10月に多摩六都科学館ボランティア会の「ボランティア研修」を実施しました。多摩六都科学館のある西東京市・田無と、武蔵野台地の西端・飯能とを結ぶ歴史と自然について学んできました。
ボランティア研修は、曜日や班で分かれて活動しているボランティア同士の懇親と、他の科学館や博物館の取り組みや知見を学ぶために実施しています。
参加したボランティア会のレポート・感想をご紹介します。
ボランティア研修報告
村上 良雄 (多摩六都科学館ボランティア会 代表)
5年ぶりのボランティア研修が実施されました。今年は10月9日(田無)、10日(飯能)の2日間にわたり実施することになりました。まだ酷暑の9月11日、飯能に下見を行い、これなら大丈夫という行動案を作成しました。
今回のテーマは、幕末の武州世直し一揆、飯能戦争、明治から大正期の武蔵野鉄道など、田無と飯能を結び付ける事柄を取り上げ、2つの街を歩き、博物館の展示を見ることで、現在につながる北多摩の発展について学びました。
1日目・田無山総持寺、西東京市郷土資料室
多摩六都科学館ボランティア会 Tさん
当日は、午後1時田無駅に集合し、ボランティア21名、多摩六都科学館スタッフ7名計28名、徒歩で田無山総持寺を訪れました。大門をくぐると静謐な空気が漂います。
境内では天然記念物の大けやきに加え、真言宗のお寺らしく立派な高野槙を見ることができました。
本堂に入り、科学館のスタッフより当地の大名主であった下田半兵衛の功績、武州世直し一揆、物流の拠点としての田無村の役割について説明を受けました。
途中、飢饉等に備えた稗蔵(ひえぐら)を見学し、バスにて西東京市郷土資料館に移動、郷土資料室の沼上省一さん(西東京市社会教育課 文化財専門員)、長谷川幸男さん(郷土資料室)より、下野谷遺跡の貴重な出土品の解説を聞かせていただきました。
また歴史のジオラマの前では、西東京市の歴史と飯能とのかかわりについて説明を受け、理解を深めつつ翌日の飯能研修に向かいました。
2日目・飯能のまち歩き、飯能市立博物館、能仁寺
村上 良雄 (多摩六都科学館ボランティア会 代表)
西武飯能駅12時にボランティア28名、多摩六都科学館スタッフ7名、計35名が集合しました。駅には飯能市立博物館の尾崎泰弘館長が待っておられ、飯能市の案内を最後まで実施していただきました。館長は学芸員、国立公文書認証アーキビストの資格をお持ちです。街歩きや博物館での講義を通して、飯能の成り立ち、武蔵野鉄道、飯能戦争等について詳しく説明いただきました。4時間あまり、内容の濃い研修でありました。足の不自由な参加者もおりましたが、無事終了できましたことは一重にスタッフや尾崎館長のご支援、気遣いのお陰と感謝申し上げます。
印象に残りましたのは、飯能の交通インフラの発展です。明治34年(1901年)に開通した入間馬車鉄道から始まって、大正4年(1912年)に開通した武蔵野鉄道であります。この鉄道は地元の人々の資金で開設し、材木、絹織物の輸送に多大な貢献をしました。昭和になりトラック輸送に押され、吸収合併や名称変更を経て、現在に至っております。地元の人々の飯能に対する情熱、意気込みがあって現在の飯能が出来上がり、地域の歴史が良く理解できました。
そのほか慶応4年(1868年)の上野彰義隊の流れから飯能での局地戦に渋沢栄一の縁者が多数かかわっていたこと、また地元領主の菩提寺で栄えた能仁寺の見事な庭園、参道の見事な竹林の見学など大変参考になり盛りだくさんの内容でありました。
最後は能仁寺。田無から飯能まで、振武軍の歴史を2日間でたどりました。
謝辞
スタッフや尾崎館長の気遣いも大変だったと思います。誠に有難うございました。久しぶりの研修に参加された人は皆様満足されたと確信しております。
以上、ボランティア会によるレポートでした。ボランティアの皆さんは、年齢も得意なこと、好きなこと様々で幅広く、道中も色々な話で盛り上がりました。
ふだんは曜日ごとに分かれて活動していますが、地域の学びを通して情報交換や交流もかねられた、充実した2日間となりました。