ロクトリポート

いちばん大きな星座は?

5月10日の「星座ってなんだっけ?」でご紹介した通り、星座というのは空の地図、領域です。
境界線に囲まれた範囲の大きさは星座によって違います。星座の絵で見ても、大小さまざまですね。

では、星座は全天で88ありますが、その中で一番大きな星座は何でしょうか。

実は今ちょうど見ごろの春の星座の中にあります。どれでしょう?
(写真は5月中旬21時ごろの空を再現した様子です。月や惑星は省略しています。)

正解は、下の方にある、左右に長〜いヘビの絵の星座。
「うみへび座」です。

「うみへび」という名前ですが、ギリシャ神話では沼地に住んでいたヘビの怪物・ヒドラの姿とされています。英雄ヘルクレスによって退治された、頭が9つもある巨大な毒ヘビでした。星座の絵では頭がひとつですが、残りの8つの首はヘルクレスによってはねられ、不死身の首だけが残っているのだというお話です。
星座としては大変歴史が古く、ギリシャに伝わる前から存在していました。星座が作られ始めた紀元前3000年頃にはすでに古代メソポタミアの人々が夜空を横切る巨大なヘビの姿を思い浮かべていたのですね。くねくねと連なる星の並びは確かにヘビを連想させます。

暗い星ばかりなので街の中ではほとんどその姿はわかりませんが、目印になる明るい星が1つあります。胸のあたりに輝く2等星、アルファルドです。
しし座の1等星レグルスの下のあたりを探すと、ぽつんと寂しそうに光っています。
アルファルドは「孤独なもの」という意味で、周りに明るい星がなく1つだけ輝いてみえるところから名付けられました。アルファルドから、うみへび座は南の低い空に点々と連なり、春の大三角の下を通っておとめ座の足の先まで伸びています。

ちなみに、おとめ座は2番目に大きな星座です。
そして3番目に大きいのは・・・北の空に輝く、北斗七星のあるおおぐま座です。なんと大型星座トップ3が春の星座に入っています。
では春の星座は巨大星座ばかり?かと言うと、そうではありません。
例えば、うみへび座の背中には「ろくぶんぎ座」「コップ座」「からす座」の3つのミニ星座が乗っかっています。ジグゾーパズルのように、いろいろな星座が空を埋め尽くしているのです。

20200516-2100 星座絵・名前・領域 重ね – Spherical Image – RICOH THETA

【プラネタリウムで再現した星座とその領域】
(画像左下のTHETAの文字をクリックすると別ページで更に大きくできます)

空で大きさを測るときは角度を使います。小学校の理科で「腕を伸ばした握りこぶし1つ分が10度」と習った覚えのある方もいらっしゃるでしょう。うみへび座は東西に長く、100度を超えます。握りこぶしが10個並ぶほどです。頭からしっぽが昇りきるまで約7時間かかります。
それに対して東西に短い小さな星座、からす座などは15度、握りこぶし1個半ぐらい。1時間ほどで全部昇ってしまいます。
夜、換気のため窓を開けたついでにでも、実際の空を見上げてみてください。いくつか星を見つけたら握りこぶしで測ってみましょう。お家から楽しみながら星座の大きさを感じてみてください。

※星をさがす時は、ご自宅など安全なところでお願いします。また、子どもの皆さんはお家の方と一緒に見るようにしましょう。