ロクトリポート

市役所屋上で養蜂見学と純粋はちみつ採取体験

「食と農のお話会【清瀬編】~市役所屋上で養蜂見学と純粋はちみつ採取体験~」
今回は科学館を飛び出して、会場は清瀬市役所の屋上。そこで養蜂に取り組んでおられる市役所の職員を代表して、総務課の海老沢さんからお話を伺いました(手にミツバチを乗せてらっしゃいます)。

実は清瀬市役所では、平成26年から屋上で養蜂を行っています。この「東京清瀬市みつばちプロジェクト」、日々のミツバチの管理や貯まったはちみつの採取まで市役所の職員が行っています。「本でゼロから勉強した」と海老沢さんはおっしゃいますが、試行錯誤を重ね、現在では屋上で採れたはちみつ「Kiyohachi(きよはち)」は清瀬市のふるさと納税返礼品となっています。他にも地元の洋菓子店や化粧品メーカーとのコラボレーション商品も作られているんですよ。

今回の企画は、養蜂の様子と巣板からはちみつを絞る作業の見学・体験。市役所の屋上で、しかも実際にたくさんのミツバチが活動している巣箱の傍らで行うため、平日の午前中に少人数の大人を対象に行いました。
市役所に集合すると、さっそく屋上へ。そして巣箱見学の前に、全員お借りした防護用の網付き帽子とビニール手袋を身につけて完全防備します(軍手だと網目を通り抜けて刺されてしまうことがあるそうです)。
屋上の隅にある金属網で囲われた小屋の中に、いくつもの木箱が置いてあります。ここがミツバチの巣箱が置いてあるところ。網の目はミツバチは通過できても天敵のスズメバチは通れないサイズになっています。


箱の中には何枚かの巣板とミツバチがぎっしり。巣板にはあらかじめたくさんの六角のマス目が作られていて、ミツバチたちはそこを利用して卵を育てたり、集めた蜜をためたりします。一箱に約5,000匹のミツバチが住んでいるとのこと。海老沢さんたちは毎日ふたを開けて、女王蜂や卵・幼虫の状態や、蜜がどのくらい貯まっているかをチェックされています。
お話を聞いている最中、耳元ではずっと蜂の羽ばたく音が鳴っていましたが、特に蜂たちを驚かせるようなことをしなければ、襲われることはありあません(ミツバチは一度刺すと死んでしまうので、めったに襲ってこないとのこと)。


これは巣箱から取り出した巣板。白っぽく広がっているのは、蜜蝋(みつろう)という蜂が出したワックス状のもので、穴の中に蜜がたまるとこの蜜蝋でふたがされていきます。1枚の巣板に蜜がたまると、その重さはなんと4㎏!

蜜を取り出すには、まず蜜刀というナイフ状の道具で蜜蝋を剥がします。蜜蝋の下にははちみつがぎっしり。

参加者も交代で、この蜜蝋はがしを体験しました。蝋と一緒にはちみつ部分を削ってしまうともったいないので薄く剥がすように、とアドバイスを受けますが、なかなか難しい、、、


そして、採れたてのはちみつを一口試食!煮詰めたり何かを加えたりしていない、純粋なはちみつです。濃厚だけれど上品な甘さが口いっぱいに広がり、いくらでも食べられそうでした(参加者もスタッフもみんな「パンがほしい」とつぶやいていました)。

蜜蝋を剥がした巣板は、遠心機に入れて蜜を絞ります。2枚の板をセットして外側のハンドルを勢いよく回すと、遠心力で巣板の巣板の中のはちみつが外に飛び出し、遠心機の壁を伝って下にたまっていきます。
これも交互に体験しましたが、思った以上の重労働。勢いよく回すと遠心機も大きく揺れてしまうのでハンドルを回す人と遠心機を押さえる人と、2~3人組で作業します。セットした巣板は途中で向きを変え、板の反対側に残っている蜜を取り出すので、意外と時間もかかります。

遠心機の下のコックをひねると採れたてのはちみつが流れ出てきて、思わず歓声が上がりました。はちみつはまず目の細かい網目を通して蜜蝋や不純物を取り除き、その下のタンクに貯められます。

このときのはちみつの糖度は83度でした。季節によってミツバチが訪れる花の種類が変わるので、はちみつの味や色はシーズンによって変わるそうです。

この市役所屋上での養蜂ははちみつを取ることだけが目的ではなく、農業がさかんな清瀬市の地域振興の取り組みの一つでもあります。たくさんのミツバチが飛び回って花の蜜を集めると、花粉も運ばれて地域の農作物の実りがよくなるのだそうです。純粋はちみつの採取という体験もさることながら、ミツバチが担う食と農と地域振興の興味深いお話に、参加者一同大満足でした。

最後に、Kiyohachiをお土産にいただきました。

ふるさと納税の返礼品でもありますが、清瀬市主催のイベント会場で販売されることもあります。見かけたらぜひその味を試してみてくださいね。