ロクトリポート

農と食の体験塾 大豆編2023【修了式・味噌づくり】

東大生態調和農学機構と市民と多摩六都科学館が実行委員会となって行ってきた「農と食の体験塾 大豆編 2023」。2024年3月5日、多摩六都科学館での修了式を迎えました。実行委員2人からのレポートです。

年間計画で2月に予定されていた修了式が、東京に大雪警報が出たために4週間延期になりました。記憶に残る、仕切り直しの最終日は、修了証書の授与と味噌づくりや大豆の食味体験というお楽しみ企画があります。初夏から農を体験し、今回はついにリアルの「食」体験です。

実行委員であり東大生態調和農学機構の技術専門職員の手島さんから塾生に修了証書が授与され、続いて参加者全員が一言ずつコメントを披露しました。

「土いじりが初めてで体験塾で聞いた農業用語、たとえば早生(わせ)晩生(おくて)からして新鮮だった」、「米農家の生まれで農作業にハードルはないと思ったのに米と畑は全然違った」、「大豆の品種の多さにも育ち方の違いにも驚いた」、「肉が大好きだがもっと大豆を食べようと思う」、「仕事柄ネガティブなイメージで農をとらえていたがターニングポイントになった」、「食材の買い物でも視点が変わった」、「機構(通称:東大農場)の大きな空のすばらしさを味わえて幸せだった」、など…塾生たちは体験塾への感謝と携わったすべての人への労いの言葉を贈りあいました。時間と場を共有した仲間と振り返る、卒業式に似たひと時でした。

体験塾では日本の農を取り巻く環境の厳しさも学びましたので、何とかしたい、何かしなければという危機感も同じ。塾生の中には、家庭菜園やお仲間との共同菜園で野菜を栽培する方がたくさんいました。経験の長さはさまざまですが、行動する人でいっぱいです。このところビジネスの場でリスキリングという言葉をよく耳にしますが、生きるための「農」のリスキリングこそ必要じゃないかな、なんて思ったりして。(実行委員 宮崎)

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後半は、お待ちかね“味噌の仕込み”と“大豆の食味″実習”です。

“味噌の仕込み”は、“味噌ソムリエ”で実行委員の一人でもある唐澤さんのご指導のもと、6つの班に分かれて実習しました。今回は仕込んだ味噌を各自持ち帰って自宅で熟成させます。

味噌の材料は、大豆・塩・麹の3種類。作り方は 塩と麹を混ぜる つぶした豆と塩+麹を混ぜる 半年寝かせて熟成させる。材料も作り方もいたってシンプルですが、ひとつひとつの行程に“無駄なく安全に”食べるための技と工夫が詰まった、奥の深い作業です。

味噌の仕込
〇材料
・大豆…昨年度収穫した4種類の大豆(“目黒”、“青梅”、“タチナガハ”、“エンレイ”)の4品種をブレンド。(2日まえに水に浸し、前日にほぼ半日かけて煮ています。)
・塩…赤穂の天塩  ・米麹

〇仕込み
1. 塩と米麹を混ぜる

2. 豆をつぶす
袋に入れた煮大豆を、最初は手で、次に麺棒を転がしてよくつぶす。袋から取り出す際には、最後は蒲鉾板などで袋の中身を端に寄せ、すっかり絞り出す

3.<塩+米麹>と<つぶした豆>を混ぜて“団子”を作る
手袋をした手で塩、米麹、つぶした豆をまんべんなく混ぜる。全体が混ざったら、ピンポン玉くらいの団子に丸める。

4.保存容器の消毒
アルコール(35度)ホワイトリカーで保存容器を念入りに拭く。

5.団子を保存容器に入れる
隙間なく団子を詰めて表面を平らにならしラップを密着させる(”乾燥“と”カビ“防止対策)。

保存は直射日光の当たらない風通しの良い場所が適していて、6か月から8か月後くらいから食べられるとのこと。9月の味見が待ち遠しいです。

食味実習
“丹波黒豆”、“日の丸”、“馬のかみしめ”、“くるみ豆”の食味です。

左側の丹波黒豆から時計回りに、日の丸大豆、馬のかみしめ、くるみ豆

“日の丸”と“くるみ豆”は淡白であっさり、“丹波黒豆”ははっきりとした甘味があり、“馬のかみしめ”は青臭い野菜の味わい“が感じられ、私が食味をした班では”いいね”のコメントがありました。

今年度のプログラムは今日の修了式と実習ですべてが終わりました。受講生は、収穫した大豆、味噌など持ち帰りました。
実行委員のわたしにとっても大豆について多方面から学びのある1年でした。スーパーで大豆を見る目が変わりそうです。
みなさま おつかれさまでした。    (実行委員 杉本)