ロクトリポート

<Qua(クワ) Qua(クワ)ワークショップ> さわって、きいて、表現しよう1

<Qua(クワ) Qua(クワ)ワークショップ>2023 さわって、きいて、表現しようの1回目を、11月26日に開催しました。

テーマは「さわる」

講師はレッジョ教育を広める会@キオッチョラ@の皆さんです。
講師のおひとり、石井さんは4年間イタリアのレッジョ・エミリア市で幼児教育を学ばれていました。

レッジョ教育とはモンテッソーリ、シュタイナーと並ぶ世界5大幼児教育のひとつで、子どもの主体性を引き出す教育として、現在とても注目されています。

※過去に当館で行ったワークショップについて詳しくはこちら

テーマについて

2023年度は「さわる」と「きく」がテーマで、11月は「さわる」がテーマです。コロナ禍ではさわる体験が減っていました。(科学館でもさわる展示を減らしていた時期もあります。)幼児期に「触覚」を研ぎ澄ませる体験はとても意味があり、触覚から多くのことを発見し、学ぶことができます。そこで今回は、久しぶりに思う存分さわる体験をしてもらうワークをしました。

トンネルをくぐると…

今回から子どもと大人と別の空間でワークに取り組むスタイルを復活させました。(コロナ禍では親子ごとにワークをしていました。)挨拶をしたらすぐに子どもたちは一人づつトンネルをくぐって子どもエリアに移動しました。

今回の素材のテーマは「自然物」です。レッジョ教育では、環境を整えることで子どもは自分の中にある能力を出すことができる(表現することができる)と言われているので、環境づくりを大切にしています。子どもワークエリアには自然のものをたくさん配置しました。

トンネルをくぐった子から、自由に子どもエリアを探検してもらいました。

「(ハスの実)スピーカーみたい!」「(ハスの実)ハチの巣みたいにもみえるな。」「(ゆず)みかんみたい。でもにおいがちがう」「これ(虫眼鏡)でみるとおもしろい~」「あながあいてる!」「これなんだろう?」と、みんな、不思議な種、葉っぱ、石、実、木など興味津々に観察していました。

どんな感じがすると思う?

探求は続いていましたが、一度みんなで集まりました。一緒に写真をみて「さわったらどんな感じがすると思う?」と問いかけ、想像して言葉にしていきます。

石井さん:「赤ちゃんの足ってどんな感じかな?」
子どもたち:「むちむち」「ふわふわ」「ぷにょぷにょ」

石井さん:「ひげってどんな感じかな?」
子どもたち:「ふわふわ」「ちくちく」「ざらざら」「もじゃもじゃ」

石井さん:「(泡ぶろの写真)どんな感じかな?」
子どもたち:「あわあわ」「あつい」「ふわふわ」「くすぐったい」「もこもこ」

石井さん:「(雪の景色の中に厚着をした人の写真)どんな感じかな?」
子どもたち:「ゆき!」「つめたい」「さむい」

石井さん:「(アイスを食べている人の写真)どんな感じかな?」
子どもたち:「ベロがつめたくなる」「あまい」「おくちにはいっちゃう」「とける」

みんな、積極的に発言してくれました。写真を見て、いろいろな触感を想像できたところで実際にさわっていきます。

さわって、描こう!

手だけが入るように穴が開いた箱に「なにか」が入っているのを、さわって、感じます。目では見ないで感じてもらいました。キオッチョラの方が中身を交換して、5種類のものをさわってもらいました。中に入っているものを当てるゲームではなく、「どんな感じ?」「そのさわりごこちはどんな色かな?」など問いかけながらさわってもらい、それぞれのさわりごこちを覚えておいてもらいました。

さわったら、感じたことを描いてもらいました。「ふわふわってどんな色かな?」「つるつるってどうやって描けばいいのかな?」「あっ、この机もつるつるしてる。」「つるつるってちょっと冷たい感じもするな。」など、思い出しながら話し、周りにあるものを触り探求しながら描いていました。

大人のワーク

大人も「さわって、えがく」体験をしてもらいました。大人はボックスの中に5つの素材、すべた入れた状態で手を入れてさわってもらいました。

大人だと、さわってすぐに「なにか」ということが分かるようで、実物を想像し描いている人が多かったように感じました。中には「ふわふわ」「つるつる」「ガサガサ」など感じたことのイメージを線や色を選び描いている方もいました。普段、視覚優位の生活を送っているの触覚優位で描く体験は大人の方が難しかったかもしれません。

石井さんが大人の方が描いたあとに、箱の中身を一緒に見ながらお話をされていました。「『私はこれが好き』など考えを人に伝えることに正解はなく、小さいころから人に伝えるコミュニケーションをとることが大事。学校や社会では完成形を求められることが多いけれど、自分の考えを伝えらるところがアートの良いところだと思います。さわることはとても大事で、さわることでイメージがどんどん沸いていきます。」

みんなで粘土をさわろう!

久しぶりにグループワークです。みんなで大きな土の粘土の塊をさわりました。はじめはビニール袋に入ったままさわってみました。「かたい」「むにむに」「おもい」などの発言がありました。そのあと、みんなで協力してビニール袋から取り出しました。「おみそみたい」「さいきょーねんど」「くさい」「つめたい」など、たくさんの発見をしていました。

石井さん:「粘土から音がするかな?」「たたいてみよう」「どんなにおいがする?」など問いかけます。

子どもたち:「パン作りみたい」「音かわった」「くさい」「なんのにおいもしない」「ぱたぱた」「さいきょーーねんど!!」など話していました。

少し粘土をさわったあとに、石井さんからお話がありました。アーティストの粘土をつかった作品の写真をみんなで一緒にみました。粘土に線を描いた作品や、ピカソやミロの魚の骨などを使って粘土にスタンプした作品などを見ました。「みんなも同じように粘土を使ってみましょう」と声をかけ、自分たちで粘土を切り、自分の場所まで運びました。

粘土であそぼう!

いろいろなものでスタンプして模様を楽しんだり、糸で薄く切るのを楽しんだり、丸めてみたり、みんな夢中で粘土で遊んでいました。

「ぐるぐるのかたち」「クリームみたい」「しましま」「太陽と土星」など、触っているとどんどんイメージが膨らむようで、ストーリーがたくさんうまれていました。途中で飾り用の自然物も出しました。香りがある葉っぱもあったので、においをかいでいる子も多く、触覚だけでなく嗅覚も楽しんでいました。

「大砲がついているんだよ。火が出てるでしょう?」「滝が流れてる」「かいじゅうのたたかい!」「つりざおで釣りをしてるよ」「穴があいてる」「地下もあるよ」「上にあがってあそべるよ」などなど、みんな自分自身が粘土の世界に入り込んで遊んでいるようでした。

休憩時間も粘土でつくり続ける子や、保護者を呼んできて作品の話をしたり、自然物展示コーナーを紹介している子もいました。

シェアタイム

最後はみんなで作品を見ます。石井さんが一人ひとりに丁寧にインタビューをして、作品の説明をしてもらったり、作っているときの気持ちを話してもらいました。みんなしっかりと自分の言葉で表現していました。ほかの子の作品も興味をもって見ていました。

今回は連続教室です。来月も土の粘土を使います。またみなさんにお会いできるのを楽しみにしています!