ロクトリポート

「インフレーション理論」の第一人者が最新の研究を解説!

本日7/6(日)、多摩六都科学館において、Kavli IPMUサイエンスカフェ宇宙2014「インフレーション理論、観測的実証への期待」を開催しました。

講師は、宇宙物理学者で自然科学研究機構長の佐藤勝彦氏です。
1980年頃、同氏が提唱した「インフレーション理論(※1)」は現代宇宙論において標準理論となっていますが、長らく観測による実証は難しいとされてきました。
(※1ビックバン以前に極微の宇宙が急激な膨張をしたという理論)
その後、観測技術が向上し、宇宙背景放射(※2)の研究が進んだことにより大きな転機を迎えます。
(※2宇宙ができて38万年後の光を捉えたもの)

今年3月、宇宙背景放射の中に、宇宙の始まりに生じた重力波の痕跡が発見され、ニュースになったことを記憶されている方も多いかもしれません。この観測結果が、インフレーション理論の裏付けとなるかが話題を呼んでいます。
実証されればノーベル賞級の発見となり、この理論の第一人者である佐藤氏の受賞が期待されるところです。

今回の講演では、自身が提唱したインフレーション理論の基本的な解説にはじまり、秋に公開が予定されている観測衛星「プランク」の最新データへの期待や、先日多摩六都科学館で講演したKEK羽澄教授らの南米での観測などにも話が及びました。今後の同理論の実証の見通しについても、「1年か2年以内に裏付けとなる結果が得られるのでは」(同氏)と語り、数多くある同理論のモデルを検証する段階に入っていくことが予想されます。

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高柳館長のコラム「宇宙の起源に迫る科学者たち~宇宙背景放射(CMB)をご存知ですか?~」も併せてご覧ください。