ロクトリポート

郷土史と科学から見る地域の防災

9月1日は防災の日。
以前は防災というと地震への備えが真っ先に浮かんでいましたが、最近は大雨や強風など、さまざまな自然災害が気になるようになってきました。
よく「引っ越すときは昔の地名を調べろ」と言われることがあります。地名に「川」「沢」「窪(久保)」といった文字が入っているところは、むかし水が流れていた場所である可能性が高いので、地震や大雨への対策を慎重に考えた方がいい、といった見方です。最近では地盤改良などの技術も進んでいるので、水にちなんだ文字が地名についているからといって災害の影響をすぐ受けやすいというわけではありませんが、地域の歴史(郷土史)と地盤や土地の高低などの地形的特徴を重ね合わせてみると、災害への強さが見えてきます。

★神社仏閣は災害に遭いにくい?

水害や地震が発生したときに、古くからの神社仏閣のある場所は被害が小さいことがあります。これを神仏の力によるものと見る人もいますが、郷土史・科学といった学問的視点で見るとそれらの場所が昔から地形的にとても強い場所を選んで作られていることがわかってきました。開発が進んで昔とは様変わりした地形も、盛り土や切土、埋立等をする前の地図を参考にすると安全な場所・危険な場所の推定ができると考えられています。
今回の講座では、「郷土史防災」というユニークな切り口で、地域の地形と災害への耐性を考えます。

下野谷 周辺土地条件

▲紫…盛土 赤…平坦化地 黄…洪積層
洪積層は縄文時代に今よりも海水面が9m近く高かった時代でも陸地だったところで、地盤が固く水はけが良い土地(高台)です。
高台にぶつかって川が蛇行して流れていた事が判ります。そのぶつかったところにあった山を削って平らにし、
その土を川の上に埋めて盛土したと考えられます。

★講座で学んで、歩いて実感!
今回は講義とフィールドワークの2本立てで開催します。
講義では防災の専門家である防災科学技術研究所の増田和順(ますだかずより)氏を講師にお招きし、実際に災害を免れた場所の事例を引きながら、過去の人々が地形を読んでどのような建物を作ってきたか、時代と共にその土地への意識がどう変わってきたかなどをお話しいただきます。フィールドワークでは、縄文時代の遺跡(下野谷遺跡)や東伏見稲荷神社といった遺跡・史跡が集まる西武新宿線東伏見駅~西武柳沢駅周辺を実際に歩き、災害に強い場所・弱い場所の特徴を実感します。ここでは増田先生に加え、西東京市教育委員会社会教育課の学芸員・亀田直美さんから下野谷遺跡の特徴などについてお話しいただきます。

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【イベント概要】
連続講座「郷土史と科学から見る地域の防災」

① 講座編
古くからある史跡や神社仏閣が災害に遭いにくいのにはわけがある!?
地域の地形と歴史を合わせて読み解く郷土史防災の視点から、
自分が住む地域の安全について考えてみましょう。

日 時:11月3日(土) 13:00~14:30
会 場:多摩六都科学館レクチャールーム
講 師 : 増田和順(防災科学技術研究所)
協 力 :西東京レスキューバード
対 象 :中学生~大人
定 員 :40名
参加費:入館券のみ(大人500円、中・高校生200円)
応募締切:10/22(月)必着

②フィールドワーク編
過去~現在の地形図を見ながら、実際に東伏見稲荷神社や下野谷遺跡などを歩き、
科学と郷土史両方の視点を合わせて地域の防災について考えてみましょう。
 ・少雨決行、雨天時は柳沢公民館で解説のみ行います
 ・合計一時間弱、徒歩で遺跡・史跡をまわります(坂道あり)

日 時:11月24日(土)10:00~12:15
会 場:西東京市内(東伏見駅集合・柳沢公民館解散)
講 師: 増田和順(防災科学技術研究所)、西東京レスキューバード
協 力: 西東京市教育委員会、西東京市柳沢公民館
対 象: 中学生~大人 ※参加者以外の同伴不可
定 員: 30名(最少催行人数20名)
参加費: 50円(保険料として)
応募締切:11/12(月)必着

【参考】協力先ウェブサイト

■国立研究開発法人防災科学技術研究所 

■西東京レスキューバード