ロクトリポート

挑戦的なサイエンスカフェ

東京大学カブリ数物宇宙連携研究機構(Kavli IPMU)と多摩六都科学館は、研究から得られた知見を市民に広く普及するために、2009年から共催のイベントを行ってきました。特徴としては、挑戦的な内容でもやってみよう、という勢いがあることです。

2012年のプラネタリウムドームのリニューアルオープンの日に、サイエンスカフェの会場から移動して、研究の過程で作成された太陽系形成のシミュレーション映像をドーム全天に映し、内容の理解をビジュアルでもできるようにしました。これ以降ドームを使ったサイエンスカフェは定番になりました。

2012年7月7日 プラネタリウムのコンソールで映像演出の打ち合わせをする吉田直紀さん(現 Kavli IPMU/東京大学大学院理学系研究科)

「中学・高校生のためのサイエンスカフェ宇宙」と題して、進学前の中高生が参加しやすいように行うこともあります。
サイエンスカフェを行うときは、分からない箇所があれば途中で質問をしてよいというルールにしています。めったに会えない研究者に恥ずかしがらずに疑問を投げかけることが、楽しむコツの一つかもしれません。

2016年7月3日 難波亮さん(現 Tsung-Dao Lee Institute)の重力波についての話題提供に耳を傾ける中高生

Kavli IPMUでは基本的に英語で議論やコミュニケーションが行われています。市民向けにお話をしてみたいという外国人研究者のニーズもあり、「英語でサイエンスカフェ宇宙」と題して英語で話題提供し、参加者との質疑応答も英語で、というスタイルで最近は行っています。

今年の1回目は

デーン不変量;ある種の問いには解が存在しえないと言えるわけを理解しよう。
The Dehn invariant: let’s understand why a certain problem is impossible.

と題して、 Dinakar Muthiahさん(Kavli IPMU)が数学分野のお話をします。
初めてのオンライン開催の「英語でサイエンスカフェ宇宙」に興味がある方は次のURLから申し込みできます。
https://www.tamarokuto.or.jp/event/index.html?c=event&info=2382&day=2020-09-22

また、不定期に「a workshop」を行っています。科学と芸術の共通点や相違点などを哲学の視点を交えながら、その分野で活躍している人たちや一般の参加者同士で議論してみようという試みです。

2018年3月11日 山崎雅人さん(Kavli IPMU)の話題提供に集中する大人の参加者

第3回目を今年2月24日に開催予定でしたが、新型コロナウィルスの感染拡大防止のため、中止となりました。このイベントに登壇予定であった戸田幸伸さん(Kavli IPMU)は、8月2日(日)にKavli IPMUと科学技術広報研究会(JACST)隣接領域と連携した広報業務部会が共催するオンライン配信の催しで予定されていた内容を話題提供することになりました。

ファンダメンタルズ トーク vol.01 数学ー日常とは異なった対象との触れ方について

Kavli IPMUのウェブサイトで詳細が確認できます。
https://www.ipmu.jp/ja/20200802-fundamentalz01

「新しい日常」の中でも、研究者から直接お話を聞いたり、疑問をなげかけたりしたいと思う方は多いと思います。多摩六都科学館とKavli IPMUはそういった要望も踏まえながら、今後も積極的に挑戦的な課題に取り組んでいこうと考えています。