ロクトリポート

農と食の体験塾 大豆編2023【いよいよ大豆収穫の日!】

10月31日(火)の農と食の体験塾 大豆編2023では、東大生態調和農学機構の圃場で大豆の収穫を行いました。以下、実行委員からのレポートです。

やーっと涼しくなりましたねー」と塾生たちが挨拶し合いながら、いつもの集合場所に集まりました。足元には栗と見まちがえるほどの大きなどんぐりがたくさん散らばっています。今日はめでたい大豆の収穫日!

これまでの生態調和農学機構(以降、機構)での実習を振り返ると
    6月27日 大豆の播種(はしゅ=種まき)
    7月11日 間引きと除草(播種から2週間後)
    7月25日 除草と生育観察(さらに2週間後)
    9月26日 枝豆の収穫(播種から約3か月後)
  10月31日 大豆の収穫(さらに約1か月後)  ← 本日
この塾生たちの実習日以外にも、機構の技術職員さんたちが農薬の散布や潅水(かんすい=水やり)を行ってくれています。記録的な猛暑の中でのお仕事に、心からあつくお礼申し上げます!

塾生たちは、はじめに東大の学生さんたちが育てている大豆の圃場(ほじょう=畑)を見学させてもらいました。技術職員さんのご厚意です。小さな蛾が大豆の葉の上を気持ちよさそうにひらひら舞っていました。(畑で出会う蛾とか蝶にはつい冷たい視線をおくってしまう…)

その後、塾生たちの圃場へ。皆、大豆に大接近して様子を観察し始めました。枝豆として収穫した1か月前は、どの大豆も緑色の葉をつけていましたが、今の13畝(うね)は、畝ごとに個性が出ていて、色味や背の高さに違いができていました。

今年育てている大豆の品種は、目黒、馬のかみしめ、みすず、鞍掛(くらかけ)大豆、五葉(ごよう)茶豆、錫杖(しゃくじょう)豆、日の丸大豆、丹波黒大豆、青梅(おうめ)在来、くるみ豆、虎大豆、タチナガハ、エンレイ、全13種類。

大豆が熟し始めたという目安は葉が黄色くなることで、莢(さや)はしっかり熟すと茶色になります。畑の色は全体的には黄変していましたが、茶色っぽい列、黄色っぽい列、緑色と黄色がまだらな列などいろいろで、グラデーションができています。

ある一列は特に葉が青々というか深緑色で、葉をかき分けて莢の付き具合を見ると、他の品種と比べてかなり見劣りがしました。馬のかみしめの畝です。莢の数が少なく、莢の厚みも薄い。学生さんたちが育てている中にも馬のかみしめがありましたが、他品種に比べ育ち方が芳しくない様子でした。素人目には葉の色が濃くふさふさと茂っていて元気そうに見えるのに。これはツルボケの一種?(大豆づくりに参加するようになってから、やっと農の分野の語彙がふえたのですが、葉だけが旺盛に茂って、実がよくならない状態をツルボケと呼ぶらしい)

技術職員の手島さんによると、馬のかみしめはこの土壌に合わないのかもしれないとか。2週間前に西東京市の農家さんの畑を見学させていただいたとき、土地に合わない豆は育たないとお話しされていましたっけ。
(育て方と育ち方は違う。ずいぶん前に聞いて心に眠っていた言葉を思い起こしました。人も大豆も難しいなぁ)

13品種の育ち具合に差があったので、今回は、エンレイ、タチナガハ、錫杖豆の3品種を収穫することになりました。

錫杖豆。豆が熟して莢が茶色くなっています。

剪定バサミを手にした手島さんが、収穫の仕方の実演をしてくれました。剪定バサミには、太い刃と細い刃がありますが、太い方を手前にして大豆の株元をはさみ、もう片方の手で株の上部を向こう側に倒しながら切ります。梃子(てこ)の原理です。とはいえ、易々と切れはせず、二人がかりで収穫する姿も。

収穫したあとは、葉だけをハサミで切り取り、ネット製の大きな収穫袋に入れていきます。機構にあるハウスで袋ごと天日干しにし、乾燥して莢がはじけるようになるまで待ってから脱穀します。予定では11月下旬に脱穀です。

大豆を一度に13品種も育てる機会に巡り合えて本当にラッキーだといつも思ってきましたが、今回も大ラッキー。熟す途中の丹波黒大豆の莢の中を見せていただきました。枝豆で食べる黒大豆ともおせち料理の黒豆とも全くちがい、紫がかったピンク色の豆。豆の王子か姫か、という感じの、とても上品なお豆さんでした。