3月の初めから休館が続いていますが、展示室は閉まっていてもふだん来館者のみなさんの目に触れない作業は進んでいます。その一つが、収蔵品の整理です。
科学館にはしばしば標本などの寄贈のおはなしをいただきますが、諸条件をクリアしてお引き取りしたものには、科学館の収蔵品として登録する作業が控えています。
現在取り組んでいるものの一つに、昨年の夏にお預かりした昆虫細密画家の中西章先生の作品があります。
中西先生の作品は多摩六都科学館の「自然の部屋」にも展示していますが、昆虫をはじめとする生物のとても精密な絵を得意とされ、多くの図鑑の挿絵や児童向けの絵本を描かれています。今回お預かりした作品の大半も、そのような絵本原画です。ただ、科学館に運び入れたものの中には、絵の具の発色をテストしただけの紙や参考資料の切り抜きなども混ざっていたので、まずは作品だけを抜き出し、それを分野ごとに仕分けしました。
作品には、イラストボードに描かれた大きなサイズの絵本原画もあれば
保管・管理できる量には限りがあるので、こういった原画だけを残す方針ではあったのですが、絵本製作時の下書きなど、それはそれで味わい深いものもあって、なかなか判断が難しいです(ちなみにこれらの下書きは残しました)。
残した作品をただ重ねておいても何があるかわかりませんし、欲しいものを取り出すのも一苦労。なので、作品台帳を作ります。
現在は、とりあえず残すと決めた作品の写真を撮り、仮番号をつけて、作品写真とそこに書かれている情報・作品のコンディションなどを書き留めたリストを作っている状態です。
新型コロナウィルスの感染拡大防止のためのやむを得ない休館ではありますが、逆にその状況を利用して、このようなまとまった場所と時間を使う作業を進めています。
世の中が落ち着いてまた開館できるようになったときに、みなさんに中西先生の作品をご紹介できるよう、コツコツと作業を進めていきます。
PRグループ H
※現在はスタッフが在宅でリスト作成を進めています