ロクトリポート

1/29(日)開催! 「星の和名」研究者 北尾浩一先生と星を見よう」

1/ 29(日)、講演会「星の和名」研究者 北尾浩一先生と星を見よう が開催されました。今回の講演会では時間の都合上、質疑応答のお時間をとることができませんでしたので、こちらに頂いたご質問と、北尾先生からの回答を掲載いたします。

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Q.頂いた質問(①~⑤)A.北尾先生の回答

Q.明治10年頃の西南戦争後に強く光度が上がった土星・火星を西郷星・桐野星と呼ばれ錦絵にもなりましたが、これは、東京のみで呼ばれていたのでしょうか?また期間的にはどの程度の間世間を賑わせたのかご教示頂きたいです。

A.このあたり、私は詳しくないのですが、ちょうど平塚市博物館のホームページに適切な資料がありました。リンクはこちら→平塚市博物館 (hirahaku.jp)

9月24日に官軍の包囲を受けた西郷が自決するのですが、「9月初旬に距離約5600万kmとなった大接近。 西郷死後の9月下旬から10月にかけては宵の空で-2等以上で輝いたとみられる。」とあります。

なお、拙稿には、下記のように野尻先生の引用のみです。リンクはこちら→大阪市立科学館 研究報告 第26号 2016年p.85-88- (sci-museum.jp)

Q.②スバルの和名が奄美大島なのは言語学的もしくは文化的境界と一致していると言えるだろうか

A.沖縄奄美文化圏の北限、奄美大島、喜界島の一致しています。 一方で、オリオンは、桝の形に三つ星、小三つ星、ηを見立てる名前が文化圏を越えて分布しています。アブラゴー、マスカタプシです。 しかし、酒を桝で測る文化はないため、現時点で酒桝星は奄美・沖縄では記録できていません。

Q.③多摩地区や圏域内での和名がないのか気になるところです。(今後聞きたい講演会についての回答からになりますが、質問と受けて北尾先生にお答えいただくことにしました)

A.奥多摩や埼玉、山梨は、丁寧に歩いている方がいらっしゃいます。アシアライボシというオリオン三つ星の和名を奥多摩で聞きました。

Q.星はなんのために光っているのでしょうか。

A.自ら光っている恒星も、反射して光っている惑星も、自分はここにいるよ(存在しているよ)~というメッセージを出し続けるために光っています。そう思います。

Q.先生を見習って、地方に伺う際に地元の方に星の呼び名等を尋ねてみたいのですが、その際に気をつけることや必要最低限お尋ねする内容のポイントを御教示頂けますと幸いです。

A.星のことを教えてください、と尋ねるのではなく、昔、このあたりは畑でしたか?

田んぼでしたか? 牛はいましたか? 馬はいましたか? 鶏はいましたか?

家に時計はありましたか?

など、むかしのことを聞いて、その時代の記憶を辿れたところで、むかし、月や星をめあてに・・とか、日が暮れたら西の空に明るい星を見た思い出、夜明け前、東の空に明るい星を見た思い出を聞き、それらに名前があったか、訪ねてください。

明けの明星、宵の明星についても、さまざまな名前があります。

東京では、トビアガリを聞きました。

拙著『日本の星名事典』P400下

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以下は当日のレポートです。

講師は、長年星の和名を調査されている北尾浩一先生です。「星の和名」とは、日本各地に伝わる独自の星の呼び名のこと。北尾先生は実際に日本全国を歩いて、その地域に住む人たちとお話をしながら調査を行ってきました。

今回はサイエンスエッグでプラネタリウムの星を見ながら、さらに実際の星空のもとで、北尾先生から様々な星のお話をお聞きしました。

実は北尾先生は、長年プラネタリウムに関わるお仕事もされており、星空解説のような講演会となりました。まずはメラボシ(りゅうこつ座のカノープス)のお話からスタート。北尾先生に探し方を教えて頂き…「では、みなさんで探してみましょう」会場のみなさんと一緒にメラボシを探しました。

満天の星の中では、プレアデス星団の和名や、オリオン座の和名、同じく星の和名を研究されていた野尻抱影先生や他の方のお名前も登場しました。

今回北尾先生には、星が登場する俚謡(りよう:地域に伝わる唄)の音源もご紹介いただきました。北尾先生の最新の研究の舞台は沖縄・宮古島。沖縄の古い文献『宮古島旧記並史歌集解』の中に、星が順に昇る様子を唄ったものがあります。北尾先生の解説を聞きながら、プラネタリウムで唄の通りに星が昇ってくる様子を眺めました。

後半は科学館の外に出て、実際の星を眺めながらお話をお聞きしました。天候が心配されましたが、雲ひとつなく晴れ!オリオン座の三つ星、プレアデス星団、アオボシ(おおいぬ座のシリウス)、イロシロ(こいぬ座のプロキオン)など、冬の星々がきれいに見えていました。

最後は参加者のみなさんと一緒に記念撮影!

遠く兵庫県からお越し頂いた北尾先生、色々とご無理をお願いしてしまいましたが快くお受けいただき、ありがとうございました。そして参加者のみなさま、ご参加頂きまして誠にありがとうございました。