ロクトリポート

「やさしい日本語」のイベントを開催しました

地域に住む外国人や、様々な文化を持つ人と科学でつながることを目指して当館では、様々な取組をしています。今回は、9月10日に開催した「やさしい日本語」をテーマとした2つのイベントを紹介します。

1.「大人向けワークショップ:やさしい日本語と博物館を学ぶ講座」
日時:2022年9月10日(日)13:00~16:00
講師:村田陽次さん(東京都生活文化スポーツ局)、髙尾戸美(当館 特別研究員)
参加者:16人

前半は村田陽次さんから「やさしい日本語」の概要・東京都の実践事例の紹介・文化事業とやさしい日本語について講義をしていただきました。
後半のワークショップは4人ずつのグループに分かれ、「やさしい日本語」で自己紹介をしてから、当館の常設展示を「やさしい日本語」化する展示解説グラフィックの作成に挑戦しました。
科学館にある100点ほどの展示物の中から選ばれたのは【ナガエミクリ】と【スマートグリッド】。まずは正しく理解することが重要です。

限られた紙面に情報をまとめるだけでも大変な作業ですが、さらに「やさしい日本語」での説明となると取捨選択しなくてはなりません。「専門用語をどの程度残すべきか」、「図やイラストを効果的に使えないか」など、活発に意見交換が行われました。

グループごとに発表後、講師の村田さんからフィードバックがありました。やさしい日本語への書き換えに正解はありませんが、的確なコメントもらうことで学習効果が高まり、モチベーションアップにつながったようです。
今回参加されたみなさんは、科学館・博物館等に所属されている方が約半数を占めていました。勤務先でも今後取り組んでみたいとの声があり、「やさしい日本語」への注目の高まりを感じました。

2.「やさしい日本語でプラネタリウムをたのしもう 星空のおはなし+月のおはなし」
日時:9月10日(日)17:30~18:30
参加者:27人

今回の参加者のうち「やさしい日本語」を知っていた方は約9割でした。午後のワークショップから続けて参加された方も多く、普段から「やさしい日本語」を知っている、もしくは「まあまあ使っている」という方が約半数を占めました。また、日本語以外を母語とする方の参加もありました。

スクリーンに映る言葉にはルビが振ってあります。星を探す手掛かりとなる方角や位置、星の明るさや輝くようすを表現する語彙を確認してから星空の投影が始まりました。
解説員は通常よりもゆっくり・はっきり、重要な言葉は繰り返して話します。
街の灯が消えた満天の星空や迫力のある天体の映像に、驚きの声が上がっていました。

イベント終了後の参加者からのコメントを紹介します。
・「やさしい日本語」でのイベントはすごく必要!お話が短く区切られていて分かりやすかったです。頭の中で外国語に同時に翻訳しながらて観ていました。
・すごく分かりやすかったです。言葉がストレスなく入ってきて、いつもより星を見るのに集中できた気がします。
・やさしい日本語を体験でき、良かったです。解説がとても聞きやすく、外国人だけでなく、語彙がまだ少ないお子さんにもいいな、と思いました。
・日本語だけでなく、内容がやさしくなってしまう。少し改善しては。
こちらは午後のワークショップでも苦労した部分で、今後の課題が見つかりました。

この日の東京は低気圧が過ぎたばかりで雲が少なく、明るい月が出ていました。帰り道、さっそく夜空を見上げる方がいて、スタッフもうれしくなりました。