旺盛に見えるのですが、大きくなろうとしてたくさん食べるのでしょうか。
→「はっきり調査した論文は出ていないかもしれませんが、確かに幼虫の方がよく食べる印象があります。幼虫時代は体をつくる時期なので、食べることは重要です。成虫になると繁殖など食べる以外の活動の割合が増えてくるので、幼虫よりも捕食にかける時間が減るのだと思われます。」

●昆虫と人間の細胞には違いがありますか。
→「細胞の基本の構成は同じですが、機能に違いがあります。人間を含む哺乳類の細胞は分裂の回数が60回くらいまでと有限ですが、昆虫の細胞にはその制約がありません。」

●セミのオス・メスの見分け方を教えてください。
→「セミの腹側を見ると、胸のところに花びらのようなひだがあります。腹弁(ふくべん)と言って、これが大きいのがオス、わからないくらい小さいのがメスです。また、お尻の先で見分けられて、そこが縦に割れているのがメス、割れていないのがオスです。」

指している部分がオスの腹弁

●セミは1年しか生きられないのですか。
→「セミの寿命は、成虫になってからは短くて、3~4週間くらいです。ただ、幼虫期間は長くて、アブラゼミで7年くらいあります。アメリカには17年ゼミといって、卵から成虫になるまで17年かかるセミもいます。」


【魚・昆虫両方の質問】
●一番長生きするものはなんですか。
→「魚はけっこう長生きのものがいます。深海にいるオンデンザメ、ニシオンデンザメには、今まで捕獲されたもので推定280~300年生きるらしいことがわかっています。日本でよく見るものでは、コイが長生きの魚の一つ。普通のコイでも寿命は50~60年。記録では200年生きたと残されているものもいます。」(大川先生)
「昆虫は基本的に寿命は短いです。1年以下のものがほとんどで、数年生きれば長生きな方です。ただ、例外的に長いのはシロアリで、女王アリには数10~100年近く生きるものがいるそうです。」(井上先生)

●最近、新種で見つかった生き物はいますか。
→「魚は世界レベルでどんどん新種が見つかっています。日本では最近、鹿児島湾でカサゴの新種が見つかりました。世界で魚は約3万種いますが、毎日1種類ずつ新種確認されているくらいではないでしょうか。」(大川先生)
「昆虫は知られているものより、まだ見つけられていない種類のほうが圧倒的に多いと言われています。魚以上に新種が多くて、毎年1000種類くらい見つかっています。ただし、それはカブトムシやチョウのような大きいものではなくて、数ミリサイズの小さな虫がほとんど。日本でもたくさんの種類が見つかっています。」(井上先生)

●昆虫が魚を食べることはありますか?。
→「ふつう虫は食べられる側ですが、タガメのように小さな魚やカエルを捕まえて食べてしまう昆虫もいます。ミズカマキリもメダカをとって食べます。」(井上先生)
「川魚にとっては、水の中にいるカゲロウやトビゲラの幼虫は重要な食糧です。海でも海岸にいるフナムシなどはよく食べられます。」(大川先生)

●最強の魚と昆虫を教えてください。
→「魚では映画ジョーズの主役になったホオジロザメが最強だ と思います。すべてのサメが凶暴なわけではないですが、ホオジロザメ、イタチザメあたりが強いです。」(大川先生)
「昆虫でどれが強いか、はとても難しい質問です。体が大きいほどケンカには有利なので、コーカサスオオカブト、ヘラクレスオオカブトあたりは強いです。一方、ゾウカブトは自分からケンカはしませんが、しがみつく力がとても強いので、ケンカをしかけられても負けません。「ケンカをするとしたら」、「カラダの大きさが同じくらいなら」、という条件だとコーカサスオオカブトあたりが一番強いと思います。」(井上先生)

●虫や魚に関係した仕事には何がありますか。
→「魚だったら水族館が思いつきますね。博物館・科学館のようなところで魚を研究することも。また、魚を釣る道具をつくったり、やり方を教えたりする仕事もあります。」(大川先生)
「昆虫の研究の仕事をするには、大学の先生になるか、博物館で働くか。昆虫の標本を採ってきて売ったり、昆虫を採る道具を作ったり売ったりするのも、昆虫に関係した仕事です。標本のつくり方を教えるのもそうですね。昆虫の仕事の中でもどういったことをやりたいのか考えていると、今後どのような経験をするとその仕事につながっていくのかがわかってくると思います。」(井上先生)

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