ロクトリポート

KEKと協定を締結

昨日6月8日、大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構(KEK)と、多摩六都科学館とのあいだで、相互協力について協定書を取り交わし、その調印式を行いました。

加速器を使って物質・宇宙・生命の謎に迫る研究を行っているKEKと、地域の学習拠点である当館が連携し、科学文化の発展を目指すものです。研究施設の見学会の開催や、研究を身近に感じてもらうために当館を活用した教室を行うなど、研究現場で得た知見の普及や新たな学習機会の創造することを目指し、共同事業に取り組んでいきます。
IMG_8908
以下、会見の発言内容から抜粋。
・鈴木機構長
「KEKが行っている研究を発信してほしいという要望を受けて、2010年からKEKキャラバンという取り組みを始めた。ウェブページなどでの広報は受け身になってしまう。今回の協定をもとに、自分たちから前に出ていくという姿勢で、さらにいろいろな発信をしていきたい。」
・髙柳館長
「私自身、KEKの中にいたことがあるので、その研究内容の素晴らしさを知っているし、それを皆さんと共有したい。以前(KEKの前身の1つである)東京大学原子核研究所が立地した町にある科学館として、最先端の研究が私たちの文化の中にどのように関わっているかを、研究者と対話しながら伝えていく場をつくっていきたい。」

また、調印式後に実施した記念イベントでは、羽澄昌史KEK教授の講演、ならびに鈴木機構長と髙柳館長の対談を行い、最先端の研究内容を160名の参加者に向けて発信しました。
IMGP4193
羽澄教授は今春にわかに話題になった、宇宙マイクロ波背景放射(CMB)の観測に取り組んでいます。講演の中で会場のドームスクリーンを使い、観測所のあるアタカマ山地の360°の景色と組み合わせて、CMBの全天マップを映し出すなどの演出ができるのは科学館ならではです。
IMGP4167
質疑応答やスペシャル対談では、これからの素粒子物理学、そして宇宙の研究がどのような方向に進むのかといった内容にも触れ、「30年後には、今現在思いつかないような観測の方法が登場するかもしれない。」(羽澄)、「まだ答えの出ていない多くの問いに挑んでほしい。」(鈴木)と大勢参加していた中学生や高校生へのメッセージが贈られました。

IMGP4218