ロクトリポート

<Qua(クワ) Qua(クワ)ワークショップ> 色と光と影で遊ぼう2

<Qua(クワ) Qua(クワ)ワークショップ>2024 さわって、きいて、表現しようの2回目を、2024年9月29日に開催しました。この教室は全2回の連続教室です。

テーマは「光と影」

講師はレッジョ教育を広める会@キオッチョラ@の皆さんです。
講師のおひとり、石井さんは4年間イタリアのレッジョ・エミリア市で幼児教育を学ばれていました。

レッジョ教育とはモンテッソーリ、シュタイナーと並ぶ世界5大幼児教育のひとつで、子どもの主体性を引き出す教育として、現在とても注目されています。

※過去に当館で行ったワークショップについて詳しくはこちら

テーマについて

2024年度は「かおりと色」「光と影」がテーマで、2回目は「光と影」の回。レッジョ教育では五感をつなげる体験をすることで様々な表現がうまれるという考えから、感覚をつかった探求活動ができるような環境づくりも大事にしています。今回は暗い部屋に光をたくさん配置しました。

アプローチ

トンネルをくぐってからみんなで集まりました。
石井さん「光ってどんなかんじ?」
子どもたち「ニジイロ」「ぴかぴか」「たいよう」などなど

石井さん「影ってどんなかんじ?」
子どもたち「じめんにうつる!」「(壁に映っている影を指さして)あれとか!」「人間の影!」などなど

その後はみんなで一緒に映像を見ながら問いかけます。最初はアンリ・マティスの作品を見ながら見立て遊びをしました。
石井さん「これは何かな?」
子どもたち「モアイ像」「銅像!」
石井さん「同じカタチでも向きを変えるとどうかな?」
子どもたち「山!」「サーフィンしてる」
石井さん「今度はこっちの向きにしたら?」
子どもたち「雪」「ふじさん!」「泳いでる!」
石井さん「同じカタチでも向きが変わると見え方がかわるね」

石井さん「次は線!どんな線がある?」様々な線が描かれた画像を見ながら話します。「点線、ほそい線、ふとい線、水玉、ギザギザ、なめらかな線。いろいろな線があるね。」ピカソの絵などを見ながらみんなで様々な線を探しました。

そのあと一度部屋を明るくし、ペープサートのための人形の作り方のヒントを教わりました。
箱田さん「好きなカタチの大きな紙を自分で選んだら、いろいろな向きで見てみましょう。小さな紙もあるので、好きなところに貼ってみましょう。モールもあるので好きなカタチに貼り付けてみましょう!割りばし2本は紙の前と後ろに1本づつ貼ると動かして遊びやすいよ」

ペープサートづくり

好きなカタチの紙を選びました。紙をくるくる回しながら見立てていきます。「ぼうしみたい!」「わらってる~」「ハロウィンみたい!」「なみ」「メカジキ」「○○くんのは恐竜みたい!でも口がないねぇ」「ニヒヤの顔だ!」

小さな紙を貼ったり、モールをくるくる丸めて「眼みたい!」など。切ってほしい場所を白い鉛筆で印をつけて大人に切ってもらいます。「ぐねぐねに切って!」「小さな穴をたくさん!」どんな影になるのかみんな楽しみにつくりました。

装飾が終わったら、持ち手になる割りばしを取り付けました。どの方向にするかも考えながら貼り付けます。割りばしを付けたら動かしてみます。

スクラッチ(個人)

前回、透明な板にテンペラで黒く塗ったもの(前回の様子はこちら)を乾かしたものを割りばし(太い部分、細い部分)やムクロジの実などでスクラッチ(削り)して模様を描きました。「(竹のほそい線をみて)わ~~!ほそい!すごい」「(ムクロジを転がしながら)すご~~い」

削ったところが透明になり、光を通します。この板を少し持ち上げると模様が影になって机に映りました。天井にあるいくつかの照明から光が当たって、影が4重ぐらいになるのに気づいたり、透明になったところから向こう側をのぞいたり、たくさんの発見がありました。「(影を机にうつして)キラキラしてる~」「(下に白い紙を敷くと)星だ~~!」「うわ~~おもしろい!!」

(右下)「(削って描いた)ドラゴンが机にうつった~!あっ!手にもドラゴンが!」 (左)「見える見える!!見える?」

スクラッチ(グループ)

