ロクトリポート

【時の記念日100周年企画】 日本の「時間」始まりの地『飛鳥』

6月10日は「時の記念日」です。
その由来については、『【時の記念日100周年企画】時の展示物』でも紹介しましたが、次のように、多摩六都科学館の高柳雄一館長の寄稿文があります。

<高柳館長のここに注目!>
水時計で時を測り、時刻を人に告げた日本初の記録は671年6月10日。
1920年、「時の記念日」は6月10日に制定され、今年は100歳。
時計を使う以前、人間は時の流れを昼夜、月の満ち欠け、季節の星空で知りました。
天と地で人間が接してきた時間に思いを馳せてください。

【水時計で時を測り、時刻を人に告げた日本初の記録】は、日本書紀(西暦720年に完成したとされる日本最初の歴史書)にあります。「天智天皇が671年6月10日に近江京(現在の滋賀県大津市)で水時計である漏刻を設置し、時を知らせる鐘鼓が鳴らされた」と記述されているのです。

国立公文書館 公式Twitterより】

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実は「漏刻」はこの部分より前にも日本書紀に登場します。そこには「西暦660年、皇太子(中大兄皇子、後の天智天皇)がはじめて漏刻を造り、民に時を知らせた」とあるのです。様々な調査の結果、この漏刻が初めて設置されたのが奈良県明日香村にある『水落遺跡』だと考えられています。


【水落遺跡】

現在の水落遺跡では、建物の柱があったところに木の杭が設置されています。中央の石の部分に漏刻の跡が発見されました。ここに建造された大きな建物の二階には鐘があり、漏刻で測った時間を都に知らせていたと考えられているのです。

20160414水落遺跡 – Spherical Image – RICOH THETA


【グリグリ360° 水落遺跡※2016年に現地で職員が撮影

水落遺跡に関しては、2020年4月18日に放送された「ブラタモリ」という番組でも紹介されていました。(※本日5月26日(火)午後11:45~再放送予定)

飛鳥資料館 Facebookより】

キトラ古墳や高松塚古墳など、日本を代表する史跡が多くあることで有名な明日香村ですが、日本で最初に時が測られたのもこの地であったということになります。漏刻の原寸大復元模型や水落遺跡の出土品は、詳しい解説とともに水落遺跡の近くにある飛鳥資料館に展示されています。(※飛鳥資料館は臨時休館中です 5/25現在)


飛鳥資料館 Facebookより】

今のうちに予習をして、感染拡大が終息した後にはぜひ明日香村に訪れてみてくださいね。