ロクトリポート

月の観察をはじめよう!~完全版~

ロクトニュース118号に掲載したコラム「月の観察をはじめよう!」の完全版をお届けします。

7月14日は満月です!

そして、2022年内の満月では地球と月の距離が最も近い位置になります。
地球と月の距離が近いために、大きく見える満月を「スーパームーン」と呼ぶことがあります。天文学的な用語ではないのですが、近ごろはテレビやインターネットのニュースなどで取り上げられることも増えてきました。

月と地球の距離は「およそ38万キロメートル」ですが、月の通り道(公転軌道)はきれいな円ではないため、38万キロメートルよりも距離が短いときもあれば長いときもあります。
たとえば7月14日の「スーパームーン」は、地球との距離がおよそ35万7000キロメートル。これは、2022年の満月で地球と月が最も離れていたとき(2022年1月18日)よりも、5万キロメートルほど近い位置です。

「差が5万キロメートル」と聞くと、かなりの差がありそうですが、見た目の大きさは10パーセントほどの違いしかありません。
さらに、異なる日の月を空に並べて大きさ比べをすることはできないので、どれほど大きさを正確に感じられるかは個人差によります。

とはいえ、スーパームーンと聞くと普段よりも特別に感じれられるかもしれません。
この機会にぜひ、月の観察をはじめてみてください!!

ここからは、月の観察をはじめるときにぜひ役立てて頂きたい豆知識や観察のポイントをご紹介します。

月にも「地名」がある

まず、月を見つけたら肉眼でよくご覧ください。
表面がただの「のっぺらぼう」ではないことがわかります。

月面は、いたるところがデコボコとしていたり、周りとは色が違っている部分があったりします。じつは、それらの地形には様々な「地名」がついています。

たとえば、隕石の衝突などによってへこんだ地形「クレーター」の地名の多くには、宇宙飛行士天文学者などの名前が用いられています。

月面で最も目立つクレーターのひとつ「ティコ・クレーター」の由来となったのは、スウェーデン出身の天文学者「ティコ・ブラーエ」です。
「コペルニクス・クレーター」の由来である天文学者・コペルニクスは、太陽のまわりを惑星が公転していると考える「太陽中心説」を主張したことで知られています。

また、月面の黒っぽいところは「月の」といいます。おもに、黒っぽい色が特徴的な玄武岩(げんぶがん)からなる地形です。地球の海のように大量の水はありませんが、入り江など、水をイメージさせる地名が用いられています。

ちなみに月面の白っぽいところは、白っぽい鉱物である斜長石(しゃちょうせき)を多く含む岩石・斜長岩からできています。
玄武岩、斜長岩はどちらも、地球上にも存在している岩石です。

観察におすすめのタイミングは?

クレーターの観察は、月が欠けている時に行うのがおすすめです。明るい部分と暗い部分の境目のあたりを望遠鏡や双眼鏡で観察すると、デコボコの地形がより立体的に見えますよ!

一方で、月の海の観察は満月に近い時の方が見やすいのが特徴です。日本ではウサギの餅つきにたとえられることが多いですが、他の国では「カニ」「ライオン」「本を読む女性」「女性の横顔」など、いろいろな姿に見えるようです。

初めて月を観察する方は、まずは下の「かんたん月面マップ」にのっている地形から始めまししょう!

レアな現象を楽しもう!

月面X

新月から1週間ほどたった半月のころ、太陽の光の当たり方によって3つのクレーターの壁がアルファベットの「X(エックス)」の形に浮かび上がるように見える現象を「月面X」といいます。

Xの形に浮かび上がって見えるのは、約29.5日の満ち欠けの周期の中でたったの1~2時間ほどです。そのわずかな時間が、昼間の明るいときの場合もあれば、月が沈んでいるときという場合もあるので、半月のたびに見られるとは限りません。
1年のうちでも見られる機会が少ないことから、最近はファンも多い現象です。

そして、7月6日の日の入り前後の時間帯は、「月面X」観測のチャンス!!

月面Xを見るには、望遠鏡や望遠ズーム機能のあるカメラが必要です。周りのクレーターとの位置関係をていねいに見ながら探し当てましょう!
(そのほか2022年内で観測可能な日は、9月3日、11月1日、12月30日)

月食

月が地球の影に入り込むことで、月の一部または全体が暗く見える現象を「月食」といいます。月食が起こるのは満月のときですが、満月のたびに月食が起こるわけではありません。

2022年は、11月8日に日本の広い地域で皆既月食となります。

皆既月食の時の月は、全体的に赤っぽい「赤銅色(しゃくどういろ)」に見えます。
光の当たり具合や、その時の空気の状態によっても微妙に色が違って見えるので、月が欠けていく姿とともに月の色の変化も楽しみの一つです。

月食を観察するときには、特別な道具が必要ないところもおすすめのポイントです!

この夏、みなさんも月の観察をはじめてみてはいかがでしょうか?

望遠鏡での観察が気になった方は、こちらもどうぞ!→『はじめよう 望遠鏡で天体観測!』

※星や月を探す時は、ご自宅など安全なところでお願いします。また、子どもの皆さんはお家の方と一緒に見るようにしましょう。