レッジョ教育では個人の表現を大事にしますが、グループでのワークも大事にしています。子供たちは言葉や非言語でのコミュニケーションをしていたり、自分でない人の表現も受け入れていたりグループワークも楽しんで遊んでいました。

大きなシートでのスクラッチをグループごとに行いました。

(左上)「パンこねるみたいにしてみよ~!」と一人が言うと全員で割りばしをねかせてスクラッチを始めました。→「はやい線みたい!」→「ジェットコースターだ!」 (左下)「こっちは黄色がでたよ!」「こっちはみどり!」(右)「模様の影はどうなったかな?」「下から見ても見える!」

(左の下)「危険なかたつむり。血が毒。同じ仲間は大丈夫。肝臓もある」 (左の上)「数字がおもしろい」「ヘラクレス(オオカブト)」

光と陰であそぼう!

休憩後に部屋を暗くして、光と影で遊びました。今回は3つのコーナーを用意したので、ひとつひとつ石井さんが紹介をしてグループごとにコーナーを回りました。

①ペープサート
プロジェクターの光でペープサートを自由に表現しました。大きなスクリーンいっぱいに全身を使って遊んでいました。森、海、月、宇宙など様々な画像を用意していたので、シーンが変わると人形の見立ても変えていました。演じるだけでなく、他の子が動かしている人形をスクリーンの逆側から見ても楽しんでいました。
「おばけが泳いでこわ~~い」「カラスがとびま~~す!」「メガカラスだから羽が2つだよ」「本当の木みたい!」「いたずらしたら動くよ」「おこっちゃう木になる」

②スクラッチを映す、色の光
カラフルなセロハンを通し、色のついた光や懐中電灯でスクラッチした作品をかざし影を楽しみました。
(懐中電灯を近づけたり遠ざけたりして)「ぼやけて見えたり、はっきり見えたり!」「きえたり!出たり!」「大きくなったり、小さくなったり!」

③光の探求
フィギュア、透明ケースなど光を通過するものしないもの、様々なものがおいてあり、影を楽しみました。他にも鏡、懐中電灯、ピカピカライト、白い紙などもあり、自由に探求しました。

「わぁ~~~!本物の町みたい!」「ライオンもゾウもいる!!」「ゾウがおりに入ってる!」「光が私のことをみてる」「(2面の鏡の隙間に顔を入れて)100の顔がある!」(石井さんより:レッジョでは「100」という数字をキーワードに「100の言葉」や「100の自分」という表現があります。しぜんと子どもが「100の顔」という表現をしていて驚きました。)

(左)2枚の鏡に顔をつっこみ、たくさんの自分を見ている様子

(左)「(上)月が小さくなった」「(下)月が大きくなった!」

大人のワーク

今回も、はじめは子どもスペースのモニタリングをしてもらい、その後、レッジョエミリア市の幼稚園で影あそびをしているDVDを鑑賞してもらいました。その後大人にも子どもたちと同じ材料をつかってペープサートとスクラッチを体験してもらいました。

大人のみなさんもいろいろなものに見立てていました。右下は「アリ」

大人のみなさんもスクラッチは初めての方が多かったようです。自分の手のカタチを取り、面白い模様の影を出していました。大人の場所はスポットライトを付けていたので、しっかりと机で影を確認できていました。

シェアタイム

今回も最後は言葉でシェアする時間を取りました。ペープサートの人形から発想したストーリーを伝えたり、スクラッチは床に映しみんなで見たり、グループワークのスクラッチを大きなスクリーンにかざして鑑賞しました。

(左)「木みたいにみえたから、目をつけたらオバケになっちゃったよ。」

(左)花火にみえた

(左)「なんにでもなれるかいじゅう」最初は波だったけど、さかなみたい、およいだり、そらもとべる (右)なみなみに線に光をちかづけたり遠ざけたりしたらゆらゆら波になった

おうちでも遊んでください~

会場の広さの関係で、大人のつくったペープサートやスクラッチを試すことができませんでした。懐中電灯(特にスマホのLEDがおすすめ!できれば光源が1つの方が影がくっきり出ます。)などでも影遊びはできるので、ぜひおうちで一緒に遊んでみてください!

ご参加いただいたみなさま、ありがとうございました。