ロクトリポート

キトラ古墳の天文図

現在、多摩六都科学館では高精細なキトラ古墳石室天井の写真を展示しています。実際のキトラ古墳の壁画は現在ではすべて取り外され、奈良県明日香村で期間限定・申込制で公開されていますが、展示中の写真は取り外す前に撮影された大変貴重な資料です。実物の壁画の質感に近い状態を表現できる「フレスコジクレー印刷」で出力しています。

その近くには、天井に描かれた星の金箔を再現した展示物【制作:井上直夫氏(元奈良文化財研究所)】もあります(画像は以前の企画展で展示した時の様子)。

オリオン座やさそり座などの姿もありますが、みつけることはできるでしょうか?

キトラ古墳は1300年ほど前に造られたと考えられている円墳で、その中にある石室の内壁全面には漆喰が塗られ、鮮やかな色で画が描かれていました。現在確認されている壁画は天井の天文図(以下キトラ天文図)、東西南北を囲む四壁の各々中央に青龍・白虎・朱雀・玄武の四神と、その下方に描かれた獣頭人身の十二支像6体です。キトラ古墳石室の東西南北と天井壁画は令和元年七月二十三日、国宝になりました。

多摩六都科学館はキトラ天文図研究会(文化庁・奈良文化財研究所・国立天文台)に参加し、その研究の一環としてキトラ古墳石室内部をプラネタリウムドームに映写するなど、貴重な考古学資料とプラネタリウムの機能と組み合わせた試みに取り組んできました。

現在投影中(2019年11月現在)の全編生解説プラネタリウム「中国星座 ~キトラ古墳・高松塚古墳に残された星座たち~」でも、ドーム全体に映るキトラ古墳石室の中で、古代中国における天の考え方や、中国星座でも特に重要視された二十八宿と四神の関連などを解説しています。キトラ天文図は、今から1000年以上前にこれらが中国から日本に伝来していたことを教えてくれる、大変貴重な資料でもあるのです。

キトラ天文図に描かれた星々は、地上から星を眺めた時に見える位置と同じように配置されている上、天の赤道・黄道・内規・外規と呼ばれる天文学的な意味を持つ円も描かれており、現存する世界最古の精緻な天文図とも言われています。

11月27日(水)13:10からの大人向けプラネタリウム「キトラ古墳の天文図」では、このキトラ天文図を主テーマに解説します。前述した円が持つ天文学的な意味や、四神と中国星座の関連などについて、より詳しく説明する予定です。

大人向けプラネタリウムは11月27日(水)13:10限定、中国星座をテーマにしたプラネタリウムとキトラ古墳の天井壁画の展示は12月1日(日)までとなります。ご来館の際には、ぜひ合わせてお楽しみください。

また、当日を含む11/26(火)~12/1(日)は小平ウィーク
小平市に在住・在学・在勤の方は、証明できるものをお持ちいただくと
入館料が特別料金になります(通常の入館料・観覧料についてはこちら)。
ご来館をお待ちしています!