ロクトリポート

展示室3「しくみの部屋」 テンプの模型をシチズン時計さんに修理して頂きました!

テンプの模型がピカピカに。

みなさん!
展示室3 しくみの部屋に入ってすぐにある展示物「時計のしくみ」にある
【テンプの模型】を覚えていらっしゃいますか?

この展示物は当館のボランティアをされていた田村さんによるお手製です。
機械式腕時計の要の部分「テンプ」をここまで拡大して、さらにしっかりと動く模型は全国でもとても珍しく、時計を見慣れているシチズン時計のみなさんも驚かれていたほどです。

このテンプの模型は7年ほど前に制作され休まず動いていたのですが、ここ1年ほどは不調になり止まりやすくなっていました。実は、制作者の田村さんが亡くなられ、定期的に調整をすることが困難で不調になり困っていました。

昨年、西東京市にある「シチズンミュージアム」の方が来館された際、ご相談したところ快く修理をしてくださることになりました。

まずは、ピカピカになりスムーズに動くようになったテンプの模型を動画でどうぞ。

どこが変わったか分かりますか?

修理前と修理後の写真です。よ~く見てみください。

どんな修理をしてくださったのか、箇条書きで書いていきます。
■分解・洗浄
■給油
■見た目改善
□歯車のホゾのベアリング交換
□各歯車軸の研磨
□各歯車のアガキ調整
□柱の傾き修正
◆ひげゼンマイの新規製作
◆アンクル剣先長さ調整
◆アンクル爪石新規製作
◆がんぎ車歯先の形状加工

たくさんの項目があります。
下の図と見比べながらご覧ください。

※こちらの図と模型の写真はがんぎ車とテンプの位置が逆になっています。

作業を細かくご紹介

シチズン時計さんに頂いた「メンテナンス報告書」がとても詳細が丁寧に書かれていてとても楽しかったので、少しご紹介します。

修理前:がんぎ車が回転方向とは逆に少し戻る動きをしていました。
私たちは気づきませんでしたが、シチズン時計さんは初めて見た時にすぐに指摘されていてびっくりしました。
(厳密にいえば、少し戻る動きも間違いではないようですが、
このテンプの模型は、この動きが駆動の際の負荷となってしまっていたため修正して頂きました。)

この報告書を見た後にもう一度、最初の動画を見てみてください。
最後のアンクルのアップのスローの動画を見ると動きのイメージが分かりやすいと思います。

最後に

今回の修理は制作者の方が亡くなられている為、材料やコツを直接伺えないことが苦労されているように感じました。
例えば、「ひげゼンマイがどんな素材でできているのか?」「ベアリングはどこのメーカーのどんなものを使っていたのか?」など、実際に見て触っても特定することは難しいです。
私たちも、そこまで把握していなかったので聞かれても何も答えられず…。(申し訳なかったです。)

ゼロからつくることも大変ですし、すでにあるものを修繕することもとても大変な作業だと改めて感じました。

シチズン時計さん、本当にありがとうございました。

しばらく展示していますので実物をぜひ見に来てください。

ちなみに、
現在は、テンプの模型の隣に展示されていた「ふりこ時計」を修理して頂いています。
シチズン時計さん、よろしくお願いいたします!