ロクトリポート

農と食の体験塾 大豆編2023 【脱穀・風選・選粒】

東大生態調和農学機構の圃場で収穫した大豆は、脱穀作業に進みました。実行委員からのレポートです。

見上げれば 灰色の雲に覆われた師走の空。そこ冷えのする寒さのなか、今日は“万全の防寒対策と防塵対策”で北キャンパスにある作業場に向かいます。作業場では機構の技術専門職員の方がすでに準備していた道具と、“3週間前に収穫して乾燥した豆”の袋が品種ごとに積み上げられていました。本日の作業は、脱穀(だっこく)・風選(ふうせん)・選粒(せんりゅう)です。

<脱穀>
収穫した豆を茎と鞘から外す作業です。今日は、最近新しく導入された電動の機械で脱穀します。機械を使わない場合、“乾燥した鞘付きの豆”の入った袋を人が足で踏んだり棒で叩いたりして脱穀しますが、機械の場合、あっという間に豆とそれ以外のクズが大まかに分別されて出てきます。スピーディーで便利ですが・機械に巻き込まれる危険(手袋を外して行う)・音が凄まじく大きい(会話をするときはその都度スイッチを切る。)・埃にまみれる(マスク、ゴーグルなどの防塵対策必須)・破片が吹き飛び散乱する(品種ごとにブロアーで破片を吹き飛ばし、シートやトレーを掃除する。)など、安全に確実に行うための注意事項がいくつかあります。それを遵守してこその“効率”なのだと改めて思いました。

脱穀機。奥側から枝のまま乾燥した大豆を入れる


作業は早いもののクズの掃除が大変

作業は轟音と埃のなかで行われますが、脱穀機からぞろぞろとこぼれ出てくる豆の姿に惹きつけられて、初めのうちは立ち止まって見とれてしまいました。“大豆図鑑”で見ている姿なのに なぜか“新鮮”で“愛おしい”…。「かわいい!」という声が、小さく飛び交っていました。

<風選>
「トーミ」=唐蓑(とうみ)という電動の機械を使います。人工的に起こした風の力で、豆とそれ以外の葉や茎やなどのクズを分ける作業です。豆より軽いクズは風で吹き飛ばされるため、豆だけを取り出せます。1回でクズを取り切れないときは複数回行うことがあります。この段階でかなりきれいに選別されますが、大きさや形などはまだ不揃いです。小腹がすいてきたせいか“日の丸大豆”が くり饅頭に見えてきました。

ミニチュアのお茶道具のお皿に、栗饅頭(日の丸大豆)、鶯餅(馬のかみしめ)、牡丹餅(丹波黒大豆)を添えてみました

<選粒>
品種ごとに、いわゆる“A級品”と“B級品”に選別する作業です。選別の基準は 主に大きさ、形、傷の有無、等です。篩(ふるい。丸い穴が無数にある金属製のもの)や、選粒機といって豆が転がる性質を利用してきれいな丸い豆をより分けられる機械などがありました。
道具を使った場合でも、最終的にはヒトが目視で判断していました。そしてなんと、この段階で、“生きた芋虫”を発見した塾生がいました。これは“あるある話”なのでしょうか?収穫・乾燥・脱穀・風選の段階を生きぬいた強運の“芋虫”。見つけた人も強運かもしれません。選粒の作業は、品種ごとに豆の入ったバケツを囲んで行いますが、座って行う作業なので、この作業をなさった方々はとりわけ寒かったことでしょう。
いずれの作業も みなさま たいへんお疲れ様でした。

終了時間の段階で選粒までを完了した豆は3品種(目黒 タチナガハ 青梅在来)でした。収穫した豆の種類が多く、寒さも手伝って想定外に時間がかかりました。残りの豆は次回12月19日(火)に続きの作業を行う予定です。次回は今年最後の実習となりますが、今日よりも暖かいことを期待します。