ロクトリポート

科学館の屋上の砂 ~飛来物の調査3 & 「謎の球体について」~

新年あけましておめでとうございます。

2016年最初のロクトリポートは、前回9月の報告に引き続き
科学館の屋上へ飛来した砂粒についての報告です。
(前回の記事↓)
https://www.tamarokuto.or.jp/blog/rokuto-report/2015/09/30/

今回は、謎の球体について少し調べてみました。詳細は後半で。

9月

9月 3mm HP

2015年8月9日~9月11日(写真の幅3㎜)↑ 謎の球体、関東ローム層起源の斜方輝石、恐らくコンクリートからはがれた石英。 特に目新しいものはありませんでした。

10月

10月 幅3mm HP

2015年9月11日~10月3日(写真の幅3㎜)↑ 火山ガラスに見えるものがありました。最近の噴火の火山灰ではなく、 関東ローム層起源だと考えられます。 謎の球体の正体が気になります。

11月

11月 幅6mm

2015年10月3日~11月7日(写真の幅6㎜)↑ コンクリート片が多く入っていました。 科学館の前で宅地整備の工事が始まったためか、 0.1㎜以下の小さな砂粒が多いように感じます。

12月

12月 幅3mm

2015年11月7日~12月2日(写真の幅3㎜)↑ ヒル石が入っていました。ヒル石はこの辺りの関東ローム層では 地下10mくらいの武蔵野ローム層に入っています。どこかで比較的 深い穴を掘って工事をした時に飛んできたものだと考えられます。

「謎の球体について」

球状の飛来物IMG_4257 (2)写真の幅6mm - コピーs

写真の幅6mm↑

一年間、科学館の屋上に飛来する砂粒を見てきました。 その中で時々見られる謎の球体について少し調べてみました。 この球体は磁石に付くので鉄の粒のようです。 球状の形から、溶けた鉄が無重力(空中で落下しながら?) の中で冷え固まったものだと予想できます。 「これはもしかして宇宙塵(うちゅうじん)か!?」

鉄隕石が地球に落下する際に大気との摩擦熱で溶けて 小さく飛び散ったのもだとしたらロマンを感じませんか?

ただ、溶けた鉄が空中で固まるという状況は鉄の溶接でも 起こりますので、そういったものの可能性もあります。

どちらであるのか、より確からしいことを知るためには 化学組成(どんな元素でできているか)を調べる必要があります。

もし、宇宙塵であれば鉄の他に数パーセントのニッケルが 含まれるはずです。鉄隕石は大部分が鉄と数パーセントの ニッケルでできているからです。

宇宙塵化学組成IMG_20151111_132052 (1)

国立科学博物館筑波研究施設の分析装置で特別に分析してもらいました。 その結果。。。

宇宙塵化学組成IMG_20151111_132052 (2)

ニッケルは含まれていないようでした。 どうやら謎の球体は人間の活動でできたもののようです。

残念ながら今回集めたものの中には宇宙塵はないようですが、 宇宙塵は私たちの近くにも落ちているはずです。 もう少し詳しいことが分かってきたら、身の回りの宇宙塵を 探してみようと思います。

自然チーム 地学担当