多摩六都科学館には時々
「この石は何という石ですか?」や
「この石は化石でしょうか?」といった問い合わせが寄せられます。
そういった問い合わせの中に
「隕石を拾いました。」といって来館される方がいます。
そして、その多くは残念ながら一目で地球の岩石だと分かるものです。
そんな中、多摩市の小学1年生、峯岸凜太郎くんが持ってきてくれた「石」は
ほとんど鉄でできた隕石(隕鉄)とそっくりでした。
凛太郎くんは5歳の時に町田市の公園でその石を見つけ
「色やでこぼこの感じが科学館や博物館で見た隕鉄とにてるなぁ」
と感じたそうです。
東京の周辺には、有名な「八王子隕石」の例があるように、
町田で隕石が見つかっても不思議ではありません。
見た目だけでは判断できないほど「隕鉄っぽい」石なのです。
隕鉄であるかどうかをハッキリさせるためには
もっと詳しく調べる必要があります。
そこで、早稲田大学の研究員、安井万奈さんに協力を仰ぎました。
安井さんは快く協力してくださり、早稲田大学の先生方に「石」を
みていただけるよう手配してくださいました。
対応してくださった先生は、
早稲田大学創造理工学部環境資源工学科の
山﨑教授と内田教授です。
内田先生はハンディ蛍光X線分析装置という装置でどのような
種類の金属が入っているのかを分析してくださいました。
隕鉄であれば鉄の他に30%以下のニッケル、
数%以下のコバルトが入っているはずです。
結果、ニッケルは6%程入っているものの、
クロムが20%以上入っていることがわかりました。
これは人間がよく使っている合金(ステンレス鋼)と
とてもよく似ているものです。
つまり、隕鉄である可能性は非常に低いという結果でした。。。
結果は期待した通りではありませんでしたが、5歳の凜太郎くんが
博物館などで見た隕鉄の特徴をちゃんと覚えていて、
それとそっくりな石を見つけたことには驚きました。
凜太郎君はとても優れた観察眼を持っているようです。
これからもいろいろなものを注意深く観察し、
また面白いものを見つけてくれることを期待しています。
研究・交流グループ【地学担当】